モンスターコースこそ、刻む勇気を！ ゴルフ5カントリー オークビレッヂ（前編）
使用クラブを巡り、一触即発!?
そして迎えた5番パー4は、浮島フェアウェイが特徴的な名物ホール。先の難易度ランキングでも18番ホールと1位を分け合うほどの、OUTコースのヤマ場だ。直線的に狙うなら浮島フェアウェイ、左サイドのフェアウェイも含めて2つの攻略ルートが用意される。先ほどN村は直線ルートを狙うも力んで引っかけ、さらにグリーンを狙うショットもミスして2度の池ポチャ。
だが、再度の浮島狙いはスイング改造効果なのか、フェアウェイに着弾。200ヤード程度しか飛ばせなかったとはいえ、第一関門を突破。セカンドショット地点でピンまで150ヤード。無風、ライもフラット。N村は7番アイアンを選んだが、比嘉プロから6番アイアンを差し出された。
（N村）僕の飛距離は7番アイアンで150ヤードなので、ピンをデッドに狙いたいんです。大きめのクラブで安全策をとる必要はありますか。
（比嘉プロ）N村さんの言う飛距離とはキャリーですか、それともランも含めたトータル？
（N村）キャリーなら140ヤードでしょうか。
（比嘉プロ）このホールでピンを狙うときは、必ずキャリーで番手を選んでください。今日のようにピンが手前に切られているのなら、なおさらです。グリーンは手前の池に向かって大きく傾斜しているうえに刈り込まれています。ギリギリ届いたとしても、ほぼ確実に池に落ちるんです。だからN村さん、キャリーで150ヤードを打てる6番で行きましょう！
6番アイアンで打ったN村のセカンドショットは、やや薄めに当たり弱々しいスライス弾道ながら、なんとかグリーン右のラフで止まった。そして、そこから絶妙なアプローチ。どうやら難しいコースでスコアを崩していくうちに、逆にスコアのプレッシャーから解放されたようだ。手がよく動いた。まあ、上級者には分からない感覚だろうが……。寄せワンのパーで最難関ホールを乗り切り、心の中でガッツポーズ。
だが、パーを取って落ち着けたのも一瞬のこと。その後はダブルボギーを繰り返し、9番ホールも難易度ランキングで4位と一筋縄ではいきそうにない。371ヤードと距離こそ長くはないが、三方を池が囲むグリーンが高低差の大きい3段構造となっていて、ホールに近づくほどプレッシャーは増していくのだ。
N村のティショットはトップ気味の低弾道で打ち出され、フェアウェイ左手前にある大きな窪地の中へ。ラフも深く、高さもあるため、ウェッジでフェアウェイに出すのが精いっぱい。3打目地点でピンまで175ヤードを残す羽目になり、ユーティリティとの心中を覚悟。
そして、再び比嘉プロがクラブを持って登場する。今度はかなり短いクラブのようだが……。
（比嘉プロ）ユーティリティでグリーンを捕らえられる確率はどれくらいだと考えていますか。
（N村）30パーセント……いや20パーセント、あればいいでしょうか。
（比嘉プロ）これまでのプレーを見る限り、N村さんはグリーンに届く距離ならすべて狙いますよね。結果的にミスの上塗りになっていますよ。このコースですべてパーを狙おうなんて思わないことです。
（N村）また、池の前に刻むんですか……。
（比嘉プロ）少なくともユーティリティを使うなら、そのほうが確実です。フェアウェイウッドやユーティリティが苦手なのなら、いっそのこと、使わないようなマネジメントを考えてみるのも手。つまり、「刻み」を有効に使うわけです。
（N村）グリーンを狙えるチャンスを手放すのは、とても損した気分になるんですよね。
（比嘉プロ）トラブルショットとは違って、確かにこのような刻みのショットを決断するには勇気がいります。でも、強引なプレーにならないよう態勢をきちんと整えて、5番ホールのようにパーのチャンスを待つこともこのコースを攻略するうえではとても大事なことです。
池の手前に刻み、4オン2パット。N村は上がり4ホール連続ダブルボギーという大荒れのOUTコースをスコア49で終えた。比嘉プロが言う通り、難攻不落のコースに真っ向勝負を挑むのは分が悪い。いま一度、身の丈に合ったプレーでコースに向き合うことを誓うのだった。
（取材協力／ゴルフ5カントリー オークビレッヂ）
※次回の公開は11月27日（金）を予定。N村の巻き返しにご期待ください。