ミズノプロ 243 アイアンを西川みさとが試打「やや難度高めの美キャビティ」
クロモリ×軟鉄のハーフキャビティ HS30m/s台の女子プロ評価は!?
「241」「243」「245」の3モデル構成で登場した23年「ミズノプロ」シリーズ。今回は4~7番にクロムモリブデン鋼、8~PW/GWに軟鉄を使用した鍛造ヘッドを1セットにし、飛びと打感の良さを共存させたハーフキャビティ「ミズノプロ 243 アイアン」をピックアップした。前作「ミズノプロ 223 アイアン」と比べながら有識者3人が採点。まずは、HS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。
「キャビティなのに美しい 性能は少し“難”かも…」
―率直な印象は?
「キャビティバックといえば、マッスルバックと違って複雑な構造でスマートさに欠ける見た目の印象ですが、『243』はとてもきれいなシルエットで、見惚れてしまう形状に仕上がっています。ソール幅もそれほど薄くはなく、ボールの上げやすさも感じやすい。見た目の美しさとやさしい性能を求めるゴルファーには、文句の付けようがない完成度といえそうです」
―兄弟モデル「241」と比べてもスマート?
「うーん…。確かにスマートではありますが、マッスルバックの『241』よりはサイズがやや大きく、見た目からやさしさを感じられる外観になっているので、違いはちゃんと表現できています。打点ミスを起こしてもボールを拾ってくれるイメージが湧く。『241』とはそもそもジャンルが違うので、比べようがないのが本音です」
―前作「223」と比べると?
「結果的に今作のほうがボールのつかまり具合は高かったですが、違いはあまり感じませんでした。前作も適度なやさしさと、大きすぎないフォルムで理想的な顔立ちといえます。ボールをやさしく上げやすい性能も同じで、『3』シリーズの一貫したコンセプトを感じます」
―HS(1Wで)40m/s未満だと厳しい?
「そうですねー…。扱えないことはないのですが、実戦でのスコアメークを考えると、やや難しくプレーヤーが構えてしまう雰囲気はあります。大型でやさしいモデルが多いなか、あえてこの『243』を選ぶ人はちょっとレベルが高いのではないでしょうか。今回の試打クラブが、いま使用しているモデルよりも重い設定だったため、タイミングを取るのに苦労したことも影響しているとは思います」
―現在使っているアイアン(本間ゴルフ「TW747 P アイアン」)と比べると?
「国内女子シニア最終戦『JLPGAレジェンズチャンピオンシップ』優勝時も使用していたモデルですが、シャフトはNSプロ Zelos(ゼロス) 7で、今回のモーダス3 105(S)と20~30gの差があります。そうなると、タイミングを取ることが非常に難しくなるのですが、『243』のヘッド自体にはそれほど難しさを感じませんでした。打感も違和感なく、多少やわらかく感じるほど。つかまり具合も弾道の高さも理想的です。あとはもう少し飛距離を出せれば…(平均139.6yd)と欲張ってしまいます」
―どのような人向き?
「基本的にはアイアンが得意で、しっかりボールを上げられる能力を持っている人向き。HSは最低でも30m/s台後半、40m/sは欲しいところで、私のパワーがギリギリのライン。顔はとても好みなので、あとは実際に芝の上からピンを狙うのにどれくらいイメージ通りに打てるか。やや難度は高めですが、次に使ってみたいモデルとして候補のひとつに挙げたいです(笑)」
総じて平均点は高め 打感&構えやすさは4.5点【総合評価4.2点】
【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:32度(7I)
・使用シャフト:NSプロ モーダス3 105(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 西川みさと プロフィール
1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保・古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。