本物フェードの打ち方“右わき腹で切り返す”/阿部未悠の「TODOリスト」後編
女子ツアーで売り出し中の阿部未悠。昨シーズン賞金ランキング46位でシードをつかむと、今季は7試合を終えた時点でトップ10に2回入りまさに上り調子。好調の背景には、昨年から行ってきた大幅なスイング改造があった。その中身を本人のレッスンも交えて全2回で紹介。「本物フェードTODOリスト」後編です。
1、2度はアウトイン軌道
―では、今季から目澤コーチに習って変わったことを教えてください
アライメントもそうですし、本当に全部変わりました。バックスイングの上げ方、ダウンスイング、インパクト、フォローも。変わっていないのフィニッシュぐらいじゃないですかね(笑)。昨年に比べて真っすぐ立てるようになって、どちらかというとアウトイン軌道のイメージになりました。
―自己流でやっていた、オープンに構えてカットに打つ状態から、スタンスを真っすぐにして軌道はアウトインのままということですか?
そうですね。若干アウトイン軌道ですかね。トラックマンで測ると、インパクトで1、2度ぐらいアウトイン。その軌道も毎日確認しながら練習できています。初めてコーチ(目澤秀憲氏)についてもらって、スイングをチェックしてもらって、毎日新しいことを学んでいます。新しい感覚が生まれたり、新しくできるようになることが増えたりして、いろんな発見があるのがうれしいです。
―「本物フェード」が身についてきて、戦い方がどう変わってきましたか?
スイングを変えて、タテ距離が良くなった気がしています。ヘッドの入りが今までと違うので、アイアンの距離感が出てきました。今まではずっとヒール側でヒットしてフェード回転の球を打っていただけなんです。今はちゃんと芯に当たるフェードが打てるようになった変化は大きい。ヒールヒットでは、ライによっては打てなかったりするケースもありましたからね。
―そのフェードの打ち方、具体的に教えてもらっていいですか?アドレスからバックスイングで変わったことは
ターゲットに対して胸も腰も足も真っすぐ立つように構えます。バックスイングでは手を回さないようにクラブを上げるようにしています。
―手を回さないとは?
腕を外旋させないということ。どちらかというとシャットに上げるイメージで右腕を外旋させない。今までは右腕を外旋させて、手を回すようにしてインにクラブを上げていました。そしてそのままインからシャロー(低い位置)っぽく下ろしていました。
―ループ軌道(円を描く)のような形ですか?
そうそう、そんなイメージでした。もともとドローヒッターなので、インから入れるのは得意なんです。ですから今はシャットに上げて、インに下ろさないようにするイメージで、上げる軌道と下ろす軌道は同じところを通すようにしています。
―バックスイングで他に意識していることは?
体が反らないように注意しています。今まではどうしても上体が反ったようなトップになりやすかった。そうならないために意識してバックスイングで右に乗るようにしています。右に乗れないから体を反ることで捻転を作ろうとしていた。前のスイングの名残りで、自分が思っているよりもバックスイングのときに重心が真ん中にいすぎちゃうんです。今はしっかりと右サイドに乗ったトップが作れていて、反りも収まっていると思います。
ダウンスイング編「右わき腹で切り返す」
―アドレスからバックスイングまでは分かりましたが、切り返し以降の「TODOリスト」は?
切り返しは「右わき腹」を意識しています。右わき腹をアドレスの位置に戻す。
―わき腹ですか?下半身でなくて?
そうです。右のわき腹に力を込めて、そこに意識を持ったまま切り返す。そうすると懐ができるんです。懐がないと、手を下ろす場所がなくなって、手元が浮いてフェースが開いたり、詰まってカットに入りすぎたりになるので。でもインからも入れないようにもしたいので、そこは注意しながらやっています。
―ダウンスイング以降は?
そこまで(ハーフウェイダウン)きちゃえば、あとはここから手を使わなければOKです。手を使うとコントロールはできないので、あくまでハーフウェイダウンまでに形を作って、あとはフィニッシュまで振り切る。
―ほかに注意していることはありますか?
頭や胸を残し過ぎないことですね。頭を残すと逆に懐がなくなってしまうケースが多い。ハーフウェイダウンまで来たら、体の回転とともに目標を向いていくぐらいの気持ちでいいと思います。
―新スイングがだいぶ形になってきている様子ですね
真っすぐ立つ、右腕を外旋させない、体を反らない、右に乗る、懐を頑張って作るなど、私の中でいろんな「TODOリスト」があって、これを減らしていって勝手にできるようにしていきたいんです。でも今の時点(2月)で割と形にはなってきているので、去年みたいにガチャガチャにならないと思います。ショートゲームの練習もしているし、実力がひとつ上がればいいかなと。試合の緊張感の中で新しいスイングにトライするのが楽しみです。
本物フェードへの道のりはまだ道半ばだが、2年目のフルシーズンでスイングの手ごたえはつかんでいる様子。阿部未悠の見据える先は明るい。(取材・構成/服部謙二郎)
協力/UMKカントリークラブ