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平成30年で1Wはどう変化したのか?試打検証

2019/04/30 11:45

約30年前のメタルウッドと現代のデカヘッドを打ち比べてみた

平成初頭発売の「マックスフライDP-911」と平成最後となった「Z585」(ともにダンロップ)

さらば平成、ようこそ令和――この30年間でゴルフクラブはどのように変化したのか? 当時を知るゴルファーに聞いてみると、「ドライバーが一番変わった」と口をそろえる。そこで平成初頭のメタルウッドと現在のデカヘッドを、試打データとカタログ値で比較してみた。

打ち出し角は約2倍の差、しかし総距離は…

弾道測定器GC2にて計測

ギア情報「新製品レポート」のコーナーでおなじみミヤGが試打したところ、平成初頭発売の「マックスフライDP-911」では打ち出し角が8.9度、平成最後の「スリクソン Z585 ドライバー」では15.2度と倍近い差が開く結果に。バックスピン量は「マックスフライDP-911」が1768rpmで、「Z585」の2065rpmと比べて少ないことが分かった。

ただ、肝心の飛距離を見ると、総距離の差は13yd(255-242)とそれほど変わりがなかった。「マックスフライDP-911」のほうが弾道が低く、その分ランが多く出たことで、飛距離は「Z585」とあまり変わらない結果となったようだ。

「かなりボールが上がらず難しかったです。いまのデカヘッドに対して真っすぐ入れて真っすぐ出すような打ち方では、理想的なスピン量が出ないのだと感じました。ただ、芯を食った時の感触はそれほど違和感がなかったです。逆に『マックスフライ』のほうがサイドスピン量が抑えられて、意外と曲がりませんでした…(笑)」(ミヤG)

同じロフト角(9.5度)でもフェースの見え方が全然違う

激変した「体積」と「総重量」

数字はカタログ表示(どちらもロフト角9.5度の純正シャフト)

当時のカタログ値を調べてみると、「マックスフライDP-911-K」(加瀬秀樹プロ仕様モデル)の総重量は約380gで、「Z585」の302gと比べて約80gもの差があった。体積は154ccと460ccで、これはなんと約3倍という差。大きさだけで見ると、いまの5W(『スリクソン Z F85 フェアウェイウッド』155cc)と同等であることが分かる。

平成元年はメタル創成期 大きく軽くなった30年

1989年当時のニック・ファルドの練習風景。ミズノ製のメタルウッドを所持(Peter Dazeley/Getty Images)

資料を調べてみると、平成元年(1989年)当時はまだパーシモンが全盛でメタルウッドが出始めたころ。日本では希少で、海外選手が使っていたことで端を発しはじめてきた段階だった。とはいえ国内市場での浸透度は低く、名のある外国人選手が扱っているものという認識で、国内での販売はごく一部に留まっていた。

大きく形を変えながら、軽くて振りやすいものに進化した現代のドライバー。1990年代後半にようやくメタルが流行し、2000年代に入りチタン、近年ではカーボン複合モデルへと変化。軽量素材に遷移することでヘッド体積の拡大が可能になり、重心設計に大きな進化をもたらした。これが平成30年間のドライバーの歴史といえる。果たして令和時代のドライバーは、どのような進化を見せてくれるのだろうか!?

取材協力/住友ゴム工業株式会社