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マスターたちのスイング診断 VOL.3 ウィンダム・クラーク【解説/目澤秀憲】

シェフラー、マキロイ、松山、ラーム、ケプカ…マスターたちによる祭典がいよいよ始まる。オーガスタを攻略してグリーンジャケットに袖を通すのは誰か。マスターズ優勝をサポートした経験を持つ目澤秀憲コーチが、優勝候補たちの最新スイングを分析・解説する。3回目は、昨年の全米オープンチャンピオンのウィンダム・クラーク

まさに「スイング3.0」 若いプロが目指したい現代版スイング

前回、ロリー・マキロイ(北アイルランド)のスイングを「お手本」と表現しましたが、ウィンダム・クラークはさらに、これからの選手が真似てほしいスイング。日本ではその実績ほど注目されていませんが、スイングの完成度やアスリート能力の高さ、クラブに対する力のかけ方の上手さなど、どれをとっても一級品。コーチの身としては、その打ち方や体の使い方は“研究対象”となる興味深い選手だと思っています。

スイングの動きの中で、特に注目してほしいのが「上下の分離」です。クラークは上半身と下半身の差の作り方が上手い。トップ時点での捻転量もだいぶありますが、さらにすごいのはそれが切り返し以降も続くこと。下がしっかりと分離したまま切り返せていて、下半身リードによるスピード感が半端ない。なおかつ地面をしっかり踏み、インパクト時にそのパワーを開放しながら伸展し、地面からのパワーをスイングスピードに還元している。この一連の体の使い方は僕が教えているプロにもやってほしい動きですが、なかなか簡単には真似できないもの。特に切り返しで地面を踏むのが難しくて、地面からの力を還元できないことが多いんです。クラークの爆発的な飛距離(平均309.2yd)は、このように体を3Dに動かすことで生まれています。

クラークのように常に足を踏めるのはすごいと思います。それは体の強さがあってなせる業で、トレーニングをしっかりしている印象があります。下半身のパワーと同時に上半身も力強い。スイング中は肩甲骨をしっかり背骨のほうに寄せて、スイングアークも大きく作れています。握力も相当強く、昨年の「全米オープン」でもかなり深いラフから寄せていました。クラブスピードは平均123mph(約55m/s)と聞きますから、まさに飛んで曲がらないイメージ。優勝争いしているときは特に曲がらない印象が強いですね。

前回のマキロイもそうですが、フィジカルと技術がほどよく融合された、まさに現代版のアスレチックスイングといえます。かつてはメンタルの弱さがあって、そのポテンシャルを発揮し切れていませんでしたが、すっかり克服して、ことしのペブルビーチでの優勝も圧巻でした。その後の「アーノルド・パーマー招待」、「プレーヤーズ選手権」でいずれも2位。調子のいい状態でオーガスタに乗り込むわけですから、ことしの「マスターズ」も楽しみです。(取材・構成/服部謙二郎)

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