今さら聞けないタイトリスト「V1」と「V1x」の違いを教えて
「コストコボール」の実力どうなの!? ツアーボールと徹底比較 ~飛距離編~
1球の値段差“400円弱” コストコvsツアーボール検証・第1弾
株高といえどもまだまだ景気の良さを実感できないうえ、円高で物価は高騰したまま。ゴルフボールは高価格帯のもので1ダース7000円を超える。そこで人気を集めているのが、会員制倉庫型卸売店コストコで販売している「カークランドシグネチャー パフォーマンスプラス」だ。税込価格2ダース4998円、1球208円。ツアーモデル1球550~600円と比べても破格の設定。この値段の差がパフォーマンスにどれほど影響するものなのか!?
均一性の差が大きく影響 飛距離12.2ydの差が開くも…
検証企画・第1弾では、コストコボールとツアーボールの飛距離性能を比較する。ツアーボールは、プロのシェア率No.1のタイトリスト「プロV1x」。ツアー3勝の日下部光隆が球を打ち、同じ条件のもとトラックマンで計測して計10球の平均値を算出した。
試打した日下部プロの第一声は、「いやぁ、ビックリしました。使用していた知り合いを見て、『なんで使っているの?』と失笑していた自分が恥ずかしくなるほど…。ここまで同じなら安いほうを選びたくなりますよ」と笑った。
日下部プロのイメージはほぼ同じだったが、1球1球の均一性での差が影響し、総距離278.4ydの「プロV1x」に対して266.2ydと12.2ydの差が開いてしまった。飛距離性能という面では、やはり「プロV1x」に軍配が上がるのか。
大きく影響したのは、飛びの3大要素と呼ばれるボール初速、スピン量、打ち出し角。ボール初速は、66.6m/sのコストコボールに対して「プロV1x」は69.1m/s。スピン量は概ね2200~2500m/sでまとまっていた「プロV1x」に比べ、3000rpmを超える球もあったコストコボールは平均値で高く出てしまった。打ち出し角は16.8度(コースボールに比べ+3.5)、最高到達点も41.6yd(+3.4)と高く上がってしまった分、飛距離につながらなかった模様だ。
「品質についてはやはり定評のある『プロV1x』にはかないませんが、この数字の差はアベレージゴルファーが気にするほどの違いではない」と、試打後の感想を述べる日下部プロ。
「そもそも安価なボールに抱いていた印象は、言い方は悪いですが飛び方が“汚い”イメージでした。ドロップ回転が入りすぎて急激に沈んでしまったり、スピン量が思うように入らず、上がり切らないケースを想像していたのですが、そこまでじゃない。多少カバー(表面)の硬さがインパクト直前に感じられるときもありましたが、そんな違いも取るに足りません。フィーリングはほとんど一緒といえます」
アレ? これ「V1x」だっけ!? 相当意識していることが分かる打感
では、数字では分からないフィーリングの差はあるのだろうか?
「安価なボールは、これまでとにかく打感が悪いことが懸念されてきました。甲高い音と硬すぎる感触で、フィーリングがダメダメ…。でも、このコストコボールは打感が硬いという感覚は一切なく、打音も適度で響きすぎない。心地いい感触と音色が『プロV1x』に似ていて、相当タイトリストを研究して作られているように感じます」
タイトリストを相当研究している…? 「はい。ウレタンカバーのボール開発では、各社どこもシェアNo.1の『プロV1』シリーズを参考にしていることは予想できます。今回の結果で分かったことは、コストコボールも例外ではなく、弾道もフィーリングもかなり参考にした形跡を感じました。データでは確かにバラつきは見られますが、弾道イメージや打感はほぼ同じ。試合で使うにはテストが必要かもしれませんが、シニアツアーに参戦している私からみれば十分すぎる数値です」
今回の検証で分かったことは、1球1球の性能差にバラつきはあるものの、アマチュアゴルファーが大きく気にするほどのデメリットではないということ。最後に日下部プロは、「あとはよりスコアに直結するアイアンでの飛び方と、アプローチでのスピン性能が気になります」と付け加えた。
コストコvsプロV1x徹底検証、2回目「スピン編」につづく。
取材協力:東名カントリークラブ
日下部光隆(くさかべ・みつたか) プロフィール
1988年「神奈川県アマ」、89、90年「朝日杯全日本学生」連覇などアマチュアタイトルを獲得。91年にプロテストに合格し、同年「マルマンオープン」でプロデビュー。95年「ペプシ宇部興産」、97年「カシオワールドオープン」、98年「日経カップ中村寅吉メモリアル」優勝。現在はレッスン活動に従事し、「WASSゴルフスタジオ」を主宰。
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