クラブ試打 三者三様

ミズノプロ 243 アイアンを筒康博が試打「スコアメーク重視派のど真ん中モデル」

2023/09/14 20:26

クロモリ×軟鉄のハーフキャビティ HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?

23年モデルとして「241」「243」「245」の3機種構成で登場した「ミズノプロ」シリーズ。今回は、4~7番にニッケルクロムモリブデン鋼を使用した鍛造と、8~PW/GWに軟鉄鍛造とを1セットにし、飛びと打感の良さを共存させたハーフキャビティミズノプロ 243 アイアン」をピックアップ。前作「ミズノプロ 223 アイアン」と比べながら有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「『JPX』とは違った形 これぞメイド・イン・ジャパンの気概」

7Iの割にやや高めの弾道 「とにかく高さが出しやすい」と筒

―率直な印象は?
「構えたときに、しっかりフェースが見える安心感があり、しかもヒール側の高さが抑えられていて、すごくターゲットに合わせやすく構えやすかったです。ロフト角(7Iで32度)は、ものすごく寝ているわけでも立っているわけでもなく、どんなプレーヤーに対してもプレッシャーを与えない顔立ち。それなのに実際に打ってみると、ボールを上げやすく、距離がちゃんと出ていて結果がいい。見た目と打ちやすさの両立を成したアイアンという印象を強く受けました」

上からでも適度にフェース面が視認できて安心感が抱ける顔立ち

―前作「223」と比べると?
「見た目は大きく変化していないのに、前作と比べて、今作はキャビティの長所を出しながら、すごく感触・操作性・直進性を感じることができます。重心バランスなのか、キャビティ部分の深さなのか、微小な設計の違いでここまで気持ちよく飛ばせるモデルができるのかと驚きました。これまでは少し遠いと思えた落とし所にも、キャリーでボンッと軽く飛ばせ、狙い通りに落とすことができる。見た目ではより小ぶりになっているのに、確実に飛びを実感できるモデルに進化していました」

左が「243」右が「223」。全体的にややコンパクトなサイズ感に

―同社「JPX」シリーズに近づいた印象?
「そもそも『ミズノプロ』はソフトな打感、『JPX』はややソリッドで力強い弾道と差別化されてきましたが、今作では同シリーズのもともとの要素を維持しながら『JPX』要素を含んでいる印象を受けます。ミズノアイアンは、以前からメイド・イン・ジャパンの筆頭ブランドであり、今作はグローバル展開しながらも、改めてそこにもう一度注目してもらおうという気概が感じられます。同じく世界展開している『JPX』とはまた違った世界観で、グローバルなライバルと十分に対峙できるモデルに仕上がった印象を受けます」

打点が集中する中央バックフェース側の厚みが増して肉厚に

―小ぶりになったことで兄弟モデル「241」と対象ユーザーが重なりそう?
「うーん正直、迷う人は多いかもしれません。アイアンの場合、今現実的に打てそうなモデルを選ぶ人がいる一方、自分の将来的な伸びしろを考えて、少し難しいシャープなモデルを選ぶ人もいるからです。そんな中で、この『243』は現実派の“ど真ん中”に該当するアイアンかと思われます。寛容性も高さも距離も出せて、どんなライからでも自分の弾道がつくりやすい。スコアメーク重視派の中心的モデルといえるのではないでしょうか」

ダイナミックゴールド120(硬さ:S200、重さ:118g、調子:手元、クラブ総重量:7Iで431g)

―気になるデメリットは?
「唯一気になる点は、何番アイアンからキャディバックに入れるかで、頭を悩ませてしまうところ。『ミズノプロ』を求める人は、アイアンが好きな方が多いと思うので、4、5番もセッティングに入れたいと望む人は多いのに、7番であれだけ高さを出せて距離も出るということは、5番以上は必要ない…?と悩む人が多い気がします。あとは、合わせるシャフトもどれがいいかで悩むところでしょう。『ダイナミックゴールド 120』で、あれだけ飛ばせたということで、もっとそれ以上に飛距離を求めるべきか、ミスヒットに寛容な軽量モデルにするべきか。理想とするゲームの作り方で、選択肢が大きく変わってくると思います」

「パッと見では分からない性能がこの中に凝縮されているのか…」と感心する筒

―どのような人向き?
「ミズノアイアンの元来のファンはもちろん、それほど興味がなかった人にも、お勧めしたいモデルです。小ぶりのサイズでも直進性が高く、やさしさを感じたい人には、一度試打してもらいたい。自分が気に入っていたモデルと比較して、大いに悩んでほしいと思います。それくらい完成度の高さを感じられる。アイアンの進化がまだまだあることを再認識させてくれました」

寛容性・構えやすさが満点◎ 穴のないバランスの良さ【総合評価4.5点】

【飛距離】4.5
【打 感】4.0
【寛容性】5.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:32度(7I)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド 120(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

ミズノ
飛距離とコントロールの両立を追求したプレーヤーズキャビティアイアン
発売日:2023/09/15 参考価格: 151,800円