タイトリスト T150 アイアンを西川みさとが試打「シャープさの中に微小なやさしさ」
23年モデルから新登場「T150」 HS40m/s未満の女子プロ評価は！？
タイトリスト「T」アイアンシリーズの中でも、新たなネーミングで登場した「T150 アイアン」。ボール初速と寛容性の向上を目指して新たに開発されたモデルとして、過去作にはない新たな特徴と性能を持ち合わせているという。そんなNEWモデルを、あえて前作「T100S アイアン」と比べながら有識者3人が採点。まずは、1WのHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。
「シビアさは『T100』と同等 見た目から来る重圧にヘトヘト」
―率直な印象は？
「『T100』のときと同じ感想になってしまいますが、アドレスして上から見た印象ではどうしてもシビアに見え、少しのミスも許されないプレッシャーを感じてしまいます。小ぶりなサイズと同社独特の角張った形状が、私にはややハードに見えてしまいます。『T100』より若干やさしくは感じますが、それでもまだ実戦で使えるほどの寛容性が備わっているようには見えません」
―具体的にはどこが一番シビア？
「ヒール側がやや狭く、スイートエリアも狭く見える部分です。そのうえ少しフラット気味のため、ボールがあまりつかまらないような気がしてしまう…。『T100』よりはボールを拾ってくれそうな印象を受けますが、それでもある程度の技量とHSがないと扱い切れないイメージが湧いてしまいます。ただ、絶対的にスピードが必要と感じた『T100』に比べれば、多少の寛容性は高まる分、対象ユーザーは若干広い気がします」
―前作「T100S アイアン」と比べると？
「『T100S』と見た目はそれほど変わらなくても、ボールのつかまり感があり、弾道の高さもイメージ通りです。意外と扱える実感は湧いてきます。ただ、それはあくまでも私が好調を維持していないといけないときの話で、少しでも油断をしてしまうと、すぐミスショットが出てしまう危険性を含みます。ボールは結果的に浮いて、やさしさを感じる部分もありますが、1WのHS30m/s台の非力なスインガータイプにはシビアでしょう」
―打感の評価は？
「打感についてはやわらかすぎず、硬すぎず、適度なフィーリングが得られます。感触は『T100』と同じで、全く扱いにくい感覚はありません。弾道も思っている高さは出ていましたし、実際に振ってみた感想ではシビアすぎる感想は持ちませんでした。顔の印象と実際に打ったときの印象では、多少違いはあるようです。見た目と性能のギャップが大きいイマドキのモデルとは一線を画しますが、見た目のスマートさに反した微小なやさしさは感じます」
―同時期発売の「ミズノプロ」シリーズと比べると？
「『ミズノプロ』も『241』と『243』に関しては、『T150』と同じような小ぶりさで、見た目で受ける難しさは変わらないのですが、シャープな中でもやや丸みを帯びた形状で、『T』シリーズよりはマイルドな印象を受けます。タイトリストは“洋顔”と呼ばれるトウとヒール側の高さの差が小さいフラットな逃げ顔をしている分、一球ずつ精一杯打たないといけない気持ちに陥ってしまう…。4～5球のテストなら問題ないですが、これを1日続けるとなるとちょっとハードで厳しいです」
―どのような人向き？
「パワーのあるHSがある程度速いゴルファー限定。『T100』と同じく1WのHSは42～43m/sが最低ラインで、バンバン振り切れる人でないとダメかなと思います。それくらいパワフルなスイングが求められるアイアンで、見た目のプレッシャーに打ち勝てる技術も必要です。『T100』『T150』は多少の寛容性の違いはあるものの、私にとってはどちらも同じくらい難しく、手の届かない存在といえます」
T100(総合3.7点)に続いて辛口評価【総合評価3.8点】
【飛距離】4.0
【打 感】4.0
【寛容性】3.5
【操作性】3.5
【構えやすさ】4.0
・ロフト角：32度（7I）
・使用シャフト：NSプロ モーダス3 TOUR 120（硬さS）
・使用ボール：リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力／トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 西川みさと プロフィール
1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保・古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。