マーク金井の試打インプレッション

ナイキ VR_S コバート 2.0 ツアードライバー

2014/05/27 09:00

打ってみると?(弾道は)

コバートはロフト角調整付きなのでヘッドは一種類のみ。シャフトは標準装着品となるグラファイトデザインのツアーAD MT-6のS。リアルロフト角は10.5度のポジションで7.5度。フェースの向きは-3度。前作よりもオープンフェースの度合いが強く、フッカー好みの顔つきになっている。フェースの厚みは約55ミリ。ハードヒッター向けではあるが、フェースはそれほど分厚くない。

シャフトはワッグルすると手元のしなりを少し感じる。振動数は259cpm。アフターマーケット用のSシャフトとしては平均的な硬さだろう。長さはメーカー値、実測値とも45インチ(60度法測定)。クラブ重量は318.6グラムでバランスはD3となっている。長さを考えると、ヘッドはかなり重そうだ。

アイアンで入念にウォームアップしてから打ってみると、「スパーン」と乾いた金属音とともにボールは低く飛び出した。コバートに比べると明らかにスピン量が少なく、強い弾道がオートマチックに打てる。

球筋は真っ直ぐ打てばやや右に飛び出し、フェード弾道。ノーマルポジションだとオープンフェースの度合いが強く、それが弾道に影響しているようだ。ボールを捕まえようとしてインサイドからヘッドを入れるとストレートから軽いドロー弾道。インパクトゾーンでヘッドは返りづらく、ボールを捕まえることよりも、捕まり過ぎを徹底的に排除している感じが手に伝わる。見た目通り、左のミスが出づらいドライバーだ。

実際に弾道を計測してみると、フェース中央付近で捕らえた時は、打出し角9~11度、スピン量は2200~2700回転。フェースの上側で捕えると、スピン量は1800~2300回転に減った。リアルロフト角が小さいことに加え、重心深度が浅いのだろう。ヘッドスピードを46m/s以上に上げても吹き上がる弾道が出る気配が無い。ツアーという名前通り、ハードヒッターが使っても低スピン弾道が打ちやすい。

シャフトは切り返しでシャフトの手元側がクイッと少ししなる。中調子だが手元側がしなるタイプのシャフトで中間剛性が高い。これにより切り返しのタイミングが取りやすく、そしてインパクトゾーンでは弾き感を味わうことができる。

モデルチェンジによって2代目となったコバート2.0ツアー。機能満載なドライバーであるが、ヘッド挙動は完全にヘッドスピードが速いフッカー向け。低い弾道でスピンが少ない弾道が打ちやすい。非力なスライサーには手に負えないドライバーであるが、ヘッドスピードが速いフッカーが使えば、左へのミスを減らせるし、低スピン弾道で飛距離を稼げるドライバーである。

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