マーク金井の試打インプレッション

やさしさとスピードで飛ばす「タイトリスト TS1 ドライバー」

2019/07/30 05:00

打ってみると?

試打クラブはロフト角9.5度。シャフトは純正の「タイトリスト ディアマナ 50」のSフレックス。

スタンダードポジションでヘッドを地面に置くと、フェースがわずかに左を向く。TSシリーズの兄弟モデルがオープンフェースなことを考えると、「TS1」は設計コンセプトが明らかに異なっている。リアルロフト角も少し大きめなので、高めの弾道をイメージしやすい。

クラブを手にして驚いたのが、信じられないくらいクラブ全体が軽いことだ。特に軽さを感じるのがグリップ。相当軽いグリップが装着されているのだろう。

グリップが軽いにも関わらずヘッドが重く感じられず、実際にヘッド重量も軽そうだ。シャフトはワッグルすると手元側がしっかりしており、中間から先端部分がやや大きめにしなる。

まずは軽めにスイングしてみた。兄弟モデルと同じく「シュパーン」と爽快な金属音とともにボールはやや高めに打ち出された。前回試打した「TS4」と同じく、インパクトの手応えはソフト。それでいてボールが鋭く飛び出す。

軽めに振っているのにしっかりヘッドスピードが出ている。自分ではヘッドスピード42m/sぐらいで振っているつもりなのに、弾道計測器は44m/sを表示している。クラブが非常に軽いので、スイング中の抵抗(負荷)が軽減され、いつもよりもヘッドスピードが勝手に上がっているようだ。

ストレートに打つつもりでスイングしたら、ストレートから軽いドロー弾道。見た目通りにつかまりがいい。スライサーがドローを打てるほどではないが、見た目よりも重心距離が短く、インパクトゾーンでフェースを返していきやすい。

ヘッドスピードを上げて弾道計測してみると、打ち出し角は12.5度前後で、スピン量は2500~2800回転。普段と同じにスイングしているにもかかわらず、ヘッドスピードが平均して47m/sを超えている。クラブ全体が軽いことに加え、ヘッド重量も軽めなのだろう。意識しなくてもヘッドスピードが上がる。

ただし、さらにヘッドスピードを上げようとして力むと、クラブの挙動が不安定になる。グリップ側が軽いので、切り返しで力むとダウンスイングで手の軌道が不安定になってしまう。手元側が軽いドライバーは、切り返しで力まないことがポイントだ。

重心が深いので スピン量は安定しており、「TS4」に比べると200~300回転ほど多め。安定したキャリーが出やすくチューニングされている。

操作性に関しては、見た目の通りそれほど高くない。クラブの手元側が非常に軽いので、何かをしようとすると「やり過ぎ」になりやすく、クラブの挙動や弾道をコントロールするのが難しく感じた。直進性の高い弾道を打つことに適したドライバーなのだろう。

「タイトリスト ディアマナ 50」は、切り返しでシャフトの中間部分がやや大きめにしなり、ダウンからインパクトにかけて先端側が適度なスピードでしなり戻る。ニュートラルでややつかまりが良いタイプのシャフトだ。

物理的に軽いと抵抗(負荷)が減り、ヘッドスピードを上げやすくなるが、この「TS1」でもそれが証明され、普段よりもヘッドスピードが1~2m/sほど上がる。ただし、軽さをあなどって必要以上に振り回すと、挙動が不安定になってミート率が下がる側面も持ち合わせている。

TSシリーズで最もつかまりが良く、軽さでヘッドスピードを効率良く上げていける。軽く振ってヘッドスピード上げたいゴルファーや、軽いドライバーを使いこなせるゴルファーにとっては非常に魅力的で、1発目から飛びを実感できるドライバーだろう。

クラブを計測してみると?≫
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タイトリスト
発売日:2019/07/05 参考価格: 77,760円