サイエンスフィット レッスン

ハンドファーストは右足で作る “すくい打ち”からの脱却

2023/06/30 11:00
こんなふうに“ハンドファースト”でインパクトするには?

アプローチの距離感がつかめない、番手間の飛距離差が出ない、ダフったり引っかけたりするといった様々なアイアンの悩みは、クラブヘッドがアッパー軌道でインパクトする「すくい打ち」が主な原因となります。これを改善するためにはハンドファーストでダウンブローにインパクトすべきですが、手元を先行させようとしても、なかなかうまくいかないもの。今回は、ロングアイアンで引っかかるという受講者に、ハンドファーストインパクトで打つための基本をレクチャーします。

今回の受講者は…

「5番アイアンに苦手意識があって悩んでいます。もともとはスライスが多かったのですが、インサイドの低い位置からクラブを下ろすように意識していたら強いフックに悩まされるようになりました。また、傾斜地も苦手ですね」(都留さん ゴルフ歴14年、平均スコア90台後半)

スイング解析でアイアンが苦手な原因を究明

インパクトで約10度の過剰なインサイドアウト軌道になっている

アイアンのヘッド挙動のデータでまず気になるのは、インパクトの瞬間の軌道がおよそ10度インサイドアウト、4度アッパーブローになっていることです。ヘッドスピードが遅い場合でも、インサイドアウトの度合いは6度くらいまでが理想。都留さんの場合、ヘッドスピードがかなり速いので、10度のインサイドアウトは大きなミスに直結します。なぜインサイドアウト&アッパーが強くなると引っかけが出てしまうのか、のちほど解説します。

左手首のコックの度合いをグラフ化。プロ(赤線)に対して、都留さんはインパクトに向かって急激にコックが解けていく

さらに、モーションキャプチャーで左手首のコック(親指・小指方向への縦の動き)に注目してみましょう。プロの赤いラインと比べると、トップからインパクトに向かって、コックが急速に解けていき、なおかつ、インパクトでは戻り過ぎています。つまり、インパクトで大きく手元が浮いて、伸び上がらないと打てない状況になっていますね。アイアンのインパクトでは、トップでのコックやヒンジ(手首の手のひら・手の甲方向への横の動き)をできるだけ解かないようにキープして打たないと、ダウンブローにはなりません。

強いインサイドアウト&アッパー軌道では、インパクト付近でフェースが急激に左を向く

さて、どうしてインサイドアウトのアッパーブローでインパクトすると引っかかるのでしょうか。ヘッド軌道に見立てたフラフープと、フェース面の向きがわかる器具を使って説明しましょう。強いインサイドアウト軌道は、インパクトに向かってクラブヘッドがアッパー軌道を描きます(写真左)。さらに、この軌道に沿って進むと、フェース面はインパクト付近で、急激にターンして左方向を向きます(写真右)。これが引っかかる原因です。このメカニズムがピンとこなくても、インサイドアウトが過剰になればアッパーブローになり、アッパーブローが強くなればフェースが左に向く、ということを覚えておきましょう。

ダウンブローで打つためには体のどこを意識すべき?≫
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