“高嶺の花”だけではない 高価格モデルを送り出す狙いとは
ゴルフクラブには、素材や製法にこだわり抜いて作られた高価格のモデルが存在する。なかには通常の市販品よりもはるかに高額な設定もあり、魅力的だけれど手を出せない…といったゴルファーは少なくないだろう。
キャロウェイゴルフは近年、そんなハイエンドモデルを数量限定で販売しているメーカーのひとつ。同社の茂貫太郎(もぬき・たろう、敬称略、以下同)アジアプロダクトマネジメント シニアマネージャーに、コストを度外視したクラブ開発の戦略について聞いた。
高価格帯シリーズに追加された破格モデル
同社が2018年から展開するオデッセイ「トゥーロン パター」は、ステンレススチールを削り出して作られる1本あたり6万円超の高価格帯シリーズ。そのなかでも、最高峰のクリエイティビティを詰め込んだ数量限定モデルがオデッセイ「トゥーロン SMALL BATCH(スモールバッチ)」だ。1本あたり20万円前後の価格で、日本では21年10月から定期的な販売を開始した。
スモールバッチとは「ごく少量」を意味しており、その名の通りモデルごとに世界で100本程度しか生産されていない。一部モデルの素材には、高強度で腐食に強い「904Lステンレススチール」を採用。高級腕時計の外装や宇宙産業、医療用メスにも使われる硬さゆえに、溶接をせずにパターの形に削り出すには多くの時間とコストがかかる。
もちろん、それだけ手間をかけることに見合う希少な特性を秘めている。通常ラインの同シリーズに採用されている「303ステンレススチール」に比べて、茂貫は「重厚感のあるフィーリングで、ちょうどいい金属音」と表現。ミーリング加工を施すと光沢感が出て、「コースでは太陽光が反射して虹色の宝石のような輝きを放つ」のだという。
通常は用いないような素材によってオンリーワンの性能や美観を備え、所有感も満たしてくれるクラブを求める。そんなこだわりの強いゴルファーの要望に応えることは目的のひとつではあるが、このハイエンドモデルには別の重要な使命がある。