「上級者が回りたがるトーナメント“じゃないほう”の魅力とは」Kochi黒潮カントリークラブ/ゴルフ場Gメンが行く#10
全国に散らばるゴルフ場営業のスペシャリスト、通称「ゴルフ場Gメン」(GGM)たちによる恒例企画。全国各地のゴルフ場に潜入し、コース攻略のポイントやグリーンの特徴、ラウンドに必要なマル秘情報を徹底調査する。その詳細なレポートを、ラウンド前の予習に、もしくは予約のきっかけに役立てて欲しい。第10回目は、国内男子ツアーの「カシオワールドオープン」開催コースで有名な「Kochi黒潮カントリークラブ」。(調査Gメン/タカG)
ぜひとも回って欲しい黒潮OUT・IN
こんにちはぜよ。高知県担当のタカGです。だいぶ寒い日が増えてきましたね。夏が終わったと思ったら一気に冷え込んできました。いったい秋はどこへ行ったがやろう…。でも安心してください。今回調査した高知黒潮は、冬でもポカポカ陽気で回ることができる(であろう)コース。昨年は11月下旬でも最高気温25℃が出ましたからね。
ご存じの通り、トーナメントコースで非常に人気があり、地元のお客さんだけでなく関東や近畿など県外からのお客さんも多く訪れます。高速道路がコースのそばまで延伸したことで、空港から車でわずか20分とアクセスもさらに良くなりました。クラブハウスを出ると目の前には太平洋が広がり、空は高くて解放感たっぷり。フェアウェイも広く、豪快なショットが楽しめる本格的なチャンピオンコースです。
コースは太平洋・暖流の18ホールのほか、黒潮OUT・INの18ホール、計36ホールがあります。トーナメントのテレビ中継で目に触れる機会が多い太平洋コースが印象的なため、初めて訪れるゴルファーは同コースがプレーできる「太平洋→暖流」の18ホールを選ぶことが多いそうです。ですが、地元のメンバーの方や上級者は「黒潮OUT→IN」を好んでプレーすることが多いとのこと。今回はそんな上級者に好まれる、黒潮のOUT・INを調査しました。その特徴と攻略ポイントを紹介していきますよ。ちなみに「カシオワールドオープン」は黒潮コースの1から5番、15から18番をフロントナイン(前半)、太平洋コース9ホールをバックナイン(後半)として組み合わせています。
黒潮OUT・INの特徴とは
太平洋コースや暖流コースは豪快なショットが楽しめる一方で、黒潮コースは少々トリッキーと言われることもあります。ですが、黒潮もダイナミックなホールがほとんど。黒潮で回ったほうが上手くなるというメンバーさんも多く、非常に戦略性の高いホールが続きます。
黒潮OUT・INは準スループレーが特徴で、ハーフターン時に軽食をとります。どのホールもフェアウェイは広く、OBも少なく、比較的ティショットは簡単ですが、そこに罠が潜んでいます。フェアウェイの落とす位置次第で、セカンド以降の難度がガラッと変わるホールが多いんです。あごの高いガードバンカーとアンジュレーションのきついグリーンが待ち構えているケースがほとんど。ティイングエリアで必ずピン位置も確認し、逆算してティショットをピンポイントで狙っていく必要があります。フェアウェイの置き場を間違えると、簡単にボギーやダボにもなってしまうんです。
また、グリーンは2段や3段でアンジュレーションのきついものが多く、パッティングの技術も要求されます。芝目も強く、「海から順目」というのはプチ情報としてお伝えしておきます。スコアメイクに生かしちゃってや。
8番ホールはグリーンを3パターンに
黒潮コースでいちばんの注目は8番ホールです。左サイドはすべて崖でOBが続く、左ドッグレッグのパー4。左OBを気にして右サイドを狙いすぎると、今度はセカンドショットで左のOBが気になり、グリーンを攻めづらくなる。ティショットはフェアウェイセンターからやや右側に置けるといいでしょう。
このホールに注目した理由はグリーンにあります。非常に難度の高い高低差1.5mの2段グリーンが待ち受けています。フェアウェイに上手く置けたとしても、問題は2打目でグリーンのどこを狙うか。グリーン左手前にはあごの高いバンカーもあり、絶対に避けたいところです。
コースメンバーの永井資士氏によれば、上級者はグリーンを三分割して考えるそうです。1・左手前(下段)、2・右手前(上段)、3・奥(上段)と考え、難度は1⇒2⇒3の順で難しくなります。その日のピン位置によって、攻めるか、守るかのジャッジをしているそうです。ちなみにクラブ競技の決勝日は必ず3にカップを切ります。もし皆さんが回るときに、ピン位置が3だったら気合を入れて勝負してほしいがよ。
17番パー3は視覚のハザードに注意
17番はトーナメントの8番ホールなので、ご存じの方もいるかもしれません。グリーン奥に太平洋の水平線が望める景観抜群のパー3です。
もともとグリーン奥にはヤシの木が生えそろった丘がありましたが、コース改修によりヤシの木を切りました。切るきっかけは「太平洋を望めるように」という景観のためですが、結果的に「視覚的ハザード」が生まれました。ヤシの木が無くなったことで、縦の距離感が非常につかみにくくなったんです。確かにグリーンを狙う時、奥の対象物があると距離感はつかみやすいですよね。さらに海からの風の影響をモロに受けることになったので、難度は増しました。夏はアゲンスト、冬はフォロー、縦距離を正確に打ち分けるのは非常に難しいです。
さらにグリーン右手前には身長以上の高さのアゴがある名物バンカーが取り囲んでいますからね。そこに入れるとノーチャンスなので、注意が必要。しかもアゴは枕木が配されていて、運が悪いと直接当たって右手前のOBに行くことも。ティイングエリアで太平洋の水平線を眺めている余裕はないかもしれません。
攻略法としては、右バンカーを避けて左手前から攻めていきたいところ。グリーンは右奥が高く左手前は低いので、アプローチも狙いやすいです。ただし、グリーンは全体に奥に向かって傾斜しているので、寄せる際は打ち過ぎに注意が必要です。
気温「25℃」を基準に風向きが変わる
黒潮の名物のひとつは風です。夏は海からの風、冬は山からの風。気温25℃くらいで風向きが変わる傾向にあります。気温が高くなり海からの風が吹き始めるとフォローの風になるホールが増えてきます。
例えば、OUTの3番は夏は海からの風でフォローになりますが、これからの時期は逆にアゲンストになります。距離の長いパー4なので、ティショットでできるだけ距離を稼ぎたいところですが、山からの風が吹くと難度が一気に増します。
名物の17番パー3も縦距離が難しいホールのため、我々アマチュアにとっては、海からのアゲンスト、山からのフォロー、どちらの風も難しいです。でもウラを返せば、どちらの風にも対応できるスキルが身に着くということ。気温25℃を境に、2度楽しめると思っていただければ、とてもやりがいがあるはずです。夏も冬もここでパー以下で上がれば、周りに自慢できると思うがよ。
最終18番ホールは、セカンド以降がバンカーだらけ。これからの時期はアゲンストになり、距離のあるバンカーに入るリスクがあります。2打目の風のジャッジは慎重にしてほしいところ。特に午後から風が強くなるケースが多いので、最終ホールで大叩きなんてことにならないように注意してくださいね。
タカGメンの「これは伝えたい!」ゴルフ場のプチ情報
・食事は、休憩時間が少ないため軽く素早く取れるメニューが揃う。うどん、そばなどの麺類や季節ものなど。人気は年間通じて頼める「おでん」。
・ゴルフ場の名物キャラクターの「かんくろう」が有名。クラブハウスのエントランスでお出迎え。プロショップではたくさんのかんくろうグッズが販売され人気。
・残りヤード表示がグリーンセンターとエッジの2タイプ。ヤシの木とヤード杭で表示していて、より正確なショットの指標となる。
・1番は太平洋に向かって豪快なショットを楽しめるストレートホール。景観抜群で黒潮コースで唯一太平洋に向かってショットが打てる。240ヤード付近の傾斜が比較的弱いが、それ以上飛ばすと左足下がりの下り傾斜となるため、ティショットから落としどころに悩む。
さあ、プレーしてみたくなったかな?コース情報はこちらをCheck!
Kochi黒潮カントリークラブ
・36ホール パー144/7315yd(黒潮イン・暖流)/コースレート74.9(黒潮アウト・黒潮イン)
・設計者:(株)竹中土木 四国開発(株)
・練習場20打席 250yd/乗用カート
・グリーン:1グリーン/ベント/平均スピード10ft*9~11月の晴天時
・フェアウェイ芝:コーライ
・アクセス:高知自動車道 南国IC 26km
・住所:高知県安芸郡芸西村西分甲5207/TEL:0887-33-4455
GDO予約総合評価★★★★★4.8