オノフ ドライバー KUROを住吉大輔が試打「寛容性大でKUROイメチェン」
さらに進化した調整テクノロジー1W 屈強なレッスンコーチの評価は!?
“重力主義”をテーマにしたカウンターバランス設計が特徴の「オノフ ドライバー KURO」。前作の2021年発売モデルに続き、最長飛距離を生むための重ヘッドを、ソール3カ所とグリップエンドに同じウエートを付け替えられる「クロスバランステクノロジー(XCBT)」で調整できる仕様となっている。そんな独自設定をパワーアップさせたモデルを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ゴルフテックで1・2を争う強振スインガー・住吉大輔コーチの評価は!?
「ここまでミスに強い? 意外にも『G430 MAX』に通ずるコンセプト」
―率直な印象は?
「同社のアベレージ向け『AKA』シリーズより中上級者向けの『KURO』ということで、操作性が高いモデルだと予想していたのですが、とにかくミスに対する寛容性が高く、直進性が一番の魅力になっている気がしました。もちろんボール初速も出ていますが(平均71.9m/s)、ドーン! と大きく前に飛ぶというよりは、フェースのどこに当たっても曲がらないブレずに飛ばせるモデル。高慣性モーメントヘッドと言っても良いほど、事前イメージよりだいぶやさしい印象を受けました」
―ブレずに飛ばせるモデル…?
「はい。同時期発売のブリヂストン『B-Limited B1LS ドライバー』を評価した直後だからかもしれませんが、シビアな感覚は全く起きず、余計なことを考えずにスッと構えてポンッと打っても、しっかり飛んでくれる。それほど強振しなくても意外と初速が出て、驚かされる場面も多かったです。明らかにヒール側でヒットしたミスショットも、ボール初速69m/s近く出てくれていたので、芯を外してもスピードが落ちない強みを感じました。構えて上から見たイメージも相まって、かなり安心して振り抜くことができました」
―上から見たイメージも安心要素に?
「そうですね。構えたときに、前作と比べてヘッドがややシャローになっている(低くなっている)点が安心要素になりました。横に並べないと気が付かないレベルの差ですが、ディープフェース気味の前作と比べ、高弾道が出るイメージが湧くシャローフェースに変化しています。上下の高さが抑えられたぶん横に広がり、投影面積が拡大した印象。性能面にサイズ感の変化もプラスして、前作よりかなりやさしさを感じられるモデルに進化したと思います」
―カウンターバランス設計の振り心地は?
「実はヘッドの重みをしっかり味わいたいタイプで、もともとカウンターバランスのクラブが苦手なのですが、今作は標準設定でも十分に適度な重みが感じ、シャフトのしなり戻りも適度で、違和感なく振り抜くことができました。正直、同社のモデルをこれまで打ったことがなかったのですが、今作は穴という穴がなく、総合的に平均点が高いことが分かり、新たな発見がありました。現在エースドライバーとして使っているピン『G430 MAX ドライバー』にも近い要素を感じたので、一度入れ替えて使ってみたいと思いました」
―打感の評価がやや辛口(評価3.5点)の理由は?
「ミスヒットに対する寛容性が高くなった半面、打感は少しドヨンとしているというか、はっきりとフェースのどこに当たっているかが分からない瞬間がありました。独特のキーン! という乾いた甲高い打音に慣れていないだけかもしれませんが、無味な感触を連想してしまう音に意識が持っていかれ、少し打感に集中できない場面がありました…」
―どのような人向き?
「一発の飛びよりも寛容性重視のクラブなので、方向性に悩んでいるゴルファー向き。ミスショットを減らそうと、高慣性モーメントのモデルを探している人向きといえます。『KURO』というイメージを抜きに考えれば、初級者の使用もありではないでしょうか。前作と比べても寛容性はかなり向上しているので、ターゲットは以前より幅広くなっています。自分にはまだ『KURO』は早いなどと決めつけず、その直進性の高さを味わっていただきたいと思います」
寛容性5点満点◎ それ以外はやや伸び悩み…【総合評価3.8点】
【飛距離】3.5
【打 感】3.5
【寛容性】5.0
【操作性】3.0
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:CBT:624D(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 住吉 大輔(すみよしだいすけ) プロフィール
1988年10月30日生まれ、神奈川県出身、ゴルフテック横浜所属。高校時代に競技ゴルフを始め日本体育大学に進学。大学在学中にレッスンプロの道を目指し、レッスンに必要な運動力学や機能解剖学を専攻。感覚的なレッスンではなく科学的に分析をし事実に基づいたレッスンを行い、初心者から上級者まで分かりやすく丁寧なレッスンを心がけている。