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「昨年の雪辱を晴らしたRMX。そこには打感・打球音へのあくなき追求があった」 ~ヤマハ編~ 2014年Vol.1

2014/05/28 09:00

■ヘッドとシャフトのリミックスによって、ゴルファーに合うクラブを提供する

ヘッドとシャフトを個別に販売する方法を貫くヤマハ。ユーザーにとって自分に合ったヘッドとシャフトをチョイスできるのは嬉しい

昨年度、ヤマハはこれまでのクラブラインナップを一新し、RMX(リミックス)という新シリーズを立ち上げた。ウッドはライ角調整が可能な脱着式になり、ヘッドとシャフトを個別に販売するというゴルフマーケットにおいての新機軸をも生み出した。本年度の『HOT LIST JAPAN』でメダルを受賞したクラブは、そのRMXの二代目となるシリーズ。ドライバーには3つのモデルがあり、そのすべてがメダリストに輝いている。従来モデルから、どこがどのように進化しているのか。

「新しい2014年モデルのドライバーは、限定発売のツアーモデルもRMXシリーズのラインナップに加えて、『RMX 01』、『RMX 02』、『RMX ツアーモデル』という3つのモデルを用意しています。もともとヤマハのインプレスには、限定発売のツアーモデルと、上級者向けのVシリーズ、アベレージゴルファー向けのDシリーズという計3つのラインナップがあったのですが、2013年モデルのRMXドライバーはVとDのモデルをひとつのモデルに統合していました。ウエイト調整によって重心距離を大きく動かし、シャフトをチョイスすることで多くのゴルファーにフィットさせられるクラブとして開発したものでしたが、ヘッドの重心深度が浅いために、どちらかというとVシリーズ寄りのヘッド性能になっていて、従来のDシリーズを使用していたゴルファーからは、球が上がりづらく、難しいという意見も寄せられていました。

そこで重心深度を深く設計して、球が上がりやすく、ヘッドをターンさせやすいモデルとして開発したのが2014年モデルの『RMX 02』です。このヘッドは性能的に守備範囲が広く、今では3つのタイプのヘッドのなかでもいちばん反響がいいモデルとなっています。

RMXシリーズは、ヘッドとシャフトを個別に販売にしていて、これまでのリシャフトに加えて“リヘッド”という新たな発想で自分に合ったクラブ選びができるのが特徴になっています。今までにないクラブの販売方法をとっているので、販売店には手間をお掛けしますし、メーカーとしても在庫を多めに持たなければならないデメリットもあります。しかし、自分に合ったクラブを選ぶという観点では、この販売方法がゴルファーにとって大きなメリットになると信じています」(平川氏)

実は、初代のRMXドライバーは昨年度の『HOT LIST』では選考から外されていた。なぜなら、ちょうど試打評価をする時期にヤマハ独自の機構であるヘッドの脱着部の部品に不具合が見つかり、回収交換となっていたからだ。こういった不測の事態は、ゴルファーに不便を掛けただけでなく、メーカーにとっても悲劇。この“事件”によって、初代RMXシリーズは出鼻をくじかれることになってしまったからだ。しかし、RMXシリーズは二代目となる2014年モデルで、3つのモデルすべてが『HOT LIST』でメダリストに輝いた。昨年度の屈辱を、見事に晴らしたとも言えるだろう。

HOT LIST』でクラブを評価する試打テスターたちは、ヘッドスピードや持ち球が異なる多種多様のゴルファー構成員となっている。つまり新しいRMXシリーズの3つのドライバーがすべてメダリストになったことは、それぞれの対象ゴルファーから一様に高い評価を受けていたことの証明にもなっている。また『HOT LIST』の試打テスターたちからは、RMXドライバーの打感の良さを評価する声も多く聞かれていた。

「そのように打感を高く評価していただけたことは、開発者としてとても嬉しいですね。打感については、本当に開発のギリギリの段階まで調整を繰り返し行いました。現在のクラブ開発では、ヘッドの金型を作る前にコンピュータのCAD上で打音の周波数を確認して、開発初期からある程度の良い打感を見込むことができるようになっています。しかし、それはあくまでも数値上のもの。完成したモデルを実際に人間が試打すると、理想とする打感とは少し異なっています。そこでヘッドの重心設計に支障をきたさないように、ヘッドにリブを溶接したりしながら、心地よい打感が得られるまで改良を加えていく作業が必要でした。その結果、やっとたどり着いたのが新しいRMXシリーズの打感です。

使用する対象ゴルファーを意識して、モデルによって打感はあえて異なるものに仕上げてあります。『RMX 01』と『RMX 02』」は、金属的な弾きを感じられる爽快な打感。『RMX ツアーモデル』は、締まった打音とボールを潰して打っているような柔らかさが感じられる打感。このツアーモデルの打感は、プロにも高い評価をいただいています」(平川氏)

2014年モデルからは、ツアーモデルもRMXシリーズの1モデルとしてヘッドが脱着式になり、従来の鍛造ヘッドではなく鋳造ヘッドになっている。素材が変わっても従来からの打感の良さを引き継ぐことは、かなり大変な作業だったと平川氏は言う。“ヤマハのクラブは打感がいい”というのは、ギア好きのゴルファーたちの共通認識。そんなファンの期待を裏切らないために、新しいRMXドライバーは見えないところにも開発努力と創意工夫が施されていたようだ。

■アマチュアにはやさしさを。プロには強さを。≫
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