ウイルソン スパイン High Moi ドライバー
打ってみると?
試打クラブは10.5度のRシャフトと、9度のSシャフト。長さはどちらも45.25インチ(ヒールエンド法計測)。クラブ重量はRシャフトが298.2グラムでバランスがD0。Sシャフトが320.9グラムでバランスがD2.5。RとSとで20g近く重量差があった。シャフト硬度もRとSとでは大きく異なっており、Rの振動数が217cpmでSの振動数が252cpm。Rはかなり軟らかめの設定で、Sはハードヒッター向けドライバーに近い硬さの設定。どちらもワッグルすると手元側のしなりを感じやすい。また、リアルロフトと表示ロフトの設定が異なり、9度の方はリアル9.5度。対して10.5度はリアル12.75度とやや多め。同じモデルでここまでスペックが変わるドライバーは珍しい。
まずは10.5度Rから打ってみると、独特なインパクト音とともに、ボールが高く打ち出された。ヘッドそのものの特性に加え、シャフト先端側のしなり戻りが大きい。シャフトで打ち出し角が1~2度上がっている印象を受けた。
フェースが薄べったいこともあって、普通の高さにティアップして打つとフェース上側に当たりやすく、この影響で低スピン弾道が打ちやすい。3000回転を大きく越えることは少なく、ゆっくり振ってもしっかり叩いてもスピン量は2400~2800回転で安定。ボール初速を上げて飛距離を出すというよりは「高打ち出し、低スピン」で飛距離を稼げるタイプだ。ただし、かなりボールが高く上がるので、10度Rに関してはヘッドスピードが40m/s以下の人と相性が良さそうである。
続いて9度S。こちらはシャフトが重くて硬い。リアルロフトもそう多くなく、「同じモデルなの?」疑りたくなるほどスペックが異なる。こちらも球は上がりやすいが、シャフトの挙動がシャープ。Rと違ってインサイドからあおるとチーピンが出やすい。反面、フェードを打つイメージでスイングするとシャフトがシャープにしなり戻ってくれるのでしっかり叩ける。そして方向性もいい。こちらもフェース上側で捕らえやすいので、低スピン弾道が打ちやすい。
試打して印象に残ったのがヘッド挙動の安定性。打点位置。R、Sとも多少スイングが乱れても打点がバラつきにくく、フェース中央付近で球を捕らえられる。初中級者にとって、これはかなり助かる性能だ。