クラブ試打 三者三様

タイトリスト T100 アイアンを堀江智史が試打「ボールを押せる感じが増大」

2023/09/30 20:00

打感&安定感が両立した新「T100」 ギアに詳しいレッスンコーチの評価は!?

「T100」「T150」「T200」「T350」の4機種展開で発売された2023年モデルのタイトリスト「T」アイアンシリーズ。今回はその中から、抜群のフィーリングと安定性を生み出す鍛造ハーフキャビティ「T100 アイアン」をピックアップする。前作「2021年モデル」と比べながら有識者3人が採点。ゴルフテックで1・2を争うギア知識を持つコーチ・堀江智史の評価は!?

「『100』でこれほど飛ぶとは… フェース下部の厚みに注目」

ややつかまりすぎ? 飛距離は出ているものの弾道は左へ

―率直な印象は?
「シリーズの中で一番シンプルで、バックフェースが薄い印象でしたから、これほど飛ぶ結果になるとは思いませんでした(平均165.4yd)。ロフトは立っていないのに(7Iで34度)、高さも出て、前に飛ばせている実感がある。イメージしていたよりもつかまり具合が強く、弾道がやや左に行き気味ではあったのですが、これはシャフトのスペックを合わせたり、使用しているコースボールで調整すれば問題ないレベル。方向性よりも、まずはその飛距離性能に驚かされました」

左から「T100」「T150」「T200」「T350」。4機種の中では一番飛距離は出ないはずだが…

―試打中に「気持ちいい」と何度もおっしゃっていましたが?
「そうですね。弾道は高く上がりますが、それほど高すぎず、適度に前に強く飛んでいくイメージが湧くので、打ったプレーヤーの視点から、すごく飛ばせている印象を感じやすい。ただ単に前に飛ぶ、打ち出し角が上がるだけではない、フィーリングとして飛ばした気にさせてくれる気持ち良さ。打感、打音、構えやすさと、総合的な魅力に溢れたシリーズだからこそ、つい試打中に感想が漏れてしまったのかもしれません」

フェース下部のトウ・ヒール側に高密度タングステン(D18)を配置

―飛距離性能の高さが感じられる要素はどこ?
「ヘッドがコンパクトで、フェースターンしやすい点が大きいと思います。フェース下部が予想以上に肉厚で、ボールへの当たりが若干強い印象を受けます。細かく言うと、分厚くなっているというより、分厚いゾーンが高い位置まで広がっているという表現が正しいでしょうか。その分だけインパクトでボールを押せているフィーリングを感じる。想像以上の飛びは、この分厚さによるものと思われます」

左が23年、右が21年モデル。バックフェース下部のデザインが若干変更された

―前作2021年モデルとの違いは?
「ごめんなさい、正直違いまでは分かりませんでした。構えて上から見比べると、今作のほうが、若干トップブレード(フェース上部の頭のライン)が厚くなっているくらいで、当たったときの打感の厚みは感じますが、大きく球筋に影響しているほどではありません。どちらも心地よく振り抜けて、気持ちよく飛ばせていけるモデル。21年から23年モデルにかけて大きく進化したというよりも、前作『T100』の要素を押し進めて正統進化したという感じです

弾道の安定性を向上させるという同社独自の精密仕上げフェース

―同時期発売の「ミズノプロ」と比べると?
「ミスに対する寛容性でいうと、『ミズノプロ 241 アイアン』よりマイルドで、『ミズノプロ 243 アイアン』に近い感じ。ですが、スイートエリアで芯をとらえたときの当たりの強さは、『T100』のほうが上です。全体的にボールを押していける印象で、『T100』のほうが若干強さを感じます。その点で『ミズノプロ 245 アイアン』と比べると、弾いている感じは弱く、出球の勢いは落ちますが、狙った所へ打ち出して思い通りにボールを運ぶアイアンとしては、高性能を味わえます」

「『ミズノプロ』より少しだけ飛距離重視型シリーズといえるかも」と堀江

―どのような人向き?
「飛距離に特化したクラブ、操作性に振ったシビアなモデルではないので、自らの弾道を把握して、操作していきたい人向き。ある程度の距離も出していきながら、ドローとフェードを打ち分けたいゴルファーに向けたモデルといえます」

前回高評価の「ミズノプロ 245(4.5点)」超え【総合評価4.7点】

【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:34度(7I)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 堀江 智史(ほりえさとし) プロフィール

1979年10月25日生まれ、千葉県出身、ゴルフテック横浜所属。
学生時代に体育教師を目指していたが、ゴルフの面白さに触れレッスンの道を志す。学生時代に運動力学や機能解剖学を学び、小手先の動きではなく、体の「どの部分」を動かすと「どのように動くか」を分かりやすく説明することを心がけている。ギアの知識も豊富で、クラブの物理学的視点からアプローチしたレッスンも展開している。

タイトリスト
発売日:2023/08/25 参考価格: 165,000円