クラブ試打 三者三様

ツアーAD CQを西川みさとが試打「ヘッドの相性を問わない鋭さ」

2023/04/11 07:00

「ツアーAD」では珍しい先調子系 HS30m/s台の女子プロ評価は!?

ツアーでの高いシェア率を誇るグラファイトデザイン「ツアーAD」シリーズから、最新モデル「ツアーAD CQ」をピックアップ。ウッド系シャフトでは珍しい先中調子で、近年発売のドライバーに多い低スピン設計のヘッドに、高弾道とつかまりをプラスする性能に仕上がっているという。そんなトレンドを押さえた“イマドキ先調子系”を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「シャキッとシャープに動く新たな先調子系」

さすがと唸ってしまうほど 全くブレがなく一定の弾道で収まる結果に

―率直な印象は?
「振っている感触は、かなりスッキリとした軽快なフィーリングで、HSに合わせた適度なスピードで振り抜け、全体的なスムーズさが強く印象に残ります。今回は『4S』でしたが、軽くてちょっとしっかりめのスペックのイメージそのままに、とにかく軽快に振り抜けるスッキリ感が心地よかったです」

CQは「Conquest(コンクエスト・征服する)」の略。最新ヘッド群を征服するか!?

―スッキリ感というのは?
「良い意味で手元・中間・先端のどこかがすごく動くわけではなく、全体の動きがシャキッと、シャープに挙動する印象です。どこかが大きくしなるタイプだと、スイングでタイミングを図ってしまうのですが、この『CQ』は最後まで振り切ってしまえば、ボールが素直に飛んでいく。以前の先調子系は“走り系”と呼ばれ、先だけがビュンビュン動くタイプが多かったのですが、それとは全く違う動きをしています。走り感でも粘り感でもなく、全体の瞬発力で動くイメージ。どんなヘッドとも合う点に、新しい先調子の形を感じました

西川が試打した4S(重さ:49g、トルク:6.0、チップ径:8.5mm、バット径:15.25mm)

―過去の同シリーズとの違いは?
「今までの『ツアーAD』は、どこかハードで、しっかりクラブを振り切れる人向きという印象が強かったのですが、この『CQ』は先調子という点で、やはり難しい印象はなく、全体の動きでしっかり振り切れてボールをつかまえられます。これまでの同シリーズのイメージが変わるくらいスッキリした感触で、なかなかハードルが高くて手が出せなかった方にも、問題なく扱える『ツアーAD』の入門的モデルになってくれる印象です」

「ステルス2」ロフト10.5度との組み合わせは良好な模様

―テーラーメイド「ステルス2 ドライバー」のヘッドとの組み合わせは?
「『ステルス2』自体、初代『ステルス ドライバー』よりスピンが適度に増え、安定感が増して好印象だったため、今回の『CQ』の高評価に大きく影響しているでしょう。ただ、純正シャフト(TENSEI RED TM50)よりは、少しボールの打ち出し角は抑えめに出ていたので(平均13.4度)、ティをやや高めにセットし、弾道を高く上げる工夫は必要かもしれません」

手元側はゴールド×赤×ブラックの縞模様。中央から先にかかけては黒一色

―気になるデメリットは?
「性能面では見当たらないので、あとは個人的にカラーリングが気になるところだけでしょうか(笑)。『ツアーAD』の象徴である縞(しま)模様の色味が、ブラック×ゴールドで、やや重厚感を持たせるため、性能の軽快さと少しかけ離れている印象を受けます。勝手なイメージながら、女性が使うには少し手に取りにくいカラーリング。男性ゴルファー限定といったハードルの高さを感じるのですが、これは完全に私の主観です…」

「どんなヘッドとも合うし、操作性が高いのでどんなヘッドにも合わせられる」と西川

―どのような人向き?
「ヘッドの相性も特に制限なく、対象ターゲットも特に固定なく扱えるシャフトだと思います。体力の有無やスイングタイプを問わず、スペックさえ合わせれば、どんなタイプにもマッチする。私が試打した40g台であれば、非力な女性ゴルファーでも扱えると思います。逆に、このスッキリ感に合わないヘッドを探すほうが難しいといえるのではないでしょうか。色味を気にしなければ…(笑)」

走り感・粘り感では表現できない特性【総合評価4.1点】

【走り感】4.0
【粘り感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.5
【デザイン】4.0

・使用モデル:4(硬さS)
・使用ヘッド:テーラーメイド ステルス2 ドライバー(ロフト角10.5度)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。専大時代の1998年に「日本女子学生選手権」で優勝。大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場した。2002年のプロテスト合格後は、飛距離こそ出ないものの、ショートウッドを巧みに使う技巧派として、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで人気を集めた。

グラファイトデザイン
先調子系でつかまる「飛び」の次世代モデル
発売日:2022/10/07 参考価格: 44,000円