クラブ試打 三者三様

ステルス2 HD ドライバーを筒康博が試打「『H』が強く『D』弱め」

2023/02/09 07:00

2代目ハイドロータイプ HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?

「60層カーボンツイストフェース」を世に送り出してから一年。テーラーメイドが掲げる“カーボンウッドの新時代”をさらに加速するべく開発された『ステルス2』シリーズは、ヘッド全体のカーボン容量をさらに拡大し、前作以上の慣性モーメントを向上させた。そんな時代の先端を走る2代目シリーズのハイドローモデル「ステルス2 HD ドライバー」を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「ヘッドの挙動が大人しく高慣性モーメントを実感できる」

スピン量は同シリーズではやや多め(平均2377rpm) 弾道は意外にもややフェード気味

―率直な印象は?
「構えたイメージ以上に、『HD』のHigh Launch(ハイローンチ/高打ち出し)の“H”の要素が強いことが分かります。一方、Draw(ドロー)の“D”の部分はというと、スタンダードモデル『ステルス2 ドライバー』と比べて若干クローズ気味で、ドロー要素は見受けられますが、インパクト前後でヘッドが返りやすいほどのドローバイアスは感じられません」

30gのタングステンウエイトが搭載された「イナーシャ ジェネレーター」をヒール寄りに配置

―“D”の要素が弱め…?
「ドローボールが打ちやすいというよりも、打ち出しで右に出る失敗がないまま、ストレートボールが打ちやすいタイプといえます。それほどドローを意識したモデルではなく、ちょうどニュートラルな性能と感じる人は多いかもしれません。それ以上に“H”が強く感じる点は、シャローバック(ヘッド後方が低い構造)ではないのに、ボールが楽に上げられるところ。多少ヘッドを上から入れ、ボールを潰し気味に打っても、逆にすくい過ぎてしゃくってしまっても、ヘッドが大きくブレずに高さが担保できる適度なインパクトロフトをつくりやすいと感じられました」

左からスタンダードモデル、HD、プラス。それぞれ後方ウエイトの重さが違う(25、30、15g)

―同シリーズ内でも「HD」がかなり変わったと聞いていますが?
「初代『ステルス』、2代目『―2』の全モデルの中で、一番ヘッドの挙動が大人しく、慣性モーメントの大きさを感じます。これまでHSの速さやスイングタイプによって、“飛び”と“つかまり”を感じられる人とそうでない人の差が明確だった同シリーズですが、今作『HD』に関しては、誰もがやさしく感じられる。ヘッドがブレにくく、ボールが曲がらない性能を十分味わうことができる性能に仕上がっています」

ヘッド後方は「イナーシャ ジェネレーター」の凸によって若干ディープにも感じられる

―前作「ステルス HD ドライバー」と比べると?
「前作『HD』は、他の兄弟モデル2機種と似ていて、アドレス時に上から見た形状が判別しにくかったのですが、今作『HD』は、全体的にシャローフェース(上下の幅が狭い)ではあるものの、後方はシャローバックになっていません。途中ヒール側のボリュームは落とし気味ですが、それほど後方が低すぎない。ボールが上げやすく寛容性が高いのに、操作性も兼ね備えていた21年発売『SIM2 MAX ドライバー』に似た雰囲気が、前作とは異なる点だと思います」

ミスヒット時の初速低下を抑え、安定性と再現性が拡大した新カーボンフェース

―気になるデメリットは?
「カーボンフェースの強い飛びを求めている多くの『ステルス』ファンからすると、スピンがしっかり入る点で、物足りなさを感じる人はいるでしょう。ただ逆を言うと、初代『ステルス』シリーズでは、ボールが上がり切らず、つかまらないとハードに感じていた方にとって、恩恵を受けられるモデル。特に“H”の要素で、キャリーの大きさで飛ばせる実感が湧くモデルかなと思います」

「『ステルス グローレ』ほどではないまでも やさしさはシリーズNo.1」と筒

―どのような人向き?
「飛距離を伸ばしたいけれど、方向性も失いたくないという、欲張りなゴルファー向き。やさしさを感じながら、しかも飛ぶモデルを探している多くのゴルファーに、一度は試してもらいたいです。まずは純正シャフト(TENSEI RED TM50)のまま試打をして、重量や硬さに歯ごたえが感じられない方は、カスタムモデルも視野に入れて購入を検討してみてください」

総合点はスタンダード評(4.5点)よりダウン【総合評価4.3点】

【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】5.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:TENSEI RED TM50(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

テーラーメイド
優れた飛距離性能と高い寛容性に加え、ハイドローバイアス設計により高弾道で飛ばせる「カーボンウッド」
発売日:2023/02/17 参考価格: 93,500円