不動裕理が大型マレットパター あの「スワンネック」はいずこへ?
三浦技研、エポン、ロッディオ…「地クラブ」の中古事情をCheck!
2024/05/10
ゴルフクラブを製造するのは必ずしも大手メーカーだけではない。規模こそ小さいが、長年信念を持って開発を続け、ゴルファーに愛される会社もある。いわゆる“地クラブ”と呼ばれる用具の作り手であり、そういった個性的かつ魅力的なギアはかつて中古市場では二束三文の価格でしか流通していなかった。ところが近年は風向きが変わり、“健全に”取引されているという。今回は地クラブの中古事情について調べた。
「地クラブ」ってそもそも何だ?
パーシモン、いわゆる木製ウッドの全盛時代。各地の小さなゴルフショップや工房のクラブ職人たちは、クラブヘッドを木から削り出し、オリジナルブランドを立ち上げて販売していた。工場に特注のアイアンをオーダーし、自ら売り出す職人も珍しくなかった。
そういった作り手はメタルウッド時代に入ってからも、それぞれのブランドを残して製品を出し続けてきた。同じ頃、登場し始めたカーボンシャフトについても、自由な発想に基づいたオリジナルモデルを販売。1990年代後半、地域に根差した小規模メーカーのドライバーがそれぞれの土地で話題になり、地クラブブームが巻き起こった。
ただし最近は、地クラブとは名ばかりで、かつてのような“ご当地モノのギア”とは言い難い。規模が小さくとも、首都圏に本社があったり、大手メーカーにパーツを供給していたり、有名ブランドのクラブをOEMで実際に製造していたりする会社がつくるモデルを、総称して地クラブと定義する傾向がある。軟鉄鍛造アイアンで世界的に有名な三浦技研製のクラブですら、一般的にはそう認識されることがある。
人気は“隠れ大手メーカー”のクラブたち
エポンは国内外のメーカーにヘッドなどを供給している遠藤製作所のパーツブランドだ。オノフを展開するグローブライドのパーツブランドがロッディオ。そして、タイガー・ウッズをはじめ有名選手が使ってきたアイアンをOEMしてきたという噂の三浦技研製のクラブは、中古市場でも非常に人気がある。
エポン「AF-505」(2018年)、ロッディオ「PCフォージド」(2019年)、三浦技研「TC101」(2020年)は現在も、中古6本セットで約10万円が相場だ(新品販売の際、シャフトやグリップは別売り)。“地クラブは買い取り価格が低い”ということは決してない。ただし、工房やフィッティングスタジオで組み立てられた際の状態によって差が出る。流通数が少ないため、シャフトのラベルやプリント等がはがれていたりすると、買い手による判別が難しく、大手メーカーの製品に比べて査定が低くなりやすい。
筆者のオススメは、ロッディオのフェアウェイウッド「RODDIO FAIRWAYWOOD」(2015年)だ。リリースから9年経過した今も根強い人気を誇り、2万円台後半の相場を維持している。ユーティリティの「RODDIO HYBRID UTILITY」(2017年)も2万円台後半で品薄だ。どちらもチタンヘッドで飛距離性能の高さが魅力。メーカーは「性能を上回るクラブができたらモデルチェンジする」と公言しているが、上記2本はいまも名器と言える。
ツアープロにも人気の地クラブは?
もはや地クラブと呼ぶのには気が引けるマスダゴルフのアイアンはツアープロに人気だ。国内女子ツアーの永久シード権を持つ不動裕理が4月、レジェンドツアー(シニアツアー)デビューに選んだアイアンが同社の「JM-H2」(2023年)だった。中古で見つけたが、6本セットで20万円弱の価格だ。
尾崎将司のクラブづくりに携わった増田雄二氏のこだわりが詰まったウェッジも人気がある。グースが付いてやさしい「M425」(2013年)、M425をストレートネックにした「M425/S」(2018年)は、4月に国内女子ツアーの下部ステップアップツアーで初優勝した永嶋花音が使っていた。中古では1万円台中盤で見つかる。ラズルダズルというメーカーもウェッジが人気で、国内男子下部ABEMAツアーで使用者が増えてきた。
世界初の3Dプリンターで作ったチタンドライバー「THE FIRST」、「BR08」(2024年)を生んだロマロも革新的なヘッドを作り続けている。
“中古地クラブ”の良さと限界
そもそも、地クラブの魅力は、個性的なヘッドに人気のシャフトを自由に組み合わせ、それぞれのゴルファーに合うモデルを作れることにある。そのため、中古で扱われるものは基本的に「他の誰かのためにオーダーされたクラブ」だと、あらかじめ把握しておきたい。
地クラブはヘッドを注文する際、細かいスペック指定が可能で、とくにウッドはロフト角、フェース角、ヘッド重量等が、特殊な仕様でカスタマイズされているかもしれない。もちろん大手メーカー製に比べて流通量が極端に少なく、フェアウェイウッドやユーティリティ、ウェッジなど、セットで使いたいクラブが、同じシリーズで揃えにくいという難点もある。
ただし、あまり知られていないブランドのモデルは、超お買い得価格で手に入る可能性もある。アイアンは購入後に微調整が可能なモデルが多いので、ウッドに比べればリスクは少ないはず。中古ショップの宝箱から「これは」と思うものをゲットしたら、まずは工房に持ち込み、計測&調整してみることをオススメしたい。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。
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