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前傾の起き上がりどう防ぐ?「両腕をひっくり返してみて」 レッスン現場からLIVEルポ

いままでのゴルフレッスンはいわゆる“感覚”が主流だった。「インサイドに上がっているからもうちょっと外に上げましょう」。これ、コーチの言う“もうちょっと外”ってどれぐらい外なの?そう思ったゴルファーは星の数ほどいるだろう。これからお届けするレッスンのやり取りは、そんな感覚論とは無縁の科学目線の世界。いまどきのプロコーチたちの具体的なレッスンの一部始終を生レポート。人の振り見て我が振り…直せます。

ラウンド中に突然出る「プルフックやこすりスライス」に悩む坂本さん(40代、女性、ハンディキャップ4)

ゴルフ歴15年でベストスコア74。アンダーパーが目標と語る、坂本久乃(さかもと ひさの)さん。
ハンディキャップ(HC)は「4」で、今後の目標として「アンダーパーで回りたい」と語る。だが、ラウンド中に突然出る、左に出て左に曲がる「プルフック」や目標ラインより右に出て右に行く「プッシュスライス」が悩み。このため最近の平均スコアは「85」と、HCに対して物足りないものになっている。

ローハンデならではのきれいなセットアップ

今回担当した関根泰輔(せきね たいすけ)コーチは「坂本さんのアドレスは前傾角度が『肩33度。腰10度』でした。プロの平均値は『40度。11度』なので、平均値に近く、きれいに構えられています」と診断。

*撮影した動画は、AIによって3Dの骨格検出を行う「オプティモーション」という技術で解析。米国のツアープロ50人のスイングデータを元に受講者と比較

関根コーチは、坂本さんのバックスイングのクラブ位置について「クラブヘッドが『V字』より低い位置を通っています」と指摘。ツアープロは、アドレス時のシャフトラインとボールと右ひじを結んだラインで構成された「V字」の中を手とヘッドの両方が通るのに対し、坂本さんはヘッドが「V字」より低い位置(背中側)を通っている。これは体の回転ではなく手の動きでクラブを上げていることを意味している。

プルフックやスライスの原因がここに

トップ時の前傾角は、アドレスとほぼ変わらないのが理想だが、坂本さんの場合前傾角度が25度と浅く、「上体がやや起き上がっています」と指摘。バックスイングで手の運動量が多く、クラブが水平になった時点で左腕のほうが高い状態に。左腕が右腕よりも高い状態にあると、腕やクラブがフラットに動きやすく、左肩が上がってトップで前傾角度が浅くなりやすい。

さらに「前傾角度が浅くなることで、ダウンスイングでは『V字』ラインより手が前に出て、体から離れた高い位置を通ることになります。このままインパクトをむかえるとクラブヘッドはボールより遠い場所を通ってしまうため、ボールに当てるために腕を体の近くに引っ張り込む動きが出てきます。それでタイミングが上手く合えばストレートボールも出ますが、基本的なスイング軌道は『アウトサイドイン』。フェースが左向きでインパクトすればプルフックなり、逆にフェースが右を向くと“擦ったインパクト”でスライスなります」と坂本さんの悩みの原因を分析した。

前傾角度をキープするために「両腕の位置をひっくり返す」動きをマスター

ツアープロは右腕が左腕よりも高い状態を保ってバックスイングしているのに対し、坂本さんはクラブが水平になった時点で左腕のほうが高い状態あるため、関根コーチは、「両腕の位置をひっくり返すドリル」を提案。シャフトが地面と平行になるまでは、フェースがシャットに上がるイメージで両腕の位置をひっくり返して右腕を高くするように指導した。両腕が見える状態をキープすることで肩の入りが深くなることで、軌道がアップライトになりトップで前傾角度が浅くなってしまう問題を解決した。

ドリル後の映像でスイングを見比べてみると、ダウンスイングでの手の位置が大きく変わっていることがわかる。クラブがインサイドから下りてくることで、インパクトで手を引っ張り込むことが根本的なくなり、インサイドアウト軌道に改善された。

「やりすぎ?」と思うぐらい大げさに動きを変えてみる

「ラウンド中に『プルフックやスライス』が突然出てリズムを崩しまい、スコアメイクができていなかった坂本さんですが、ボールの飛んでいく方向を考えればスイング軌道は『アウトサイドイン』を描いていたと思います。根本的な原因はトップ時の前傾角度が浅くなることで起こっていました。今回のケースではバックスイングで右腕と左腕の関係性を変えることで体の起き上がりの問題を解決しました。それによってダウンスイングで手の位置が体から離れることが減り、スイング軌道はドローを打つのに欠かせないインサイドアウトになりました」

が、坂本さんにとってこの動きは以前と全く違うことをやっているように感じるようで、「こんなにやらないといけないの?」と当初は戸惑っていた。

「レッスン前のスイングで平均スコア85が出せているので、しっかり前傾をキープしてドロー回転のボールが打てるようになればさらに前に進めるはず。プルフックのOBでスコアを崩すこともスライスで飛距離をロスすることもなくなり、スコアアップにつなげることができると思います。スイング改造の際は『やりすぎ?』と思うぐらい大げさに動きを変えてみることも必要です」と関根コーチは背中を押した。

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関根 泰輔(せきねたいすけ) プロフィール

1981年5月1日生まれ、埼玉県出身、ゴルフテック池袋所属。14歳の時に父に練習場に連れていかれてクラブを握る。高校・大学ではゴルフをせず他のスポーツに明け暮れていたが、大学時代に練習場でアルバイトをしているうちにレッスンに興味を持ち資格を取得。

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