上達ヒントの宝箱

【WORLD】クラシックな教えも、やりすぎると悪くなる by キャメロン・マコーミック

2012/01/06 10:30

1 「頭を動かすな」

おそらく、逆効果になりやすいアドバイスのもっとも一般的な例が、「頭を動かすな」というものだろう。クラブを引っ張りあげてトップするゴルファーに対して一般的に言われる言葉だ。問題は、それを考えるあまりテイクバックとフォロースルーに緊張が生まれ、特にインパクト時に悪影響を及ぼすこと。頭を一箇所に固定してしまうと体がターゲットに向かって回転せず、フォロースルー時の腕のスペースが狭くなってしまう。すると、多くのゴルファーはリードする左腕が弱々しく折れ曲がってしまいやすいのだ(写真左)。
それよりも、あごと胸骨と腰を同時にリリースして、両腕が伸びるようにしたほうがよい(写真右)。バックスイング時に頭を固定してもいいが、トップ・オブ・スイングになったらそれは忘れよう。

2 「肩を回せ、腰は回すな」

肩の回転と腰の回転が大きく分離するほど、トルクが大きくなり、ボールは遠くまで飛ぶ。ある意味では正しいが、これはジム・マクリーンが作ったスイング理論「Xファクター」を単純化しすぎた考え方だ。腰の回転を抑えつつ胴体を完全に回せるのは、非常に体の柔らかい一部のゴルファーだけだ。それ以外のほとんどのゴルファーは、がんばっても60~70度くらいまでしか肩を回せない(写真左)。
バックスイングを終わらせないことは、スピードを生む最も大きな力になる。だから腰を自由にして、肩をもっと回そう(写真右)。Xファクターの本当の鍵は、上半身をねじりながら腰でダウンスイングを始めることなのだ。

3 「尻を突き出せ」

これは、前かがみの人や、動けるスタンスになっていない人には有効だ。しかしやり方を間違うと、S字型のポスチャーになり、腰椎が曲がりすぎてしまう(写真左)。このため腰椎が痛んだり、スイング中に骨盤がうまく動かなかったりする可能性がある。骨盤が回らないとスイングがスティープになり、スライスを打つことになる。
ポスチャーをチェックするには、まずスタンスを取り、クラブを背中に当ててみる(写真右)。肩甲骨の間から尾てい骨まで、背骨に沿ってシャフトが当たっていなくてはいけない。シャフトの下で指を動かせるくらいのスペースがあったら、S字型のポスチャーになっているので、それは修正すべきだ。

4 「チップショットのときは脚を動かすな」

チップショットでニーアクションが大きいプレイヤーの場合に、このアドバイスが有効だ。しかし、脚を動かすまいとするあまり、体の他の部分まで固まってしまいがちになる(写真左)。このアドバイスの言うとおり、手と腕だけに頼ってクラブを動かすと、ギクシャクした動きになって、やがてチッップショット時のイップスにつながってしまいやすい。
距離の短いチップショットでも、すべてのショットは上半身と下半身をシンクロさせたダンスのように動かし、下半身がリードするものだと考えよう。最初は腰をわずかに右に回し、その後、左に回して、ヒザとターゲットが向かい合うようにする(写真右)。

PHOTOGRAPHS BY / J.D. CUBAN
米国ゴルフダイジェスト社提携
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■ キャメロン・マコーミック プロフィール

38歳。米国ゴルフダイジェスト誌が選ぶベストヤングティーチャー。ダラスのブルックホローゴルフクラブ所属。