世界で勝つゴルファーを育てる。進化を続ける「JGAナショナルチーム」の現在地
技術による先進と、挑戦を続ける姿勢――アウディ ジャパンと日本ゴルフ協会(JGA)がパートナーシップを結んでいる背景には、両者に通じる考え方がある。アマチュアゴルフ日本代表「JGAナショナルチーム」の強化・サポート体制は、その理念を体現する取り組みのひとつだ。アウディが目を向けるのは、現在のトッププレーヤーだけではない。世界を目指す若い選手たちが、挑戦の中で悔しさを知り、それを成長の力に変えながら進化していく。そんな一人ひとりの可能性を広げ、世界へ挑戦するための環境を整えることも、アウディが注力するテーマだ。これまでにメジャーチャンピオンを含む数多くのトッププレーヤーを育て、今も新たな才能に飛躍のきっかけを与え続けるJGAナショナルチーム。そこで生まれる挑戦と成長、そして次の世代へとつながっていく進化の現在地に迫る。
転機となった2014年、世界基準への改革
1984年の「世界アマチュアチーム選手権」で日本男子が初優勝を果たしたことを機に発足したJGAナショナルチーム。その歩みに大きな転機が訪れたのは、30年後の2014年、軽井沢で行われた世界アマだった。52年ぶりの自国開催に向けて準備を重ねたものの、世界との差を痛感する結果に終わった。この経験が強化方針を見直す契機となった。翌2015年には、海外から初めてヘッドコーチとしてガレス・ジョーンズ氏を招聘。専門コーチによるフィジカルトレーニング、最新の計測機器を用いたデータの活用とあわせ、強化プログラムは世界基準へと引き上げられた。
JGAナショナルチームの強化方針は、その一歩手前に位置づけられる全国8地区の強化選手にも貫かれている。こうした一貫した強化体制は、アマチュア競技全体のレベル向上につながると同時に、新たにJGAナショナルチーム入りした選手がスムーズにステップアップできるという効果もある。毎年、何人かがプロの世界に羽ばたき、メンバーが入れ替わっても、JGAナショナルチームが高いレベルで活動を続けられるのは、こうした育成の循環があってこそと言えるだろう。一人が巣立てば、また新たな才能が加わる。先輩が切り拓いた道を、次の世代がさらに広げていく。可能性を持つ選手が挑み続けられる環境を整える。アウディがJGAとのパートナーシップでナショナルチームを支援する理由も、こうした育成の考え方にある。
テクノロジーをどう生かすか
近年は多くの日本人女子選手がLPGAで活躍し、メジャータイトルも獲得。PGAツアーでプレーする日本人男子選手も増加するなど、JGAナショナルチームの活動の積み重ねが、その後の結果にも現れている。しかし、決してこれが完成形ではない。2025年からヘッドコーチを務めるクレイグ・ビショップ氏は、データやテクノロジーの活用にはまだ改善の余地があると話す。
「5年前はコーチだけがテクノロジーを持っていましたが、今は若い世代も日常的に弾道解析などを使用しています。テクノロジーを使って、どう効果的な練習を組んでいくか、改善すべき点があると思っていますし、AIの発展をどうやって自分たちに有効なものにしていくかは常に意識しています」
データは、選手を評価するためだけにあるのではない。一打ごとの選択や成果を振り返ることが、次の一打を変えていく。新しい技術をどう生かし、次の進化につなげるのか。そこにはアウディが掲げる「Vorsprung durch Technik(技術による先進)」と重なる考え方がある。テクノロジーが切り拓くのは、まだ見ぬ可能性への挑戦だ。
自国開催のアジア競技大会へ
アウディは、JGAナショナルチームの取り組みをドキュメンタリー動画シリーズとして制作・配信
ビショップコーチ率いるJGAナショナルチームはこの秋、自国開催の「アジア競技大会」に臨んだ。各国とも代表は3人。個人戦と団体戦が同時進行で行われ、団体戦は2人のスコアが採用される。日本は今大会で初めてプロを派遣し、男子はJGAナショナルチームOBの比嘉一貴と中島啓太、アリゾナ大学2年の本大志を加えたプロアマ混成チームを結成。一方、日本女子は長澤愛羅、新地真美夏、後藤あいとアマチュア3人の構成となった。
プロの参加は勢力図を大きく変える可能性を秘めている。大会前、ビショップコーチはこう見通しを語っていた。「どれだけ多く世界のレベルで戦っているプロを集められるかが勝負という一面もあると思います。PGAツアーやLPGAでプレーする選手が入れば、どの国も強豪になるということです。日本の女子はJGAナショナルチームのアマチュア3人ですが、彼女たちのパフォーマンスを見ていると、しっかり自分のプレーができれば、離されることなく、いい勝負ができるんじゃないかと思っています」。これまで積み重ねてきた力を発揮すると同時に、男子の本にとってはチームメートとなったプロから学ぶ貴重な機会に。女子の3人にとっては世界のトッププレーヤーに挑む舞台となった。
力を発揮するためにはコース外の環境整備も欠かせない。開幕前、ビショップコーチはこうも話していた。「アジア競技大会ということで、ある意味で過剰な注目を集めることもあるでしょう。そのなかで選手のみんな、チームのみんながリラックスして過ごせるような環境を作ることができれば、いい1週間を過ごせるんじゃないかと思っています」試合に臨む選手の心を支えるのは、練習で積み上げた自信だけではない。仲間やコーチとともに過ごした時間も、大きな力になる。
日の丸を背負う、それぞれの思い
大会前、選手たちはそれぞれの思いを胸にしていた。2023年の中国・杭州アジア競技大会に続いて2度目の出場となる新地は、自身の役割についてこう語った。「前回のアジア大会が終わってから、自分が引っ張っていける存在になりたいという気持ちが強くなりました。前回と同じように、迷惑をかけたくないという気持ちはあるんですけど、引っ張っていけたらなと思っています」。前回は女子チーム最年少だったが、今回は長澤とともに年長者となった。かつて背中を追った選手が、今度は誰かの前を歩く。代表チームの経験は、こうして受け継がれていく。
世界で得た課題を成長の力に変えてきた一人が長澤だ。2026年の「日本女子アマ」で優勝。国内ツアーでもプレーオフに残り、アマチュア優勝に迫る活躍を見せた。「ナショナルチームで海外の選手と試合をして、飛距離不足を感じていました。昨年のプロテストを終えてからトレーニングを見直して、少しですけど飛距離が伸びたことが結果に繋がっているんじゃないかと思います」。今年の活躍からエースとして期待された長澤は大会前、「日本代表としての試合なのでそういう自覚を持って、集中してプレーしたいと思っています」と力強く語っていた。
世界を知るたび、自分の武器をさらに磨く目標が見えてくる。高校3年生の後藤はプロを含めても国内トップクラスの飛距離を誇る。しかし、本人は世界との差を実感している。「海外の試合に出ると、自分が組の中で一番飛ばないなんてことも全然あるので、飛距離も足りてないですし、ショット力もまだまだだなと思っています」。JGAナショナルチームのメンバーとして海外でプレーすることが新たな刺激になっている。アジア競技大会後にはプロテストが控えており、アマチュア最後の大一番を前に「いい結果を出して、次につなげたいです」と意気込んでいた。
世界のトッププロと同じチームで戦う機会も、成長への大きな刺激となる。男子チームで唯一のアマチュアとなった本は今年の「全米アマ」でベスト32という結果を残した。「ビショップコーチに帯同してもらったんですけど、知識がすごいのでいろんなことを教わっています。私はデータの使い方が苦手なので、基本から教えてもらっています」。アメリカでの恵まれた練習環境とJGAナショナルチームの強化プログラムに支えられ、今まさに伸び盛りのプレーヤーだ。アジア競技大会前には「トッププロ2人とチームでプレーすることは貴重な経験になると思うので、学べることは学んで、盗めるものは盗んでいきたいと思います。ただ、試合になったら自分が引っ張るぐらいの気持ちでやりたいですね」と話していた。自らがチームを動かす存在になるという意思に、次代を担う選手の頼もしさがにじむ。
経験とデータを次の世代へ
迎えた本番。男子は比嘉が個人戦で銀メダルを獲得し、団体戦でも銅メダルを手にした。女子は団体9位とメダルには届かなかった。本は個人31位タイ、長澤は9位タイ、後藤は19位タイ、新地は25位タイ。アマチュアの4人にとっては喜びも悔しさも入り交じる4日間だった。会心のショットから得た自信も、理想に届かなかった一打から得た課題も、仲間から受け取った言葉もある。その一つひとつが、次の挑戦を支える確かな力になっていく。
JGAナショナルチームでは2015年から同じアプリを使い、選手たちのプレーをデータとして管理している。各選手が自身のプレーを分析するだけでなく、チーム全体の財産として蓄積され、次の強化へと生かされている。一打ごとの決断を数字で振り返ることで、自分の成長を確かめ、次に進むためのヒントが見えてくる。今大会で得た経験もまた、データとともにチームへ蓄積され、次世代の育成へと受け継がれていく。
一人の悔しさが、次の一人の道しるべになる。乗り越えた壁が、後輩の新しいスタートラインになる。世界との差を知った2014年から、JGAナショナルチームは育成の仕組みを磨き、選手たちは幾度も世界に挑んできた。挑戦を重ねるたびに、悔しさは成長へ、そして世界で戦う確かな自信へと変わっていく。メンバーが巣立っても、その経験と自信はチームに受け継がれていく。だから、この物語に終わりはない。現状に満足せず、次の可能性を求める。その姿勢に共鳴し、JGAナショナルチームの挑戦を支えるのがアウディだ。「技術による先進」が照らすのは、技術そのものの進化ではなく、その先で若い選手たちがつかむ未来だ。悔しさを力に、自信を胸に。未来を切り拓く次の一打へ、挑戦は続いていく。
写真提供:日本ゴルフ協会



















