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あなたのスイングに合うのはFW?UT?飛び系? ロフト21~24度の選び方

2021/07/06 12:15

ウッドとアイアンの境目 スイング別の最適モデルは!?

テーラーメイド SIM2 シリーズ3本を使用して解説

フェアウェイウッド(以下FW)とロングアイアンの間――ロフト角にすると、21~24度の選び方で悩むゴルファーは多い。前回は候補となるFW、ユーティリティ(以下UT)、ロングアイアンの特性の違いについて紹介した。そこで今回は、スイングタイプ別の最適な選び方について、ギアの知識だけでなく、ティーチングプロとしても多くのアマチュアから支持を得ている石井良介プロに解説してもらった。

「払い打ち気味だからFW」は勘違い!

長さは違うもののインパクト時の体勢はほぼ同じ

ソール幅の広いFWやUTは払い打ち、ソール幅の狭いアイアンはボールの上から打ち込むダウンブローが最適という考え方が一般的ですが、これは間違いだと思っています。

どんなクラブでもインパクト時に右ひじは曲がっているもの

FWでもUTでもアイアンでも、芝の上からボールを打つときは、すべてダウンブローが基本なのです。ティアップしてボールが浮いている状態なら、払い打ちでもクリーンにヒットできますが、平らな地面から打つ場合、どのようなクラブでも下から上に入るアッパーブローでは、スイングの最下点がボールの手前に来て地面を削ってしまいます。基本はダウンブロー、もしくはインパクト前後は限りなく水平に近いレベルブローが求められます。

ロフト角はそれぞれ7Wが21度、4Uが22度、6Iが22.5度

トラックマンには、ボールに当たる瞬間のヘッドの入射角を示す「アタックアングル」というデータがあり、基本的にプロや上級者のスイングでは、ダウンブローの結果であるマイナスの数値になります。それ以上の角度が出ると、FWでもUTでもロングアイアンでも基本的にミスヒットになってしまいます。

アウトから? インから? そこが問題だ!

すべてダウンブローが基本的な打ち方だとすると、何で最適なクラブを判断すれば良いのか。私のおすすめは、後方から見たときのスイング軌道です。

どちらかと言えば…で判断 ※画像のスイングは極端な例

アウトサイドインかインサイドアウトか、スイング傾向がどちらの軌道に近いかで選ぶべきだと思います。例えば同じ21度前後のロフト角でも、最も長さのあるFWでは、ボールをつかまえにいく動きが困難です。アウトサイドインの傾向が強いタイプはボールのつかまりが一番の課題になりますので、FWより平均3インチほど短いUT、またはロングアイアンをおすすめします。逆にインサイドアウト傾向の強いタイプには、つかまり過ぎもミスの元につながるので、長さのあるFWが向いていると思います。

フック&プッシュスライスが悩みなら「FW」

後方から自分のスイングを見る機会が少なければ、練習場やラウンド時でのミスショットの傾向を判断材料にしてみてください。

FWやUTで頻出するミスの傾向を思い出す

大きく分けて、アウトサイドインの傾向が強いタイプは、右へ曲がるスライスが多く、インサイドアウトの傾向が強い人は、左へ曲がるフックや打ち出し直後から右へ押し出すプッシュアウトが多くなるものです。どちらのミスの確率が高いのかを思い返し、自分のスイングタイプを把握してから、3つのクラブの選択を試みてください。

スライスが悩みなら「UT」か「飛び系」 その選び方は?

アウトサイドインの傾向が強く、スライスのミスが多いタイプであれば、FWよりもクラブ長が短く、安定性が高いUTとロングアイアンの二択になります。ふたつの違いは重心の位置と顔(※アイアン型UTは別)です。

スコアラインの幅もUT(左)のほうが広めで安心感は大きい

同じロフト角でも、ウッド型はアイアン型より重心が後方にあり、構造的にもスイートスポットが広いので、ミスヒットに強いメリットがあります。アマチュアゴルファーは常に中央(芯)でとらえられる保証がないため、ウッド型のUTのほうが大きなケガがなく、飛距離ロスも抑えられる点でおすすめです。

ですが、ロングアイアンもマイナス面ばかりではありません。UTに比べてヘッドが小さくシャープな形状なので、スイング軌道を自在に操れるメリットがあります。UTに比べて重心が高く、風の強い日などに低い弾道で攻めるのに最適な面も魅力です。

「スイングでの判別と同じくらい構えた際のイメージも重要」と石井氏

微小なスイング傾向の違いは、実は構えた際のイメージでも変わるもの。トラックマンのデータでも、「構えやすさ」を感じるクラブでは、スイング軌道が安定するという結果は実証済みです。クラウンのあるウッド型に安定感を覚えるタイプはUT、シャープな形状で操作しやすいイメージの湧くタイプはロングアイアン。長さも用途もほぼ一緒のUTか飛び系アイアンかで悩んだ際は、上から見た時のフィーリングを第一に考えて選ぶと良いでしょう。

スイングは微小に日々変わるもの、あくまでも目安に

取材協力/ハンズゴルフクラブ

■ 石井良介(いしい・りょうすけ) プロフィール

1981年生まれ、神奈川県出身。PGAティーチングプロの資格を持ち、トラックマンを使った最新理論やデータに基づくレッスンが好評。YouTubeチャンネル「試打ラボしだるTV」も大人気。

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