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T100、T100S、T150、T200、T250…タイトリストの「T」を中古でおさらい

2025/08/22 20:00
ジャスティン・トーマスはT200、T100、621JTのブレンドセット

タイトリストの「Tシリーズ」は、発売以来ツアープロから上級アマチュアまで幅広く支持されてきたアイアンである。構えやすいクラシックな顔つきとソリッドな打感を持ちながら、その内側には最新の設計思想と素材技術が詰め込まれており、やさしさと操作性を高い次元で両立している。初代から最新モデルまでの進化を振り返りつつ、中古市場で選ぶ際のポイントとおすすめモデルを紹介していこう。

タイトリスト アイアンの歴史をざっくりと

上級者向けアイアンの代名詞といえばタイトリスト。その評価をツアーで一気に高めたのは、1993年に登場した「DCI」シリーズだった。ステンレス鋳造の比較的扱いやすいキャビティで、多くのプロや上級者のキャディバッグに収まった。そして、軟鉄鍛造アイアンの存在感を決定づけたのが2000年代以降のタイガー・ウッズとの契約だ。「681T」、「681」、「680」、「670」といった名機を次々と世に送り出し、「軟鉄鍛造マッスルバックならタイトリスト」というイメージを強く植え付けた。

2007年からは最新素材や構造を採用した「AP」シリーズが登場。扱いやすさと飛距離性能を融合させたこのシリーズは、12年間にわたりツアープロからアマチュアまで幅広く支持されるロングセラーとなった。そして2019年、APシリーズの後継としてTシリーズが誕生。伝統の顔つきと最新テクノロジーを融合させた新時代のアイアンだ。

歴代Tシリーズの進化

キャメロン・スミスは3代目「T100」の黒染めを愛用

2019年にリリースされた初代Tシリーズは「T100」、「T200」、「T300」の3モデル構成。T100はツアープロ向けの軟鉄鍛造キャビティで、シャープな見た目ながら内部にタングステンを配置して許容性を高めた。T200はアスリート寄りの飛び系ポケットキャビティで、高初速と高弾道が魅力。T300は大型ヘッドと高慣性モーメントで、幅広い層に対応するやさしさを備えた。

2021年の2代目ではフィーリングと寛容性のバランスがさらに向上。「T200」は中空構造に見えて、実際はポケットキャビティ構造といえる仕上がりだ。「T100」のロフトを2度立たせた「T100S」は見た目の美しさと飛距離性能を両立。ツアーでも使用者が増えた。

2023年の3代目は、フィードバック重視の設計へシフト。「T100」の打感はさらにソフトに磨かれ、ヘッドサイズをわずかに大きくして低重心化した「T150」が新登場。「T200」はステンレスから軟鉄鍛造ボディへと刷新され、打感と安定性が大幅に向上。さらに「T350」が「T300」の後継として加わり、やさしさを求めるゴルファーに新たな選択肢を提供した。

「AP2」ユーザーだったジョーダン・スピースは「T100」3代目を使用

そして2025年の4代目では、「T100」、「T150」、「T250」、「T350」の4モデルをラインアップ。落下角度やボール初速に徹底的にこだわり、複数モデルを組み合わせるコンボセッティングを前提にしてデザインが統一された。なお、T400は2023年以降は姿を消している。

モデル別の特徴と適性を分析すると

ツアーで絶大な人気を誇った「AP2」の流れをくむT100は、ツアープロや上級者向けの操作性重視モデルだ。ミスへの許容度は軟鉄鍛造ハーフキャビティよりやや高い程度で、過剰なやさしさは期待できない。このT100の印象が強いため、Tシリーズ全体が「手強い」と思われがちだ。T150はT100をほんの少し扱いやすくしたモデルで、極端なやさしさはない。しかし少し頑張れば使えそうに感じさせる点が実にニクイ。ガチなアスリート志向のゴルファーには迷わずT100をおススメする。

幡地隆寛は4代目「T100」を即投入した

一方、T200やT250はタイトリストらしい美しい顔つきを保ちつつ、反発の高い素材を採用して寛容性と飛距離性能を兼備。アベレージゴルファーから飛距離を求める上級者まで幅広く対応する。T300やT350はさらにヘッドサイズが大きく、やさしさと高弾道性能を重視した飛び系モデルだ。過去モデルのT400はアイアン型ユーティリティ並みの大型ヘッドと超ストロングロフトを持ち、飛距離不足に悩むゴルファーを力強くサポートした。

つまりTシリーズは、100と150がガチのアスリート向け。200、250、300、350が幅広く使えるスタンダードモデル。400が飛び特化型と位置づけられる。

中古で狙いたい「T」とは

中古市場で注目したいのは、まず2021年の2代目T100Sだ。T100より2度ロフトが立ち、7番で32度、PWで44度という現代的な設定ながら、48度の番手が用意されている点がタイトリストらしいこだわり。可能であれば48度を含むセット購入がおすすめで、相場は6本セットで7万円前後となっている。

次は2023年モデルのT200。ブレード長はT100やT150と同じだが、ひと回り大きなヘッドと広めのソールが安心感を与えてくれる。軟鉄鍛造ボディ化で打感も格段に向上しており、中古では6本セットが10万円を切ることもある。

左上から時計回りに、3代目「T200」、「T400」、「T300」(21)、「T100S」

さらに、T350登場前の2021年モデルT300はやさしさと高弾道を備えながら価格面でも魅力的。2022年発売のT400は7番で26度という超ストロングロフトを誇り、現行のラインアップから外れた今では希少価値が高い。これら4モデルはいまや中古でしか手に入らないため、探す楽しみも大きい。

Tシリーズの中古を選ぶ際はシャフトチェックも忘れずに。前オーナーのこだわりでカスタムやリシャフトされている個体が多く、自分に合うシャフトが付いたセットを見つけたら、迷わず手に入れたい。

Tシリーズは初代から最新モデルまで、それぞれに個性と進化があり、中古市場では価格と性能のバランスを見ながら最適な一本を選ぶ楽しみがある。正直、アイアンというジャンルはデザイン以外の劇的な進化を感じにくい。だからこそ、新モデルの登場は過去モデルをお得に手に入れられる絶好のタイミングでもある。気持ちよく振り抜けるモデルを、中古ショップで探してみてはいかがだろうか。(文・田島基晴)

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