スイング辞典by内藤雄士

「スティープ」はそもそも“悪”なのか【レッスン用語♯11/スティープ】

2024/12/20 10:50

シャローイング、スティープ、サイドベンド…、レッスン界には実に多くの専門用語があふれている。今企画はそうした一見難しそうなレッスン用語を、プロコーチ界の第一人者・内藤雄士に解説してもらう。“辞書”をひも解き、上達に役立ててもらいたい。11回目は「スティープ」について。

そももそも「スティープ」とは

シャフトプレーン(赤線)よりクラブが立てばスティープ(右)、寝ればシャロ―(左)

スティープとはシャフトの傾きに対して使われる用語。構えた時のシャフトプレーンよりクラブが立って下りてきたらスティープ、寝て下りてきたらシャローと呼びます。本来シャフトプレーンに近い所にクラブを通したい。ですからスティープだとスイング軌道がアウトサイドインになるので、スライスか、引っかけかになりやすい。アマチュアの人はどうしてもスティープが多いと思います。

アマチュアにスティープが多いのはなぜか

右ひじが下を向いた状態で腕を外旋させつつ胸を回す

スティープになりやすいのは、関節の可動域の影響があります。スティープ自体は悪ではありません。ただし、腕の動きには内旋(右ひじが上方向を向いた状態)と外旋(右ひじが下方向を向く状態)があって、内旋した状態でのスティープは悪。スコッティ・シェフラーもスティープですけど、内旋方向には動いていない。その動きをやってみると分かると思いますが、外旋させたまま前傾してトップまで胸を回すと、腕の外側とかわき腹とか肩甲骨とかが張ってきつくなる。正しいトップを作るにはこの外旋運動が不可欠ですが、皆さんきついから楽な体勢でトップを作ろうとする。結果、内旋した状態でのスティープになりやすいんです。

可動域の範囲内でトップを作ろう

可動域の範囲内でトップを作りたい(写真左)、無理やり上げるとシャフトクロスにも(右)

体が硬いなら硬いなりに、クラブが上がる限界で終わったほうがいいです。無理やりそこからクラブを上げようとしてシャフトクロス(クラブが飛球線より右を向く)したりすると、過度なスティープにも。可動域が狭い人は無理にトップを大きくするのではなく、可動域の範囲内で、しっかり胸を回し、腕を外旋させてトップを作ってください。それでもクラブはしっかりプレーンに乗りますから。練習などではフルショットしないで、プレーンに乗った状態から打つ練習をするのもいいと思います。

スイング辞典 記事一覧