運命を変えた岡本綾子と夫の存在<表純子の半生>
「僕の人生は運がいい」 タケ小山が“自称”世界No.1の解説者になるまで
【前編】タケ小山 屋根裏プロゴルファーのやんちゃな幼少期/前代未聞の渡米/年間50試合をこなす解説者に
テレビ番組の解説やラジオのDJなど、あらゆるメディアを通してゴルフの魅力を伝えているタケ小山(58)。プロゴルファーとは思えない軽快な語り口と、海外で培った豊富な知識に基づくコメントに酔うゴルフファンは多い。そんな彼が、なぜプロを目指し、解説者の道に進んだのか――。八王子で生まれ育ち、単身フロリダに飛んでからの18年間を振り返る。
親の呼び出し常習犯だったやんちゃな幼少期
―幼少期はどんなお子さんでした?
「幼稚園の頃から高校時代まで、常に先生に親が呼び出される問題児でした(笑)。幼稚園では先生にちょっかいを出して注意を受けたり、小学校では『お前もう帰っていいぞ』という先生の言葉を真に受けて、帰宅したら余計に怒られたり。高校では八王子という土地柄か、やんちゃな行為も…。そんな私のことで、母はいつも頭を抱えていたと思います」
―ゴルフを始めたきっかけは?
「始めたのは小学2年生のとき。父親に近所の練習場に連れられたことがきっかけです。珍しがった所属のティーチングプロの方に声をかけられ、基礎を教えていただきました。ただ、あくまでも本業は野球。少年野球の名門である『八王子リトルリーグ』に所属して、ゴルフよりも熱を上げていました」
―プロを目指したのはいつ?
「高校にゴルフ部がなく、練習場で腕を磨いていたときです。当時深夜に放送していた『ビッグイベントゴルフ』を見て、日本と全く異なる海外の風景とスタイリッシュな選手の姿に魅了され、プロになりたいと強く思うようになりました」
人生を変えた金井清一の言葉
―大学進学を決めたのはなぜ?
「高校3年生のとき、プロになりたいと父に相談した際、『大学にも行けないやつがろくな選手にならない』という返事になぜか納得してしまって、大学進学を決めました。今思うと全く説得力のない言葉ですが、それでも当時の自分はそこまで自信がなかったため、ゴルフがダメだったときのことを考えて4年間ぐらい猶予があったほうがいいと思ったんです」
―大学入学後はゴルフ部に?
「ゴルフ部から勧誘を受けたのですが、入部説明会で試合月に50~60万円かかると聞いて、経済的な理由から断念しました。ゴルフ部はあきらめて、“おちゃらけ”サークルのゴルフ同好会に。遊び感覚な部分もありましたが、近所に新設されたアルバイト先のゴルフ練習場では真剣に取り組みました。たまたまそこに金井清一さんのプロショップがあり、週に一度、金井さんのお弟子さんたちと指導を受ける機会を得ることができました」
―金井さんからはどんな指導を?
「練習場の支配人から『この子は球拾いしているので、腕力があって飛びますよ』と紹介してもらうと、金井さんに『その飛距離ならプロになれる』と言われたのです。いやー、その言葉が私の人生を変えました。金井さんといえば、当時ツアーの第一線で活躍しているプロ。そんな憧れの人に褒められたことで、その気になってしまいました(笑)」
前代未聞(?)の所属プロとして渡米
―大学卒業後は?
「大学在学中に、関東ゴルフ練習場連盟のプロ入会テストで合格し、卒業後にはレッスンプロとして『蛇の目スポーツプラザ高尾』に所属しました。その後、大学の同好会の先輩に、『スポーツ振興グループ』というゴルフ場運営会社のご子息がいらして、その先輩を頼りにフロリダにある『グレンリーフリゾート』の所属プロとして渡米することになりました」
―所属プロ…?
「聞き馴染みのない言葉ですよね。コースに所属しながら、プロツアーに挑戦するというスタンスです。要は就職口ということ。プロになるのなら海外で、という希望は捨てていなかったのですが、当時すでに所帯を持っていたこともあり、家計を支えながら挑戦したいという希望を、その先輩にかなえていただきました」
―参戦した海外のミニツアーはどんなところ?
「当時は、マーク・カルカベッキアやクリス・ディマルコらそうそうたるメンバーがしのぎを削っていて、全く稼ぐことができませんでした。当時は米下部ツアーの『ベン・ホーガンツアー』のファイナル(最終戦)を所属コースで行っていたのですが、4日間のトータル優勝スコアが『-16』と、自分の実力では考えられないスコアで出ていて、その差を実感しました」
―解説業を始めたきっかけは?
「渡米して7~8年が経過した頃、NHKのBS放送で解説していた佐渡充高さんから声をかけてもらったことがきっかけです。選手として試合に出ながら、オーランドの『ザ・ゴルフ・チャンネル』で解説業を始めました。左肩の故障を機に専属として入社し、男女・下部ツアーを含めて世界中の試合を担当。多いときは年間50試合以上をこなし、数でいえば世界一、選手のスイングを見た解説者と自負しています」
《後編「43歳からの国内ツアー参戦&大学院生兼ラジオDJに」に続く》
取材協力/八王子カントリークラブ(東京都)
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