自然に球がつかまる“真のインサイドアウト軌道”とは
サイエンスフィットで最終的に重視しているのは、インパクトの瞬間のヘッド挙動です。理想的なインパクトを実現するために、シャフト挙動や体の動きを3次元的にとらえるモーションキャプチャーを用いて、スイングの悪い部分をピンポイントで見つけ、最短で最大の上達効率を目指しています。さて、今回のテーマは、クラブに仕事をさせるための理想的なシャフトの動きです。しっかりと球がつかまり、なおかつ意識的な操作を最小限に抑えるインサイドアウト軌道の整え方をレクチャーしましょう。
今回の受講者は…
「大学時代はゴルフ部で、そのときはストレートボールで飛距離も出ていたんですが、最近はドライバーもアイアンも左に出てそのまま左に落ちていくような弾道…。全然飛ばなくなってしまい、自分ではどのように解決したら良いのかわからなくなってしまいました。右に打ち出したい意識はあるのですが、どうしても左に引っ張ってしまいます」(松岡さん ゴルフ歴12年、平均スコア90台前半)
体の動きを測るモーションキャプチャーのデータは、学生時代からゴルフをしていただけあって、非常に良い結果になっています。左腕の旋回はインパクトでアドレス時の角度にちゃんと戻っていますし、胸の動きや腰の動きもまったく申し分ないものです。ただ、シャフト解析で気になる部分は、テークバックでフェースの開きが大きいこと。そして、弾道が示している通り、アウトサイドイン軌道で左に打ち出してしまうことです。
インサイドアウトでボールを右に打ち出したいのに、それを意識的に行うと、右にプッシュアウトしたり大きなスライスになったりします。松岡さんは頭の中でそれが分かっているので、どうしても体が拒否している状態なのだと思います。さて、真のインサイドアウト軌道とは何なのでしょうか。後方からのプロのスイング映像で説明すると、テークバックのシャフトラインよりも、ダウンスイングのシャフトラインが下を通っています。テークバックよりもダウンスイングの方が、シャフトがやや寝る形になるのです。例外はほとんどありません。
プロと比較すると、松岡さんはテークバックのシャフトラインよりもクラブが立って下りていることが分かりますよね。つまり、これがまさにアウトサイドイン軌道なのです。今のままのテークバックでも、それよりも寝てクラブが下りてくればインサイドアウト軌道になるわけですが、ダウンスイングで意識的に大きく寝かせることはスイングを乱す結果になりがち。意識的にシャローにすることは、あまりオススメできません。