老舗シューズメーカー「FJ」が据える世界戦略とは? “感覚”と“データ”のはざまで…

フットジョイ幹部インタビュー
FJシューズが向かう未来を幹部に聞いた

今から100年以上前、アメリカ北東部ブロックトンという街で誕生したゴルフシューズ専業メーカー「FJ」(フットジョイ)。ゴルフ好きの青年2人が興したそのメーカーは、PGAツアーでトップシェアを守り続け、それを80年以上継続する。世界中のツアーで8000勝以上に貢献し、トッププロたちの足元を支えるギアとして成功を収めている。そんな彼らの原動力はどこにあるのか、そして将来に向けてどんな戦略を策定しているのか。来日していた本国の幹部にその頭の中を語ってもらった。

バイオメカニクスの研究結果をシューズにも

「どんなに高いシェアを取れたとしても、満足はしていません。常に向上心や好奇心を持ち、選手やゴルフに関する科学やスイング理論から学び続けています」。同社社長のクリス・リンドナー氏が言及するように、フットジョイはゴルフスイングのバイオメカニクス(生体構造)をより深く研究し、スイングのパフォーマンスを高めるシューズについて研究を進めているという。

また、AIを活用したデザインのモデリングを導入したり、タイトリストのクラブ開発チームやTPI(タイトリスト・パフォーマンス・インスティテュート)とも連携するなど、ゴルフスイングとそれを支えるシューズを開発している。「今のポジションに甘んじることなく、パフォーマンス向上のために投資を続けています」と未来を見据える。

フットジョイ幹部インタビュー
フットジョイ社長のクリス・リンドナー氏

ゴルフスイングを分析する機器が増える中で、採取したデータがシューズ開発に与える影響は少なくない。「スイング中に足がどう動き、どのような力がかかるかを理解するのに有用です。例えば『PRO/SL』の靴底に搭載される『ARCTrax/SL Outsole テクノロジー』は、我々がスイング中に足にかかる力の方向をよく知っているからこそ、最適なトラクションを生み出すように設計できたのです」とは、同社グローバルセールス責任者のリチャード・フライヤー氏

クラブ開発だけでなく、シューズ界にも最先端の機器が導入されている。ツアープロ向けに「FitLab(フィットラボ)」という技術を活用しており、これには3つの役割があるという。1つめは3Dスキャンで、 正しいサイズを確認する。意外にも多くの選手がサイズ違いの靴を履いてプレーしているのだという。左右でサイズが異なったり、そもそもサイズが合っていなかったりするケースが多いのだ。2つめはシューズタイプの提案。「フォースプレート」というシステムで計測したデータに基づき、その選手に必要なのはより柔軟な靴か、よりサポート力の高い靴かを話し合う。最後はスタイル。伝統的なものを好むか、現代的でスポーティなシューズを好むかといった嗜好を反映させる。

アドレス時の清潔感、あなたは感じる?

フットジョイ幹部インタビュー
フットジョイのリチャード・フライヤー氏

ゴルフを究めようと鍛錬を続けるトッププレーヤーからは、我々アマチュアゴルファーには想像もつかない箇所を指摘されることもあるという。シューズに対して敏感な選手の一人がアダム・スコット。「彼は非常に直感的なセンスを持っており、新しいシューズを履くとすぐに、わずかな重量の変化やデザインの細かな修正に気づきます」(リンドナー氏)。スコットのような“感覚派”の選手もいれば、上述のようなデータに基づいて合理的にシューズを選ぶ選手もいるのだそうだ。

「トッププロたちとの会話で印象的なのは、多くのトッププレーヤーが“クリーンなトップ(靴を上から見た時の清潔感やシンプルさ)”を求めたことです。彼らは『アドレス時に見るべきなのはボールであって、シューズではない』と言います。つまりシューズの視覚的なノイズを嫌い、プレーに完全に集中したいのです。開発段階でスタッフは気づきませんでしたが、非常にシンプルかつ重要なフィードバックでした」とリンドナー氏は目を細めた。

フットジョイ幹部インタビュー
ことし46歳を迎えるベテランは、足元の感覚にも非常に鋭敏だという

トップのデザインが奇抜なものは、スイングにも影響するというのだ。

ナイキ、アディダス、ニューバランス…ライバルは?

昨今、ゴルフシューズ界もスポーツメーカーを始めとする他業界からの参入が多い。老舗シューズメーカーとして、競合他社をどのようにとらえているのか。

フットジョイ幹部インタビュー
新型「PRO/SL」をアピールするフットジョイ幹部の2人

「私はこの会社に約10年いますが、フットウェアだけで競合他社は15社から30社以上に増えました。ゴルフシューズカテゴリーの成長とともに、多くの新規参入があったのです」とリンドナー氏は明かす。有名なスポーツメーカーがゴルフシューズを製造し、それが世界中のツアーでシェアを伸ばしていることは誰もが知るところだ。

「競争はいいことです。スポーツブランドの参入も我々の奮起を促し、製品の向上につながるのですから」とライバルを迎え撃つ構えを強調する。

「私たちの目指すところは、熱心なゴルファーに寄り添い、革新的なパフォーマンスを提供することです。プレーヤーを詳しく観察し、彼らに耳を傾け、R&D(研究開発)を強化します。そして彼らのニーズを満たし、プレーを向上させるための新技術を市場に投入しています」とその戦略を語った。

フットジョイ幹部インタビュー
新モデルのグリップ力は前作比30%も向上

餅は餅屋、FJにはゴルフにおけるシューズの重要性を、他社よりも長い時間研究してきた自負と実績がある。その成果がどんなものなのかは、あなたがFJロゴの入った新モデルを履いてプレーした時にわかる…のかもしれない。(編集部/中島俊介)

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