スリクソン ZXi5 アイアンを筒康博が試打「国内女子のど真ん中アイアン」
ツアー高使用率ブランド「5」シリーズの最新作 ご意見番クラブフィッターの評価は！？
「ZXi」として、11月に発売されたばかりのダンロップ「スリクソン」新シリーズ。国内ツアープロの使用率が高い同シリーズアイアンは、独自の鍛造工程&熱処理加工「i-FORGED」がもたらす同ブランド史上最高の打感と、驚異のボールスピードを実現する「MAINFRAME(メインフレーム)」が特徴となっている。その中から今回は、操作性と寛容性のバランスに優れた「スリクソン ZXi5 アイアン」を、HSの異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が試打評価を行った。
「さらに高まったバランスの良さ 『4』からも『7』からも移行組が増えそう」
―率直な印象は？
「前作『ZXi5 Mk II アイアン』は国内女子ツアーやアマチュアでも使用率が高く、評判のいいシリーズでしたが、今作はより進化が感じられて全要素のバランスがさらに高まった印象を受けます。操作性も向上しているのにボールもやさしく上がり、スイートエリアも拡大。実際に試打中ミスを連発してしまいましたが、コースでは最低でも池やバンカーは越えられそうなラインで踏みとどまってくれました」
―バランスがさらに向上した？
「はい。比重の異なる素材を使っていることが、振っているだけでも伝わり、慣性モーメントを高めていることを実感できます。しかも打感はよりコンパクトな『7』シリーズに近くなった印象で、食いつき感が増しています。“調味料少々”程度に『7』の要素が加わり、弾きとソリッドさが少しだけマイルドになりました。前作より今作の打感が好きという声は多くあがるのではないでしょうか。しかもミスショット時は、飛距離ロスや左右の曲がり幅が大きくならない。フェースの肉厚の最適化と、低すぎず高すぎない絶妙な重心位置によって、緻密に計算された打感の良さとやさしさを味わうことができます」
―ダフリに対する強さも感じる？
「そうですね。前身である『Z』シリーズの頃から比べ、少しずつV字ソールの角度は緩やかに変化しているのですが、そこが程よい抜けの良さを感じさせます。人工マットでショットした後のソール跡を見ると、接地面積の少なさが分かる。取り立ててそこが大きな性能を発揮するわけではなく、ソールの存在感は最小限に抑え、しっかり機能を果たしている。陰の仕事人がより任務をしっかり遂行しているといったところでしょうか」
―気になるデメリットは？
「前作も同様でしたが、同シリーズ『5』か『7』かで非常に迷うところ。同社はセット売りが基本なので、ロングアイアンだけ『5』ミドル以下は『7』といったコンボは推奨されていません。打感がマイルドになったことで、これまで『7』ユーザーだった人も移行する可能性は高いでしょう。また、寛容性も上がっているので、飛距離性能の高い『4』ユーザーが移行してくる可能性も高い。ストライクゾーンの幅が広がって絞りにくくなったと懸念する人はいるかもしれません。ですが、買って損をする性能ではないため、メリットと捉える人は多そうです」
―他社でいうと類似モデルは？
「パッと思い浮かぶライバルは、タイトリスト『T150 アイアン』。見た目の格好良さと、操作性＋寛容性の両立した感じが類似しています。平均的ロフト設定（7番で31度）の高水準バランス型ということで、同じように国内の女子プロが使用する“ど真ん中”モデルと呼べるのではないでしょうか。ただ、どちらも類似というよりは、他社が追いかける構図と捉えるほうが的確で、他ブランドが類似を目指す目標となるべきモデルといえます」
―どのような人向き？
「これからゴルフを始める初級者から、飛距離を求め続けるシニアまで、誰もがしっかり打ちこなせるアイアンです。クラブとともに上達でき、練習量が減っても体力が落ちても、再びハイスコアを狙える相棒になり得る。同社を代表するグローバルブランドであり、その中心が私は『5』だと思うので、まずは今作を試してみてから『ZXi7』or『ZXi4』を検討するべき。『5』を打たずしてスリクソンは語れない、と言ってもいいのではないでしょうか」
高水準の性能に納得の評価 もはやオール5に近い全4.5！？【総合評価4.5点】
【飛距離】4.5
【打 感】4.5
【寛容性】5.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5
・ロフト角：31度（7I）
・使用シャフト：Diamana ZXi、NSプロ モーダス3 ツアー105、NSプロ 950GH neo（全て硬さS）
・使用ボール：リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力／トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博（つつ・やすひろ） プロフィール
スイングとギアの両面から計測＆解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。