「40歳パーカーおじさん」はありorなし? ゴルフウェアでの選び方と注意点
昨年末に20代コラムニストがYouTube上で「40歳近くになってパーカーを着ているおじさんはおかしい」の発言から端を発した“40歳パーカーおじさん”論争。いまやゴルフウェアとしても市民権を得ているパーカー(別名フーディ)だが、ゴルフシーンではあり? それともなし!? 気になった編集部は、弊社ライフスタイルwebマガジン『BRUDER』のスタイリスト・Kim-Chang(きむ・ちゃんぐ)氏に話を聞いた。
人気スタイリストに聞いた! 素敵なパーカーゴルフおじになるには!?
まず、40代以上の男性ゴルファーがパーカーを着ることについては、「そもそも論争の元は、ビジネスの場でおかしいという意見だったので、ゴルフシーンでは関係のない話だと思います」ときっぱり。
問題ないことを前置きしたうえで、「アメリカ西海岸やハワイなど海外ではパーカーでプレーするスタイリングは一般的で、いまや国内でもゴルフの敷居を下げる意味で服装の自由化は必須。動きやすく快適なパーカーは、年齢に関係なく幅広い層で受け入れやすいアイテムです」と、ゴルフアパレルでパーカーはもはや切り離せない存在であることを強調した。
■「カラー」暖色系はちとチャラい! 寒色系が◎
では、パーカー選びで年配者が注意しなければならないポイントはあるのか? Kim-Chang氏は「年齢に応じた色とサイズ選びです」と、2つのポイントを挙げる。
「まず色ですが、派手な色はできるだけ避けたほうが良いかもしれません。赤、オレンジ、黄、ピンクといった暖色系は、元々カジュアル要素の強いパーカーにとってはやや年齢不相応。浮ついた印象が痛々しく見えてしまう危険性が高いです。できるだけ違和感なくさり気なく見せるには、モノクロや落ちついた寒色系が無難。主張の強い大きなブランドロゴやイラストも避けたほうが良さそうです。ロゴ入りを選ぶ場合は、シンプルなワンポイントやフォント使いにとどめておきましょう」
派手な色味はご法度、モノクロが無難。では肌寒い時期には、パーカーのフードを活かして重ね着するゴルファーも多いはず。レイヤードする際の配色での注意点はあるのか?
「重ね着するアウターとの色味の関係性は、少しだけ気にしたいですね。特にプレー以外の場で、白パーカーと紺ジャケットを合わせるのは、ちょっとコントラストが強すぎて決め過ぎの印象を与えてしまうかもしれません。最近、自身でも気に入っている色合わせ術として、ダークなトーン同士が吉。ブラック×ネイビーやグレーといった落ち着いた色味同士を合わせると、より落ち着いた雰囲気で洗練した大人なコーディネートに見受けられます」
■「サイズ」はオーバー気味のほうがイマっぽいけれど…
次にサイズ感。最近ではタウンユースの普段着でもオーバーサイズがトレンドになっているが、ウェアとしてはいかがなものか。Kim-Chang氏の答えは、「体型にフィットしたシルエットが肝心」という。
「オーバーサイズは現在流行で、スタイリングとしては目を引いて格好いいと思います。ですがウェアとしては、プレー中のスイングの支障にもなりかねないため、見栄えとしては適しているとは言えません。体型に合ったフィットサイズを選ぶべきでしょう。ストリートスタイルがまん延している今だからこそ、きちんと見えるウェア選びは、40歳以上ゴルファーの着こなしとして相応しいです」
■ワンランク上の着こなしポイント“T・P・O”
パーカー選びで失敗しそうなポイントを学んだところで、次に、よりオシャレな雰囲気を演出するには良い方法があるのか? ワンランク上のポイントを聞くと、3点の選び方のコツを教えてくれた。
1)タイプ -Type-
1つ目は、パーカーの種類。
「パーカーとひと言でまとめられますが、厳密にはタイプは2種類あり、前開きのボタンやファスナーのない頭から被って着るプルオーバータイプと、ジッパーやファスナーが付いているジップアップタイプがあります。もちろんどちらもアイテムとしてそれぞれメリットはありますが、プレー上で考えるとプルオーバーのほうが腹部のごわつきや重なりが起きにくく、スッキリした印象で適していると思います。スタイリング的にも、ジッパーよりアクティブで若々しく見える効果が期待できます」
2)パンツ -Pants-
2つ目は、パーカーに合わせるパンツ選び。トップスを選んだあとのボトムの合わせ方も重要だ。
「どうしてもフードが付いているパーカーは、カジュアルさが強調されるため、同じようにカジュアルなものを選ぶよりもビシッとしたアイテムのほうが適しています。センタークリース(織り目)が入ったドレス系パンツがおすすめ。トレーナーやスウェット、ジャージ風といったカジュアルなパンツは避けたほうが良さそうです」
3)オンス -Ounce-
3つ目は、生地選び。
「パーカーはフードの見栄えも重要です。生地の厚み次第で型崩れしやすいかどうかが決まります。重ね着に適した薄手のものも重宝しますが、紳士のスポーツであるゴルフの場では、できるだけ崩れにくい厚手のほうが、乱れた姿をイメージしにくくスマートに見え、成熟した雰囲気に映るでしょう。市販のパーカーは9~13オンス(厚さの指標『オンス』または『oz』)が主流ですが、できれば11オンス以上。例えばLAの人気ブランド『LOS ANGELES APPAREL(ロサンゼルス アパレル)』では、14オンスとかなり厚手のものがあるので試してみてほしいです」
結論として、40代以上のゴルファーでも取り沙汰される論争は全く気にする必要はなく、タウンでもコースでも多用していいことが分かった。ただし、購入する際はカラーリングとサイジングに気を付けること。より洗練されたコーディネート例を見たい人は、Kim-Chang氏が手がける『BRUDER』をチェックしよう。(編集部・内田佳)

Kim-Chang(きむ・ちゃんぐ) プロフィール
メンズファッション誌『Safari』のスタイリングを創刊から担う看板スタイリスト。アメカジに精通し、LAを中心とした西海岸スタイルやハリウッドセレブのスタイルに造詣が深い。現在『BRUDER』でもディレクター兼スタイリストとして活躍し、エッジの効いた新たな提案を多くのゴルファーに提案し続けている。