「世界最先端の設計で井上誠一がReBORN」春日井カントリークラブ/ゴルフ場Gメンが行く#11

「世界最先端の設計で井上誠一がReBORN」春日井カントリークラブ/ゴルフ場Gメンが行く#11
12番ホールパー3はグリーンを大改修。まさに生まれ変わった

全国に散らばるゴルフ場営業のスペシャリスト、通称「ゴルフ場Gメン」たちによる恒例企画。全国各地のゴルフ場に潜入し、コース攻略のポイントやグリーンの特徴、ラウンドに必要なマル秘情報を徹底調査する。その詳細なレポートを、ラウンド前の予習に、もしくは予約のきっかけに役立てて欲しい。11回目は大改修を終えたばかりの「春日井カントリークラブ」(調査Gメン/ケンGロウ)。

改修の狙いは「老朽化対策、戦略性、サステナブル」

ご無礼します。愛知県もたまに担当するケンGロウです。今回調査で訪れたのは1964年開場、歴史のある「春日井カントリークラブ」。井上誠一氏が25番目に手掛けたコースで、井上氏が初めて大型重機を入れたコースとして知られています。過去には1969年に日本プロ、75年に日本オープン、80年に日本女子オープンを開催しています。

今回は春日井側から、「改修をしたのでいっぺん視察がてら見に来てください」とお呼びがかかりました。36ホールあるうちの、東コース18ホールの改修が行われました。23年に改修が始まり、約1年をかけての大改造。しかも「ザ・クラブ・アット・ナインブリッジ」(韓国)、「セントーサゴルフクラブ」(シンガポール)など、国際的な名コースを手掛けたデイビッド・デール氏(ゴルフプラン社)の改修ですから、井上誠一設計に世界最先端の手が入るとどのような化学反応が起きるのか。プレーする前からワクワクが止まりませんでした。

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18番ホールパー4のティイングエリアからの見た目。奥にクラブハウスが見える

では、コースを回る前に改造の狙いなどを事前に予習しておきましょう。

「(コース改造は)設備の老朽化が発端でした」と話すのは、改造の旗振り役である松岡茂将取締役。松岡氏が同コースに関わるようになったのは2020年のこと。開場から60年近くが経ち、「老朽化と人手不足、温暖化といったいくつかの問題を抱えていました。それらをいかに改修に絡めるかが最大の狙いで、戦略性と美観を保ちつつ、持続可能性を備えたゴルフ場を目指しました」と松岡氏は振り返ります。

新たに導入したスプリンクラー散水システムも、持続可能性の取り組みの一環だと言います。「日本の散水システムは、スプリンクラーをブロックごとに出すブロックシステムが多い。ですが、海外では個別に制御するのがスタンダード。そのほうが水の量が少なくて済みますし、人手も減らせます。何より管理が楽なんです」。コース内にある1028個のスプリンクラーをセンターで一つひとつ管理できるようになって、まきたい所にピンポイントで散水できるようになりました。

コース管理をしやすくするためには、時に戦略性を犠牲にしなければいけません。ですが、春日井は改造後も「コースレーティング75.4、スロープレート149」という評価を受けています。これはまさにハイレベルな設計のたまものじゃないですかね。

その戦略性の高さ、コースの難しさ、設計したデイビッドにじっくり話を聞いてみることにしましょう。

3面グリーンは“広いのに狭い”

コースを回ると、明らかにレイアウトの変わった部分に気づくと思います。一つはグリーン、もう一つはバンカーです。

まずグリーンに関して。いわゆる昔ながらの2グリーンを1グリーンにしました。グリーン自体は広くなりましたが、グリーンの形状は平らではなく、ポテトチップスのようにうねっていて段差があります。グリーンに乗ったとしてもピン位置によっては段差越えのパットが求められるので、結果的に“狭く”なりました。2打目をどのように攻めるか、慎重に考えなければいけません。

グリーンについてデイビッドは「どのホールもグリーン上はだいたい3面になっています。ピンポジションによっては、どの角度で狙っていくのか、どの程度まで打ち込んでいくのかを楽しめるはず。球が着弾して終わりじゃなく、そこからの転がりの面白さが味わえる。ピン位置から逆算して、2打目をフェアウェイのどこに置くかも考慮してプレーしてもらいたいです」と設計意図を解説してくれました。

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グリーンからこぼれると“コレクションエリア”が待ちかまえている

さらに、グリーンわきにはアメリカのメジャー大会でよく見るような「コレクションエリア」が設けられています。フェアウェイのように芝を短くカットしたエリアで、「ボールがいっぱい集まる」ことからそのように呼ばれています。「コレクションエリアはグリーンより低い。どういうタッチで攻めるか、まさにグリーン周りのリカバリーショットが求められます。ウェッジ、パターだけでなく、ユーティリティまで含めて、皆さんの得意、不得意でクラブを選んでもらえればいいと思います。初心者の方でもパターならピンを狙えますし、私もいつもパターを選びますよ」(デイビッド氏)

20個近いバンカーがなくなった

もう一つの変化がバンカーです。過去に回ったことがある方ならすぐに気づくと思いますが、フェアウェイのバンカーがなくなったり、一方で新しくできたり、18ホール全てでバンカリングが見直されました。だいたい20個近くなくなったそうですよ。

その狙いはどこにあったのかを、コースのメンバーでもある桑原克典プロが教えてくれました。「バンカーはあくまで目印であって、ペナルティではないんですよ。ネガティブな存在ではなく、ターゲットとして考えてほしい。越えたらチャンスだし、越えないなら刻む必要がある。自分の距離との戦いを楽しんでほしいんです」

「全ては目印」という観点から、必要な場所にバンカーを新設、そして残すものは残したそうです。ティイングエリアからの視認性を高めるために、バンカーのヘリを高くする味付けも施されています。さらに、フェアウェイバンカーは手前から転がって入りやすいように、傾斜がつけられていますから、ニクイですよね。

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フェアウェイバンカーは手前から入りやすい用に傾斜がついている

「元々のレイアウトがとてもうまくできていたので、その中で戦略性を見直していきました。地面の角度や造形の具合で、ボールが着弾して転がっていく先が変わっていく。その辺りを楽しんでもらいたいですね。ティショットをどこに落としてどこに球を止めるのか。そして2打目もピンに対してどう狙うのか。グリーンに対する角度、バンカーに対する角度を考えて作っています」とデイビッドは熱く語ります。

それでは具体的な注目ホールを見ていきましょう。

名物ショートはすり鉢状の「ビアリッツグリーン」

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12番パー3のグリーン手前からの景色

12番ショートホール(白で147yd)も、グリーンがリニューアルし生まれ変わりました。新しいグリーンは通称「ビアリッツグリーン」と呼ばれ、両サイドが高く、真ん中が凹んだすり鉢状になっています。ティイングエリアから見ても、その形状の異様さが伝わってきます。

グリーン全体は750㎡あって意外と大きいですが、右、中、左とそれぞれの面は200㎡ほどで非常に狭い。ピン位置によって狙いが全く変わってきます。難度は「中→左→右」の順で難しくなっていきます。

我々調査班が回った時のピン位置は真ん中。その窪んだ面に乗せるのは至難の業でした。他の面に乗ったとしても難しいパットが残りますし、グリーンを外しても非常に難度の高いアプローチが残ります。私が打った球はスライス気味で右の面に“オン”。非常に難しい下りのパットが残りました。いちばん行ってはいけない場所だったかもしれません。

それぞれの面に対しての安全エリアがあるので、このホールは朝いちばんで、ピン位置を確認しておくのがベスト。しっかりと予習をしてから臨むとええがや。

シグネチャーホールに生まれ変わった16番ホール

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16番の2打目地点からの景色

もう一つ、春日井の名物は、16番のパー4(白で352yd)です。フェアウェイ幅は55ydあるので一見広く感じますが、フェアウェイのど真ん中にバンカーがあり、「左右どちらかに打っていかなければ」と考えると意外と狭い。ティイングエリアでグリーンの位置を確かめ、右か左か手前か、はたまたバンカーを越して奥を狙っていくか、4択の中から狙いを決める必要があります。まさに桑原プロが言っていた、“目印”ですよね。

うまくバンカー越えができたとしても、左サイドに向かって傾斜があり、先には池があります。また右サイドを攻め過ぎると、ピン位置によっては2打目が狙えません。今回の改修でバンカーのあごの高さが32度の傾斜となり、コースで一番高くなりました。これは単に出すのを難しくするだけでなく、ティイングエリアからの視認性を高める狙いもあります。アゴが高いので、ティイングエリアからはっきりと見えます。ピン位置や自分の持ち球との兼ね合いでどう攻めていくか、ようけ悩んでちょーよ。

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フェアウェイ中央にバンカーがパックリ

スライサーの私は、バンカー狙いから右に曲げて右サイドフェアウェイにうまく置けました。いい位置に打てたのですが、2打目は左の池がきいていて、左サイドのピン方向には打てず、グリーン右サイドにオン。そこから3パットしてボギーにしてしまいました。

桑原プロによれば、16番はグリーン奥の木を伐採して景観をより良くしたそうです。確かにティイングエリアからの眺めは良く、晴れていたこの日は奥に名古屋駅周辺のビル群が見えました。

SDGsを意識したコース設計

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5番パー4のティショット。右のフェアウェイバンカーが目印に

さて、ここまではコース改造の戦略的な面を見てきました。ここからは、もう一つの狙いでもある、“サステナブル”を調査していきましょう。

冒頭でスプリンクラーの話をしましたが、水回りで言えば、他にもバンカーの排水システムがすごいんです。新しい春日井は、通称「ベタービリーバンカー」と呼ばれる透水性が高く水たまりができにくいバンカーを作りました。「近年、局所的に雨が降るなど異常気象が起こりつつあります。水がたまると、その水を抜く作業に人手をとられます。そうなると芝の刈りこみなどに人手を避けなくなる。その手間がなくなるバンカーを導入したかったんです」(松岡氏)

局地的な豪雨が降ったとしても、水たまりができず自然と排水ができる。サステナブルでもあり、人手不足と言う課題に対しての貢献度も高いバンカーが出来上がりました。

また、コースには至る所に全英オープンで見られるようなスコットランド風のカヤが群生していました。「これまでは木の下などに芝を多く入れていましたが、これらをカヤにして水を与えない非整備エリアを作りました。芝を刈らなくてよくなったことで、人手をかけなくていいという利点になりました」とは桑原プロ。雰囲気を出すためかと思いきや、そこにも実は人員削減の狙いがあったとは驚きますよね。グリーンの芝に関しても、温暖化に対応するべく「オークリー」という夏場に強いベントグラスを導入しているそうです。

また、今回の改造ではフェアウェイを拡張しています。ティショットを打ちやすくするためというより、「無人芝刈り機で刈る場所を増やした」理由のほうが大きいと言います。ここにも人員削減の狙いがあり、無人芝刈り機にはフェアウェイの位置をマッピングさせて、お客さんがいなくなったあとに自動で動かしているそうです。

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コンクリートカートパスの施工中の様子(写真:春日井カントリークラブ提供)

さらに今後は、キャディ不足を考慮して、フェアウェイの乗り入れも検討中とのこと。2人乗りカート「イージーゴー」導入も踏まえて、2.8mのカートパスを作っているそうです。カート道はアスファルトからコンクリートにして耐用年数を約5年から約30年に高めています。

まさに「戦略性+サステナブル」、井上誠一が手掛けたコースが最先端の技術でよみがえりました。これはわざわざ回りに来る価値、大いにあるみゃー。

ケンGロウGメンの「これは伝えたい!」ゴルフ場のプチ情報

・東コース改修を終えてリニューアルオープンするタイミングで、レストランのメニューも一新。その際に昔から春日井CCで人気のあった欧風インドカレーを復活。仕込みから全て手作り。「手間がかかり過ぎる」という理由で長い間提供を中止していたが、代々受け継がれてきたレシピを現代風にアレンジして具材も少し変えて毎日数量限定で提供している。

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人気の欧風インドカレー

・東海エリアのゴルフ場によくある昔ながらのコーヒーカウンターは平日と土曜日の営業。人気商品のホットドッグは、平日と土曜日はコーヒーカウンターにて、日曜日はクラブハウス2階のレストランにて、各日限定約10個で販売中。西コーススタートの売店では、カレーラーメンとキムチラーメンが人気(冬季限定)。
・デザートが有名で、「昔ながらの製法で毎日手作りしております」。安くて大きくて美味しいと評判。

・練習場の2階打席をリニューアルし、レンジボールも一新。整備が行き届いて気持ちよく練習ができる。
・クラブハウス前にある春日山神社は、プレー前にお参りすると、その日のスコアがアップするとかしないとか!?
・26年アジア大会開催コースに認定

さあ、プレーしてみたくなったかな?コース情報はこちらをCheck!

春日井カントリークラブ

・36ホール パー144/7050yd(東OUT・IN)/コースレート75.4(東OUT・IN)
・設計者:井上誠一(東コースはデービッド・デールが改修)
・練習場48打席 230yd/乗用カート
・グリーン:東1グリーン/ベント/平均スピード10ft*9~11月の晴天時
西2グリーン/ベント&ベント/平均スピード9ft*9~11月の晴天時
・フェアウェイ芝:コーライ
・バンカー数:172 池が絡むホール数:9
・アクセス:中央自動車道 小牧東IC 2km
・住所:愛知県春日井市西尾町1071/TEL:0568-88-0555
GDO予約総合評価★★★★4.5

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