悩みどころの「アイアンは何番から?」女子で最も多かったのは…【女子プロギア考察#3】

女子ツアーのトッププレーヤーたちが「アイアンを何番から入れているか」を見ると、5Iからの選手もいれば、8Iからという“超少数派”もいるなどさまざまだ。アイアンの番手構成はアマチュアにとっても悩ましいところ。“令和の試打職人”として数多くのクラブを打つ石井良介プロは、そこに一つの基準を示した。

▼#1 女子プロスペック ドライバーはハードでアイアンはやさしめ“ギャップ”があるのはなぜ?

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▼#2 女子プロ驚き14本 バラバラのスペックを打ちこなすスゴい技術とは?【女子プロギア考察#2】

女子プロセッティング考察
2024年パーオン率1位の竹田麗央は5番アイアンから入れる

アイアン系が多いか、ウッド系が目立つか

アイアンの番手構成には時代の流れを感じますね。ボクがゴルフを始めた30年くらい前のアイアンセットは、3I~SWがスタンダードでした。ところが、アイアンの本数が端っこからどんどん削られていって、今では少ないセットだと7I~PWや8I~PWというのもあります。

※2024年の女子プロ版「アイアンは何番から?」4番からが3%、5番からが42%、6番から35%、7番からが17%、8番からが3%、となった(編集部調べ)

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アイアンを5番から入れる小祝さくら(左)、桑木志帆(中央)、穴井詩(右)(写真は全て昨年9月時点。以下同)

クラブに求める機能は、選手それぞれによって異なります。「球が上がりやすいクラブが欲しい」という人もいれば「球が上がらないクラブが欲しい」とか、「アイアンの操作感が好き」という人もいる。それによって、アイアンを多めに入れる、UTを多めに入れる、FWを多めに入れる、というように分かれてくるのでしょう。

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あえて言うとスイングがパワフルな選手は、アイアンやアイアン型UT、ウッド型UTを入れる傾向があり、サラッと振ってくるタイプの選手は、UTやFWが多めの印象があります。

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尾関彩美悠は7番アイアンから

アイアン・UT・FW 同じロフトでも打ち出し高さが違う

アマチュアの皆さんは、自分はどのクラブが打ちやすいかでセットを決めて良いでしょう。例えばロフトが20度のクラブには下記のものがあります。

●FWの20度=7W
●UTの20度=3Uや4U
●アイアンの20度=3I

昔からよく言われますが、ロフト20度のクラブが「アイアン、UT、FWのちょうど分かれ目になったりするもの。同じロフト20度でもクラブによって重心の深さが異なるので、打ち出しの高さが変わります。その違いを、ここで改めておさらいしましょう。

ロフト角は同じでも、ヘッドの重心が深いほうが“お尻”が落ちようとする力があるぶん、インパクトロフトが大きくなって打ち出しが高くなりやすい。逆も然りです。一般的に、アイアン→UT→FWの順に重心が深くなって打ち出しが高くなりやすいです。

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左からFW、UT、アイアン(テーラーメイド製)。黄点は重心位置のイメージ

これが理解できると、打ち出しを高くしたければアイアンを減らしてUTやFWを増やしたほうがいい。逆に「高い球が好きじゃない、低くないと困るんだ」「風が強いコースでプレーするから低い球が必要」となれば、アイアンやアイアン型UTといったチョイスができるでしょう。「こっちのクラブがゼッタイにいい」というわけではなく「ナゼそれを選んだのか?」という根拠があるんです。女子プロのクラブセッティングから推測できるのは、「グリーンに止めたい」という意図からUTを多めに選んでいることです。

アイアンで打てるギリギリのレンジはどこ?

ここで参考になるお話を一つご紹介しましょう。ジューシーというメーカーの代表を務めるクラブデザイナーの松吉宗之さんから教えていただいたことです。ご自身のドライバーのだいたいの飛距離を想像してください。それにPWの飛距離を足します。その数字を「÷2」しましょう。出てきた数字がおおむね、UTとアイアンの境の飛距離になるということ。

クラブをセットするときに多くのゴルファーが悩むところはそこなんです。「アイアンにしたほうがいいか?」とか「UTの26度を入れようか?」とか。そういうときは、自分がイメージしているドライバーの飛距離とPWの飛距離を足して2で割ってみる。その数字が、その人にとってアイアンで打てるギリギリの飛距離になることが多いんです。実際に、女子プロのドライバーとPWの飛距離を見ると、だいたいそこが分かれ目になってくるでしょう。

比較的飛ばす女子プロがドライバーで240yd打つとするとPWは約120ydで、足して2で割ると180yd。この距離は5番アイアンで打てないので、一番飛ぶアイアンは5番となる。小祝さくら選手がだいたいこんな感じで、5番アイアンの上はアイアン型UT。ほら、公式通りです。

ちなみに…アイアンとUTのシャフトにも“ギャップ”あり

女子プロの皆さんが使っているアイアンの番手やシャフトを見ていくと、いろいろなパターンがあって興味深いところです。

菊地絵理香選手は、アイアンは7Iから入れて、シャフトは「NSプロ ゼロス7」というやさしいセッティングに。同じように7Iから入れている菅楓華選手は、アイアンのシャフトは「NSプロ850GH」ですが、ウッドやUTには「テンセイ」というハード目のシャフトを挿しています。

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T350アイアンにゼロス7を組み合わせる菊地絵理香

対して、5Iから入れている桑木志帆選手も、アイアンは「NSプロ 850GH」ですが、UTにはアスリート系の「LIN-Q ブルー」の75Sを挿しています。重量を見るとアイアンのシャフトは少し重くなってはいますが、もしも一般アマチュアだったら、UTに75Sを入れたらアイアンには90g台以上を入れるのではないでしょうか。

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桑木志帆のUTはmB2HTにLIN-Q BLUE EXの75S

一方で、アイアンを6Iからセットしている川崎春花選手は、アイアンが「レクシア IL7 LT」で、UTが「スピーダー TR ハイブリッド」の75・Sと、同じ重量帯(70g台)のシャフトが入っています。

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川崎春花のUTはZX MkIIにSPEEDER TR ハイブリッドの75S

そういったセッティングにしているのは、それぞれの選手によって理由があるはず。なので「女子プロはこうしている」と一概に言い切ることはできませんね。(続く)

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石井良介(いしい・りょうすけ) プロフィール

1981年生まれ、神奈川県出身。PGAティーチングプロの資格を持ち、トラックマンを使った最新理論やデータに基づくレッスンが好評。YouTubeチャンネル「試打ラボしだるTV」も大人気。

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