Lesson.6 スイング軸は意識しない!
軸の概念は日本だけ
スイングにおいて、大切なポイントは何か?こういう質問に対して、日本の方は「スイングの軸をキープする」という答えが多くかえってくると思います。しかし、私がゴルフスイングを学んだ米国では、驚くことに、軸という概念を使ったレッスンがないんです。
確かに、スイングにはその中心となる軸があるはずですが、多くの方は軸を保とうとすると、スイングがどんどん乱れていってしまいます。それは、このように体の中心を貫くような軸を保つように意識してしまうからです。そうすると、どんなスイングになってしまうのでしょうか?
膝だけで回転するようになってしまいます
スイング軸を保つように意識すると、頭のてっぺんから、体を貫くような軸を想像し、それを保とうとする体の動きになってしまいます。
具体的には、テークバックで右膝が伸びて、体重が右足に乗らず、むしろ左足側に残り、ダウンスイングでは、逆に左膝が伸びて、腰が引けて、体重は右足に…。ひどくなると、完全に体重移動が逆になってしまいます。
体の中心を貫くような軸を保とうとすると、膝だけでスイングをしようとしてしまうのです。そこで一度、軸のことは忘れて、まず体の正しい回転についてご説明しましょう。
骨格を意識して順番に回転してみましょう
軸を保つ意識はさておき、骨格の回転を意識して、テークバックで体を正しく捻っていきましょう。まずは骨盤です。中井学流のレッスンで、スイングにおいてもっとも重要なのは、軸ではなく、この骨盤の旋回なのです。
まずは、下半身をキープして、できるだけ骨盤を旋回させると、だいたい45度回ります。次に、腰椎10度、胸椎30度、鎖骨・肩甲骨で約5度。トータルで上半身は90度回転します。細かい話になってしまいましたが、このように各骨格が回転すると、腰が45度、胸が45度回る形で体を捻ることができます。そうするとトップでは…。
背中が完全にターゲットに向きます
骨盤が45度旋回し、その上で腰椎、胸椎、鎖骨・肩甲骨の順番で胸が45度回転すると、トップではこのように背中が完全にターゲットに向く形になります。このトップの体勢を保って、写真撮影してもらうのは、はっきり言ってキツいです。骨格の回転に従って、体を目いっぱい捻っているので、とても長時間静止していられないからです。
一方、体の中心に軸のある人は、膝だけで回転して体があまり捻れていないので、トップで静止しても、全然キツくありませんよね…。さて、スイングの軸は実際、どこにあるのでしょうか?
軸は体の中にはありません!
このように骨格を十分に回転させ、体が正しく捻れた状態でスイングすると、スイング軸はどこにくるのでしょか?スイングの回転の中心となる軸は、体を貫くような形ではなく、実は背中の外側になります。
詳しく言えば、このように後頭部から背骨に沿って、体の外側にあるのです。スイングでは、この背中側の軸に沿うように体が回転します。
体を正しく捻じれば軸は自然に生まれます
背中がターゲット方向に向くように、テークバックで正しく骨格を回転させれば、これでトップは完成。腕は、「Lesson.3 クラブは上げて下ろすだけ!?」でお話ししたように、前傾角度とこの体の回転に従って勝手に上がりますよ。
軸は体の外側の背中側にくることになりますが、正しく体を捻った結果生まれるもので、軸をキープしようとしなくても、自然に保たれるものなのです。そして、もっとも重要なポイントは、アドレスでいかに骨格が正しく旋回する体勢を整えるかにあります。次回、詳しくご説明いたします!
Lesson.6 正しい体の回転とは?
バックスイングでは腕を使わず、体の捻転でクラブを上げていきましょう!