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ゴルフ日和

「ゴルフ+ワーケーション」が秘める可能性 ~ヘレナ国際CC

仕事の空き時間にゴルフコースに出る。以前なら実現が難しかったそんな生活へのハードルは、リモートワークの普及によって確実に下がった。後押しをするのが、旅先で仕事をこなす“ワーケーション”(ワーク+バケーション)という新しいスタイル。福島県いわき市のヘレナ国際カントリー倶楽部は、ゴルフを結び付けたワーケーションをいち早く提案し、ゴルファーにとって魅力的な独自プランを打ち出している。

“フラシティ”に新たな集客の軸を

いわき市は、中南部に位置する大型レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」を観光・集客の目玉とし、“フラシティいわき”として地域の魅力発信を続けている。

一方で、「いわきの観光はハワイアンズ頼り。東京からのアクセスの良さをウリにしていますが、東京の人は正直に言って特にアクセスがいいとは思っていませんよね」と話すのは、同倶楽部を運営するヘレナ・インターナショナルの高橋大吾専務。都心からは車や鉄道で向かっても2時間強。新幹線や飛行機を利用すれば、同じ所要時間で他にもかなりの選択肢があることは間違いない。

そのなかで、広大な敷地にゴルフ場、乗馬クラブ、宿泊施設などを持つ「ヘレナリゾートいわき」を新たな観光の軸にするべく、さまざまな取り組みを行う高橋専務が温めてきたのがワーケーションというアイデアだった。

「ゴルフとワーケーションは相性がいいという考えは以前から持っており、はやってくれたらいいなと思っていました。そうしたところでコロナ禍があり、在宅ワークが増え始めたので、どれだけニーズがあるかは分からないけど、まずはやってみようとなったんです」

「数少ない成功例」

プランの利用者は、2021年のスタートからおよそ1年半で500人を越える上々の滑り出し。市外からの集客に向けてワーケーションの利用拡大を目指す「いわき商工会議所」の本多麻里主任は、「旅行との明確な線引きがないため、他の施設の利用者数は把握できていませんが、ヘレナリゾートさんは現時点で数少ない成功例だと思います」と話す。商工会議所が事務局の一部を担う「IWAKIふるさと誘致センター」では一定の条件を満たす利用者に対し、宿泊費の8割(1泊あたり最大8000円)の補助金を出しているが、PR不足のためか制度の利用者は思うように伸びていないという。

そうした状況のなか、高橋専務が考える成功へのポイントは仕事優先で自由に時間が使えること。「プランを考える側はどうしても、いわきに来たらコレを食べてほしい、この名所を見てほしいという思いがあって、観光のスケジュールが決まっていたりするんです。ただ、皆さん仕事をしに来ているので、そういう形は難しいだろうなと思っていました」

同倶楽部のワーケーションプランは「宿泊数+1枚」のハーフプレー券がセットになったもの。業務状態に合わせて早朝から薄暮まで好きな時間帯に使用できるので自由にスケジュールを組め、余ったプレー券の払い戻しも可能。また、アプローチとバンカー用の施設を含む広々とした練習場は使い放題と、空き時間をゴルフに有効活用できる。

ワークスペースは、コースに隣接する宿泊用のヴィラに用意。wifi設備の増強、仕事をしやすいデスクとチェア、貸し出し用のPCモニターなど、快適な環境に必要なものをスムーズに導入できたことも、サラリーマン経験のある高橋専務がワーケーションは仕事優先という考えを持っていたからこそだろう。

また、ヘレナリゾートいわきではゴルフと乗馬に加えて、2年前にいちご狩りの施設がオープン。「ゴルファーが乗馬に関心を持ったり、いちご狩りに来た方がコースを見て、後日ラウンドにいらっしゃることもあります」と相乗効果を生んでいる。将来的にはワーケーションを体験したゴルファーが、次は純粋にバケーションに訪れる好循環が生まれるかもしれない。

東北で1年中ゴルフができることもセールスポイントのひとつ。「夏は東京を中心に関東からの来場者が多いのですが、冬になると、宮城や新潟のゴルファーがプレーできる環境を求めていらっしゃいます。いわき市は積もるほどの雪はほとんど降らないので、冬でも安定してプレーができる北限なんて言われているんです」。現時点でプラン利用者のほとんどは東京からだが、雪国のゴルファーにとっても魅力的に映るようだ。

ゴルフ+ワーケーションへの期待

ゴルファーにとって魅力的なワーケーションの拡大は、ゴルフ場の経営にもメリットがある。「ワーケーションを利用される方は基本的に平日なので、土日との稼働差を埋められるんです。さらに言えば、いわき市はハワイアンズのプールと海が観光の中心になっているために夏が繁忙期で、それ以外は閑散期。ワーケーションは1年中できるので、このギャップを埋める可能性も秘めています」。プランの利用者の平均は3泊。宿泊施設としては、連泊客を集められることへの期待も大きい。

このところ、移住を見据えた下見という意味付けで、ワーケーションを積極的に推進する自治体が増えている。とはいえ、ワーケーション自体が人気になり利用者が増えないことには、その先につなげていくことは難しい。そのなかで、ゴルフとワーケーションの組み合わせに一定のニーズがあることは明らか。地域の取り組みに貢献するという意味でも、ゴルフへの期待は大きなものになりそうだ。

【フォトギャラリー】ヘレナ国際カントリー倶楽部

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