「やさしく飛ばせるものを作り続ける、揺るがないピンの設計コンセプト」 ~ピンゴルフ編~ 2014年 Vol.2
芯を外しても距離が変わらないパター!独自のTR溝が生まれた意外な背景
ピンといえば、最初にパターをイメージするゴルファーも多いだろう。同社の最新パターには、フェースに独自のTR溝が採用されているのが特徴になっている。フェースの芯にあたる部分の溝を深く刻み、その周囲の部分を浅くすることによって、フェースのどこで打っても同じ距離感が得られるというものだ。
「もともとパターのフェースに溝を設けようと思ったのは、溝によって打感が変わり、理想のフィーリングが得られるのではないかと考えたからでした。そして実験を繰り返すうちに、溝の深さによって打感だけでなく、ボール初速が変わることが分かったのです。ピンでは昔から、フェースのどこで打っても同じ距離感が得られるパターを作りたいと考えていましたが、それがフェースの溝の深さを変えることによって可能になったというわけです。
新しいカーステンシリーズは、インサートではなく、削りだしのTR溝のフェースを採用しているのが特徴です。こういったTR溝を採用したモデルが増えたことで、これまでよりも形状やフィーリングからゴルファーが好みのモデルを選びやすくなりました。ぜひ手にとって、これらのパターのやさしさを実感してほしいですね」
ジョン氏は、ピンの創始者であるカーステン・ソルハイム氏の孫にあたる人物。自身はエンジニアでもあるが、2011年にピンゴルフ・ジャパンの社長に就任してからの約3年間で、日本でのクラブの売り上げを200%以上もアップさせた優れた経営者でもある。そんなジョン氏がこの6月に日本を離れ、居住地をアメリアに移すことになった。日本に滞在したこの3年間で、ジョン氏は日本のゴルファーや市場に対して、どのように印象を持ったのだろうか。
「日本のゴルフ市場に対しては、まだまだ勉強することがあると思うのですが・・・。アメリカと比べると、日本のゴルフ市場はユニークなところがありますね。例を挙げるなら、日本ではゴルフクラブの数値にこだわるところです。体格のいい欧米のゴルファーと比べると、日本のゴルファーはヘッドスピードが遅めだと思われがちなのですが、実はそれほど差がありません。それなのに、市場では他の国よりも軽量シャフトのクラブを勧める傾向があり、ゴルファー自身も軽量のクラブを選択しようとします。
ゴルフクラブは、長年にわたって軽量がいいと謳われてきたのは事実です。それにゴルフクラブ以外のプロダクトでは、軽いほうが良いとされる場合がほとんどです。そういった先入観もあって、日本のゴルファーは、本当に自分に合う重さのクラブよりも軽すぎるクラブを使っている人が多いように思います。
ゴルフクラブはハンマーのようなものですから、ある程度の重さがないとボールを強く叩くことができません。軽量すぎるクラブは、飛距離や安定感に悪影響を及ぼします。ですから、カタログの数値を見ただけで判断せずに、ぜひともフィッティングを受けて、試打をしてクラブの性能を確かめてほしいのです。そうすれば、日本のゴルファーは、クラブによってもっと良い結果を得られるでしょう。ピンのクラブの良さも、今よりも多くの人に体感していただけるはずです」