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女子ツアーで「GPS距離計の使用はOK」 YES or NO?
2023/04/13
国内女子ツアーで昨年から距離測定器の使用が認められているのは、気づいている方も多いだろう(日本女子オープン、TOTOジャパンクラシックは除く)。プロが試合中にレーザー距離計をピコピコと照射する姿はもはや見慣れた光景だ。多くの選手が歩測とヤーデージブック、そしてレーザー距離計を併用して残り距離を測っている。
ただ、その距離測定器の使用認可の中に、実は「GPS距離計」も含まれていたのはご存じだろうか(レーザー同様に高低差を測るのは禁止)。すでに昨シーズンから、試合中にGPS距離計を使用しているプロキャディがいるのだ。
GPS距離計は一般ゴルファーに馴染みが深く、ラウンド中に使用するゴルファーは年々増加傾向にある。腕時計式やタブレット端末式があり、その精度も年々進化していて数値の信ぴょう性が高いモデルも多い。
正解はYES。GPS距離計も試合で使える
ツアーでの使用状況をお伝えする前に、「GPS距離計」とはどういうものかを改めて確認しておきたい。GPS距離計とはその名の通り、GPSを使って自分の位置を把握し、ハザードまでの距離、グリーンエッジまでの距離、ピンまでの距離などを測ることのできる代物。その特長はハザードまでの距離が正確にわかること(レーザー距離計だとハザードの入り口に照射しづらいことが多い)。そして、ピンまでの距離がビジュアルで確認しやすいこと。エッジからピンまでの距離やピンの位置がグリーン上でどこにあるのかをイメージしやすい。
上に挙げたGPS距離計の特長はヤーデージブックでも代用できるが、それでもあえてGPS距離計を使うのはなぜか? 実際にレーザー距離計、ヤーデージブック(TYB)、そしてGPS距離計の3つを併用しているプロキャディの田渕豊さん(スタジオアリスでは植竹希望のキャディ)に話を聞いてみた。
「使う頻度は、TYB、レーザー距離計、GPS距離計の順です。ピンまでの距離を測る場合は、まず選手が持つレーザー距離計で照射し、TYBでレイアウトを見つつ最終確認する作業がベース。それでこと足りればGPS距離計は見ません。GPS距離計を使うケースは、例えば左ドッグレッグ。曲がる地点の木を何ヤードで越えるかは、GPS距離計のような同心円で距離を表してくれる方式だとビジュアルでよく分かります。また、何ヤードでハザードに入るかも一発で分かります。林の中に入った時にフェアウェイ幅を見るのも分かりやすいし、高低差があるような場所で、物理的にレーザーでピンを照射できないケースでも役立つ。またTYBで計算するよりもGPS距離計のほうが迅速です。残り距離が早く分かれば、選手にも時間ができて余裕が生まれます」
そうなるとヤーデージブックを携帯せずにGPS距離計だけでもいいように思えるが、「TYBにはいろんなことを書くメモ機能としての信頼がでかい」と田淵さん。確かにプロのTYBを見させてもらうと、練習ラウンドで取ったメモや、昨年の試合の情報などを書いたメモがびっしりだったりする。1打でも打数を減らすために戦っている中で、ヤーデージブックのメモ機能は有利に働くわけだ。
ちなみにGPS距離計の場合、各日のピン位置は試合の日の朝にキャディ自身が端末に手動で入れる。田淵さんの使う端末は朝日ゴルフの「イーグルビジョン NEXT2」という代物で、ルールに抵触する高低差機能は競技モードでは表示されない。
ついでに昨年から使用可能になったレーザー距離計の使用状況を調べてみたところ、ブッシュネルとニコンの二強と思いきや、「ボイスキャディ」という距離計を使用する選手が意外と多かった。もちろん選手に対してプロモーションをしているという側面はあるが、それでもモノ自体の性能がよくなければ選手は使わないだろう。ボイスキャディの評判は「当たりやすい」というのがいちばん。気づけば女子ツアーの中でのシェアナンバー1に近いというから、ちょっと気になる存在である。
最後に、ヤーデージブックの現状にも触れておこう。かつては何社かが乱立していたが、現在は「TYB」の一強(女子ツアーも男子ツアーも)。選手とキャディの両方がそれぞれ購入するのが基本で、時にキャディだけが購入するタッグもあるとか。毎年同じコースで行なわれるような試合でも、フェアウェイ幅は違うし、レイアウトも微妙に変わるので、毎年刷新されている(一冊3300円・税込)。試合によっては大会側が一括購入して選手に渡すパターンもあるとか。
女子ツアーではさらに「グリーンブック」というグリーンの情報が載った冊子も売っていて、こちらはフィールドのだいたい3割から4割が購入している。選手かキャディのどちらかが買うパターンがほとんどだ(一冊1万円・税込)。1ホールのグリーンに対して4つの情報が載っていて、傾斜の色分け、傾斜の矢印、実際の傾斜の度数、傾斜がビジュアルでわかる図などが描かれている。
レーザー距離計、GPS距離計、TYB、グリーンブック。その4つを全部携帯したら大変な荷物になるが、それでもスコアを減らせられるのであれば、多少重くなるのはやむを得ないか…。(編集部・服部謙二郎)
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