渋野も古江も山下もみんな「NXグリーン」じゃん! ちょい待てよ、中古でいくら?
新製品が続々と登場するギア業界だが、シャフトに関してはツアープロも使い慣れたものを長年愛用するケースが多い。だったら“推し”の選手のシャフトをコスパ良く、手に入れてみてはいかがだろう。今回は日本の女子選手のあいだで人気のモデルを、中古市場で探してみた。
果たして「最新シャフト=最善」なのか
シャフトには重さ、硬さ、キックポイントなどの細かい特性がある。ゴルファーとの相性こそが重要で、最新テクノロジーが搭載されているモデルが必ずしも最善とは限らない。“慣れ”の要素も大きく、最新モデルに一度トライしたツアープロが、すぐに元のシャフトに戻してしまうことも珍しくない。
シャフトメーカーは最新製品をプロに使って欲しいと願うが、相性と慣れというハードルは高く、変更の頻度はヘッドに比べると少ないと言える。
海外メジャーで“NXグリーン”が大活躍
最近、日本の女子選手のあいだで人気なのは藤倉コンポジットの「SPEEDER NX(スピーダー エヌエックス)」シリーズ。特に「SPEEDER NX GREEN(スピーダー エヌエックス グリーン)」(2022年)にスイッチしてから「全米女子オープン」の2位をはじめ復活の兆しを見せている渋野日向子、同じシャフトで「KPMG全米女子プロ選手権」2位に入った山下美夢有、そして「エビアン選手権」を制した古江彩佳の輝きは見逃せない。
吉田優利、河本結も使用者で、手元と先端がしっかりした叩けるシャフトだ。渋野、山下、河本のスペックは「5SR」(それ以外は「5S」)と、女子プロの間では少し軟らかめが好まれるのが特徴。2万円台中盤で見つかるだろう。同社製品では「VENTUS(ベンタス)」シリーズが男子ツアーで人気だが、女子ツアーでは少数派。神谷そらが選ぶ「VENTUS BLACK(ベンタス ブラック)」(2021年)や青木瀬令奈の「VENTUS RED(ベンタス レッド)」(日本未発売)は3万円台前半から。
テンセイ、ディアマナも根強い人気
小祝さくら、蛭田みな美らは三菱ケミカルの米国発製品「TENSEI(テンセイ)」シリーズから「TENSEI Pro White 1K(テンセイ プロ ホワイト ワンケー)」(2021年)を愛用。手元調子でハードヒッター向けだ。同じように手元のしなり感がある「TENSEI CK Pro Orange(テンセイ シーケー プロ オレンジ)」(2019年)と比べるとハリがある。このオレンジは穴井詩が使用。ホワイトは2万円台後半、オレンジは2万円台前半が相場だ。
三菱の看板商品でもある「ディアマナ」シリーズの最新作、第6世代の「ディアマナBB」も人気急上昇中。桑木志帆や菅沼菜々がシーズン中にも関わらず、登場以来さっそく投入した。しっかりした振り心地で安定感がある。一方、中古ショップで1万円台前半から見つかりそうなのが天本ハルカや植竹希望の相棒である第4世代「ディアマナZF」(2019年)。勝みなみが使う第5世代の「ディアマナGT」(2022年)は2万円台前半で探したい。
ツアーAD、アッタス、そしてスチールシャフトの老舗も評価急上昇
上田桃子はグラファイトデザイン「ツアーAD」シリーズの最新モデル「ツアーAD GC」を使用。「ツアーAD UB」(2021年)は、竹田麗央が使っている。手元にしなり感があり叩けるシャフトで飛ばし屋にマッチしている。
稲見萌寧が長年選んできた「The ATTAS(ジ・アッタス)」(2018年)、西郷真央が選ぶその後継「The ATTAS V2」(2023年)はいずれもUSTマミヤのシャフト。どちらもクセのない中調子で、2万円台中盤で購入できる。
米国発モデルで2023年から日本にも登場した「LIN-Q」シリーズも使用者を増やしている。原英莉花、小林夢果が「LIN-Q M40X」(2023年)をチョイス。しっかり感がある元調子で、ハードヒッター好みだ。3万円台前半から見つかった。
また、ここ数年で使用者が増加傾向にあるのがアイアンのスチールシャフトで圧倒的なシェアを誇る日本シャフト。ウッド用カーボンシャフトの評価も高まっている。「レジオフォーミュラMB+」(2021年)が人気で、佐久間朱莉、藤田さいき、森田遥が愛用。全体がバランスよくしなる、クセのない一本で、稲見萌寧も「レジオフォーミュラM+」(2019年)を選んだことがある。
純正シャフトも侮ることなかれ
以前は、純正シャフトと言えば中古市場でも二束三文だったが、ピン、テーラメイド、キャロウェイなど人気ドライバーの標準モデルは、ヘッドの流通数も多いため人気がある。1万円台中盤になることも珍しくない。
やはり自分にマッチするか、しないかが重要で、鈴木愛は契約先であるピンの純正「ALTA J CB」を長く使っている。我々にも参考になるだろう。もちろん、装着されているスリーブが自分のドライバーと互換性があるか、長さが合うかは購入時にしっかりチェックしたい。(文・田島基晴)
■ 田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。