TC-920 フォージド アイアン/ヘッドスピード別試打
筒康博「ファン待望の本格派」
―率直な印象は?
「フォーティーンファン待望のオーソドックスな形状、“竹林イズム(※)”を感じさせるフォージドアイアンが来たなという印象です。ギアファンのひとりとして、たまらないモデルです」
―実際打ってみた印象は?
「最近のアイアンは、飛び系と操作系の二極化が進んでいると思うのですが、この『TC-920』はそのどちらでもなく、操作系ではあるものの寛容性もしっかり感じられました。単にコントロールを重視した難しいだけのモデルではなく、ユーザーの求めるやさしさも追求しながら、形状などの妥協しないところは妥協しない。キャビティとマッスルの良いところを両立させたモデルではないかと思いました」
―やさしさを感じるポイントは?
「フェースの真ん中の肉厚がしっかり打感を伝えてくれます。寛容性プラス、打感の良さという点でいうと、『TC-560』とはまったく別物ですね。アスリートモデルのメリットを維持しつつ、大型ヘッドとのギャップを埋めているコンセプトも頷ける構造へのこだわりを感じることができました」
―「TC-560」と違う点は?
「『TC-560』はかなりやさしさに振っていると思うのですが、『TC-920』はいろいろな球筋を打ちたくなるし、さまざまなライに対応できるモデルという点です。『TC-920』のやさしさは、球の上げやすさや飛距離で分かる極端なものではないと思います」
―どういうやさしさ?
「まずひとつは、左右の少しの打点のズレでも、手に痺(しび)れが来ないというやさしさです。スイートエリアの位置がやや低めにあることで、トウ側やヒール側に当たっても、手に痺れが来ない安心感をもつことができます。もうひとつは、球筋をフェードやドローを打とうとしてミスしても、結果的にスライスやフックといった大げさなミスになりにくいというやさしさです。これはスコアをつくるうえで、かなり重要なポイントとなります」
―どのような人向き?
「(個人的な感覚ですけど)何と言っても、持っていて格好良い。もっと練習したくなるアイアンではないかと思います。基本的にはアスリート志向の強いゴルファー向きだと思いますが、さきほど説明したやさしさが欲しいという人には、どんなタイプのゴルファーでもマッチしてくれるモデルかと思います」
※竹林隆光:フォーティーンの創立者であり、数多くのヒット作を手がけた日本を代表するクラブデザイナー
■ 筒康博(47)
変幻自在に球を操るクラブフィッター。クラブフィッティング&レッスンスタジオ「PCM Labo」総合コーチ。プロアマ問わず7万人以上のゴルファーにアドバイス経験を持つ。身長168cm。