カーボンウッドが追求する理想の打音と打感
もしも機械がボールを打つのであれば、気にする必要はないのかもしれない。しかし、プレーヤーが人間である以上、ゴルフクラブを選ぶうえで打音と打感は重要な要素となる。
自分の感覚と結果がマッチしているか。気持ちよくプレーできるか。ゴルファーの満足度やスコアに、打音と打感は影響を及ぼす。
やわらかさだけで打感は語れない
打感を表現する言葉はさまざまだが、「やわらかい」はおおむねポジティブな意味で使用されることが多い。一方で、対義語である「硬い」も、「しっかりした打感」や「弾き感がある」など、ニュアンスによっては好印象を与えるなど、好みは多種多様だ。
世界のトッププレーヤーから一般のアマチュアゴルファーまで、多くの層に支持されるテーラーメイドは、クラブ開発の際に打感へのこだわりも追及しているという。
同社日本法人のハードグッズプロダクト・シニアマネジャー柴崎高賜(敬称略、以下同)は、打感についてこう語る。
「ベテランゴルファーの中にはパーシモンの打感は良かったという方がいます。たしかに、当時のフェースはやわらかく、打感もやわらかかったと思います。ただし、それでは飛距離が出ません。打感の良さと共に飛距離を伸ばすことを両立することが大事になります。そのためには、ボールのコアをつぶせるフェースの硬さやヘッドの剛性が必要となってくるのです」
ボールのコアのやわらかさも打感に影響する
感覚的にはフェースの素材が硬くなれば打感も硬く、やわらかくなれば打感もやわらかくなると思われがちだ。しかし、柴崎はまったく逆の考えを示す。
「昨年の『ステルス』シリーズからドライバーに採用している『60層カーボンツイストフェース』は、軽くて硬い素材になっています。ですが、打感が硬いという印象を持つ人は少なかったと思います。その理由としては、軽くて硬いカーボンフェースとそれを後ろから押す重たいヘッド構造により、エネルギーの伝達効率が高まることでボールのコアまでしっかりつぶすことができます。そのため、ボールのコアのやわらかさを感じられるからです」
つまりドライバーの打感は、インパクトの際につぶれるボールのやわらかさを感じられるかどうかが大きく影響しているというわけだ。
もちろん、ヘッドスピードが不足し、ボールのコアまで感じられないというケースも考えられる。そのため、打感の良さは「自分のヘッドスピードに合わせたボールを選ぶこと」も、必要な要素と考えることができるだろう。