300 ミニドライバーを筒康博が試打「3Wの使い勝手には劣る」
テーラーメイド「300 ミニドライバー」の評価は!?
ヘッド体積307ccのコンパクトモデルで、20年前の初代「300」シリーズをオマージュしてつくられたテーラーメイド「300 ミニドライバー」。当時のディテールを再現したデザインが目を引くが、「ツイストフェース」「貫通型スピードポケット」などの最新テクノロジーが搭載されたモデルに仕上がっている。そんな“現代版ミニドラ”を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。変幻自在に球を操るクラブフィッター・筒康博の評価は?
「どっちつかずになってしまうかも…」
―率直な印象は?
「ヘッド体積307ccで、現在のドライバー(以下1W)の主流である460ccの性能をしっかり凝縮してある点は、とても優秀だと思います。ただ、評価がそれほど高くならなかった理由がふたつあります。ひとつは、そもそも私がターゲットユーザーではなかった点。もうひとつは、本来の『SIM2』シリーズの1Wとフェアウェイウッド(以下FW)、それぞれの性能を超えるほどではなかった点です」
―ターゲットユーザーは?
「現在の1Wは大型ヘッドで、重心距離が長く、慣性モーメントが大きい。それが、逆に振りにくさや操作性の低さにつながっているゴルファーは存在します。基本的には3Wのサイズ感でコントロールしてティショットを打ちたいけれど、もうひと回り大きなヘッドで打てるならそうしたい。飛距離を落とさずに操作性も担保したい人がターゲットユーザーと言えます」
―1WとFWを超えていないというのは?
「1Wは1W、FWはFWの高い性能があれば、十分と思ってしまうのが正直な感想です。結果は比較的に飛んでいた(平均232.6yd)とは思うのですが、これくらいは『SIM2 MAX フェアウェイウッド』でも出すことができます。逆に、はっきりと1Wのイメージを切り離せるために使い勝手がよく、これまで持っていたイメージのまま打てる。現在の1Wの安定感、FWの打ちやすさを考慮すると、良い意味でも悪い意味でも、どっちつかずになってしまう気がしました」
―どっちつかずと思った具体的な例は?
「ティアップ時にティの高さを調整するのが難しい点です。1Wのイメージが強いと、ティはあまり低くしたくないですが、高すぎると打点がブレやすくなる。3Wのイメージが強い人は低めにセットすると思いますが、どちらもイメージの違いで不安定な要素が大きい。460ccの1Wのほうが、考えすぎず楽にセットアップできる点で、使い勝手はいいと思います」
―他に気になる点は?
「307ccでのマルチマテリアル(複合素材)構造は、460ccの時よりもカーボン素材の比率を多く感じます。カーボンの軽い感じの打感や、カポッという特有の打音、周りの人には聞き取れないプレーヤーのみが感じる振動音など。カーボンクラウンと他のパーツの境目を強く感じ、『SIM2 MAX ドライバー』と比べると、ややしっくりこない感覚がありました」
―ターゲットユーザーの中でもどのような人向き?
「14本のセッティングで、13本はすでに確定していて、あと1本をどうしようか悩んでいるゴルファー。ティショットに不安があり、ブラッシー(2W)感覚で曲がり幅を抑えたいゴルファー。または460ccのエース1Wが安定せず、“二刀流”体制でサブ1Wとして準備したい人向きです。2本の違いは明確になるため、メリハリをつけられる分、理想的な二刀流を構成できるのでおすすめです」
打感と寛容性で3.0点△…【総合評価3.7点】
【飛距離】4.0
【打 感】3.0
【寛容性】3.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:11.5度
・シャフト:TENSEI SILVER TM50 MD(硬さS)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
プロコーチ、クラフトマン、フィッターとしてプロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験。江東区・インドアゴルフKz亀戸内「ユニバーサルゴルフ スタジオ」トッププロファイラーを務める。