抜くか、抜かぬか…それが問題だ “ゴルフ科学者”デシャンボーが語る新ルールへの戦略
ウェッジかパターか グリーン外からのアプローチの境界線
花道からのシチュエーション あなたはどっち?
グリーン周りで悩む状況のひとつに、アプローチでどのクラブを使うかという問題がある。ウェッジで高さを抑えて転がすべきか、パターでコロコロと寄せるべきか――。判断基準とその最善策を探るべく、ティーチングプロの関浩太郎氏に話をうかがった。
境界線はエッジから5歩(←100切り目標の場合)
―パターを使う判断基準は?
「カラーとその手前の芝の高さにもよりますが、100切り目標の人ならエッジから5歩が境界線だと思います。5歩以上距離があるならウェッジ、5歩以内の場合はパターがおすすめです」
―100切り目標の人以外は?
「90切りを目標にする人なら3歩、80切り目標の人なら1歩と、スコアレベルによって歩数を少なくして良いと思われます」
ウェッジは大きなミスになりやすい
―なぜレベルによって違うの?
「それは、成功と失敗の確率によるからです。100切り目標の人がウェッジで打つと、統計的に10球中2球はピッタリ。2~3球はそこそこ。5~6球はグリーンに乗らない。それに対してパターでは、10球中10球ともそこそこになる。芝の影響で全球ピッタリに寄らないかわりに、大きなミスになる確率が減るわけです」
パターは寄せワンするほど精度は高くない
―パターはピッタリには寄せにくい?
「そうですね。どうしても芝にどれくらい食われるかが不明なため精度は落ちてしまいます。ウェッジの扱いがうまい中上級者の人には、ウェッジのほうがパターよりメリットは大きいと思われます」
下りはパターを選ぶべき状況が多くなる
―状況によって歩数は変わる?
「はい。上り下りで選ぶべきクラブは変わってきます。下りの場合は、芝にボールが食われにくいので、判断基準は1歩ずつ増やして良いですね(パターを持つ時は100切り目標→6歩、90切り目標→4歩、80切り目標→2歩)。逆に上りは一歩ずつ減らすべきです(100切り目標→4歩、90切り目標→2歩、80切り目標→0歩)」
パターで打つ場合、ボール2個分左足寄りに
―パターでの打ち方のコツは?
「パターの場合、ボールを真ん中より2個分左足寄りに置いて打ちます。理由はなるべく芝の影響を受けないように、わざとキャリーを出すためです」
―キャリーを出す?
「はい。パターのロフト角は立った状態より、なるべく寝た状態でボールに当てることで、アッパーブローの軌道になるように打ちます。実際はそれほど高くは上がりませんが、浮き上がることで芝の影響を受けにくくなるからです。境界線の中にボールがある場合は、ぜひこの打ち方で試してみてください」
撮影協力/ロイヤルスターゴルフクラブ、SEKI GOLF CLUB 目黒
関 浩太郎(せき・こうたろう) プロフィール
1974年生まれ、茨城県出身。高校卒業後に渡米し、カリフォルニアプロツアーを転戦。帰国後は有名クラブ職人に弟子入りし、クラフト技術を習得。現在は「SEKI GOLF CLUB目黒」を主宰。分かりやすく明確なティーチング&フィッティングで多くのアマチュアから支持を受ける。
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