クラブは“顔”が命！ 最新ユーティリティを見比べ隊

2018年春 UT8本の“見た目”を徹底解説

ウッドとアイアンを結ぶクラブとして、使い勝手の良いユーティリティ（以下UT）。そんなUTを選ぶ際、ポイントは何にするべきだろうか。性能? 打感? いや、まずは“顔”でしょ！ ということで、最新モデル8本をクラブ設計家・松尾好員氏の解説付きで並べてみた。

構えやすい小ぶりヘッド「M3 レスキュー」

「M3 レスキューは一般的なUTよりも小ぶりで、ラフでの芝の抵抗などは受けにくいと思われます。フェースのトウ先に“逃げ感”があり、被って見えないためスクエアに構えやすいです。またトウ側が高く、フェースプログレッション（以下FP）値 ＜※記事下部を参照＞は小さめなので、ボールのつかまりが良いイメージを持ちやすいです」

やさしくてシャープ 「M4 レスキュー」

「M4 レスキューはM3 レスキューよりヘッドが大きく、よりやさしく打てる印象です。M3と同様にトウ先に逃げ感があり、球をつかまえすぎないイメージを出しています。FP値はやや小さめ。Mシリーズに共通して言えるのは、フェースとクラウンの塗装境界線が直線的でシャープな印象を受けるということです」

抜群の安心感「G400 ハイブリッド」

「G400 ハイブリッドはクラウンのトウ側後方（右斜め上方向）の膨らみをやや大きくした輪郭により、球のつかまりすぎを抑えるイメージを出しています。小ぶりなヘッドの割にはフェース面が長く大きく設計され、打つ面を広く見せることで安心感を与えています」

アイアンのようなUT「ローグ スター ユーティリティ」

「ローグ スター ユーティリティは、ヘッドの輪郭でトウ側全体にボリューム感があり、球のつかまりすぎを抑えるイメージを出しています。フェースのトウ側が高く、アイアンのようなイメージを持たせ、実際にトウ寄りの打点に強くなっています。FP値は大きめで、球は上がりやすい印象が持てます」

拾い打ちしたい人向け「Q ユーティリティ」

「Q ユーティリティは、セット（ロフト角28度、33度）の中で形状が大きく異なり、28度はヘッドの横幅が広く、33度は狭く作られています。どちらもフェース中央が高く、トウ側が被って見えることで球をつかまえやすく感じられます。FP値は大きく、フェースの下部で球をさらっと拾う感覚で打ちたい人に最適です」

高さも飛距離も求めるなら「VG3 ユーティリティメタル」

「VG3 ユーティリティメタルはヘッド全体が丸みのある輪郭で、特にクラウンのヒール側後方（右斜め下方向）の膨らみが大きいのが特徴。フェースのトウ先に逃げ感がなく、球をつかまえやすいイメージが出ています。FP値は大きめで、高さも出しやすい印象です。やさしさを重視した日本市場向けらしい設計です」

つかまえやすいイメージ◎「オノフ フェアウェイ ウイングス 赤」

「オノフ フェアウェイ ウイングス 赤はヘッド全体に丸みのある輪郭ですが、クラウンのヒール側やや後方（右斜めやや下方向）の膨らみが大きい点、トウ先に逃げ感がない点、FP値が小さめな点を含め、総合的に球をつかまえやすい印象。クラウン部の弓状の塗装境界線は、1Wからのコンセプト継承を強く感じさせます」

球の高さを出しやすい「GX ユーティリティ」

「GX ユーティリティはヘッドが面長の輪郭でありながら、クラウンのヒール側後方（右斜め下方向）の膨らみが大きく、フェースのトウ先も逃げ感がなく、球をつかまえやすいイメージが出ています。FP値が大きく、またシャローフェース（上下の厚みが薄い）なので、球が上がりやすい印象を持てます」

※FP値とは…

シャフトの中心線とリーディングエッジとの間の距離のこと。FP値が小さいクラブは“グースネック”と呼ばれ、フェースが引っ込んでいる分ボールをつかまえやすいイメージを持つことができる。が、その反面高さは出しにくい印象。逆にFP値が大きいクラブは“ストレートネック（通称：出っ歯）”と呼ばれ、ボールを芝から拾いやすく上げやすい印象だが、反面つかまえにくさを感じやすい顔といえる。

※プロは頻繁にクラブ調整を行うため、使用クラブは実際と異なる場合があります。

解説／松尾好員
神戸大学工学部卒業後、住友ゴム（ダンロップ）に入社し、クラブの設計開発に携わる。世界4大メジャーで最も多くの選手にクラブを提供した日本人クラブデザイナーとして知られる。現在ジャイロスポーツを主宰。