ステルス グローレ ドライバーを筒康博が試打「ロフト角選びは慎重に」
テーラーメイド「ステルス グローレ ドライバー」の評価は！？
ドライバーの新時代を切り開く“カーボンウッド”を提唱するテーラーメイドから、新たに発売された「ステルス グローレ ドライバー」。やさしく飛ばせる「グローレ」シリーズに、「ステルス」で採用した60層のカーボンツイストフェースを搭載することで、飛距離と寛容性の新たな化学反応をもたらすという。そんな革新的モデルを前作「SIM グローレ ドライバー」と比べながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は！？
「カーボンフェース頼みのモデルではない」
―率直な印象は？
「『ステルス』シリーズよりも、カーボンフェースだけが突出して、個性として打ち出しているわけではなく、ヘッド全体でバランスの良い性能に仕上がっています。特に打感は、日本人ゴルファー向けというコンセプトがしっかり伝わるフィーリングで、非常に扱いやすい印象を受けます」
―カーボンフェース頼みではない？
「そうですね。今作が出たことにより、カーボンフェースは『ステルス』シリーズだけの特異なものではなくなり、永続的に続くひとつのカテゴリーとして、認知されていく気がします。今後は、同社だけではなく他社からも登場するほど、普遍的なテクノロジーになっていくのではないでしょうか。そういう意味で、この『ステルス グローレ』はドライバーの新たな時代の流れをつくる、大きな存在といえます」
―「SIM グローレ」との打感の違いは？
「目をつぶって打ち比べると、どちらがどちらなのかが分からないほど、カーボンフェースで懸念点として挙げられる、打感や打音のデメリットは解消された印象を受けます。チタンと何も変わらない違和感の無さ。インパクト時の球持ちが長く、『SIM グローレ』で感じた心地いい感触を、ちゃんと継続しているように感じました」
―打音はどのように改善された？
「『SIM グローレ』と比べると、ややおとなしい中音に聞こえる感じはしますが、そこはフェースの違いというよりも、ヘッド内部の反響の違いが大きいと思います。『アコースティックアジャスター』と呼ばれるソールの凹み形状が影響しているためか、こもるような鈍い感じはありません。インパクトでボールを長く押し出せているフィーリングを、演出してくれる音色。チタンフェースと変わらない響きの長さを、ちゃんと耳まで届けてくれます」
―気になる点は？
「ボールがよく上がるという特徴を持っている半面、ロフト角選びで失敗するリスクも高いと思います。今までと同じロフト角のままだと、弾道がイメージより高くなってしまう恐れがあるからです。カチャカチャ機能付きの『ステルス グローレ プラス ドライバー』とは違ってロフト角調整ができないため、購入前にきちんと打ち出し角をチェックする必要があります。練習場のレンジボールではなく、スピン量が適正の本球(コース使用ボール)で試すことをおすすめします」
―どのような人向き？
「直近の5年間、同シリーズやダンロップ『ゼクシオ』、ヤマハ『UD+2』といった軽量モデルを使っている方で、そろそろ買い替えを考えている人向き。いま以上に飛距離アップやイメージ通りの弾道を打ちたいゴルファーに、新しいテクノロジーを試していただきたいです。比較となる類似モデルは、同時期発売の『インプレス DRIVE STAR ドライバー』になると思います」
違和感のない打感に満点評価【総合評価4.3点】
【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】4.5
【操作性】3.5
【構えやすさ】4.0
・ロフト角：10.5度
・使用シャフト：SPEEDER NX for TM(硬さS)
・使用ボール：川口グリーンゴルフ専用レンジボール
取材協力／トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ
■ 筒 康博（つつ・やすひろ） プロフィール
スイングとギアの両面から計測＆解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。