ザンダー・シャウフェレも驚き バーチャル没入体感のファンイベント舞台裏
世界のトップで活躍するメジャーチャンピオン、ザンダー・シャウフェレが10月末、ウェア契約を結ぶデサントのイベント「Xander Schauffele Fan Event 2024 Presented by DESCENTE」でファンと交流した。ただの催しではない。6カ月以上かけて実現した、リアルとオンラインを融合した企画で、同社としては初の試みだった。最先端技術を駆使した現場に潜入。シャウフェレは何を語ったのか。その舞台裏にも迫った。
グローバルでブランドメッセージを発信
ステージ前には大型LEDビジョン、赤や緑など色彩鮮やかな照明と音楽が会場を包み込み、ライブハウスさながらの雰囲気が気分を高揚させる-。場所は東京・用賀「GMOグローバルスタジオ」。2024年3月にオープンした、リアルとオンラインのハイブリッドスペースだ。
イベントの企画設計から立案、運営に携わった一人、デサントジャパン・グローバル マーケティング部ディレクション課の岡田育朗主事は、「通信面で強みがあり、グローバル配信の実績もある」という同スタジオに、「日本だけではなくグローバルでブランドメッセージを発信できる。CG技術を駆使することができ、普段見たことのない演出や画を創造できると見込んだ」と言い、期待を寄せた会場だった。
シャウフェレにとって縁の深い日本への思い
イベントの主役であるシャウフェレは2024年、デサントのウェアを着用して「全米プロゴルフ選手権」、「全英オープン」とメジャー2勝を挙げるなど躍動した。そして10月、日本で唯一のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」の8日前に来日した。
大阪、京都、さらに祖父母が暮らす東京を訪れた。大阪ではデサントのスポーツアパレルの研究開発拠点「DISC」にも足を運び、「デサントがどれだけモノづくりにこだわりを持っているかを体感してもらいました」(岡田氏)という。
ZOZOを終えた翌日のこの日のイベント。シャウフェレは囲み取材で、「道頓堀ではお好み焼きやタコ焼きを食べるなど観光。京都では妻と神社に行ったり、毎日温泉に入ったりしてリラックスした。東京では祖父母と一緒に夕食も。(全英優勝トロフィーの)クラレットジャグを持ってもらうサプライズ体験もしてもらったよ」と日本滞在生活を笑顔で明かした。
バーチャル空間の出現「新しい体験」
イベントにリアルで集まったのは日本の77人をはじめ、韓国、中国のファンら合わせて140人。オンライン視聴者は日本約100人、韓国約300人にのぼった。ファンや関係者の拍手喝采を受けて登場したシャウフェレはまず、デサントのウェアについて「好きなのはパフォーマンスの高さ。クリーンなルックス、フィット感もとても気に入っている」と感謝を示すと、本人も「新しい体験」と驚くプログラムは始まった。
大型スクリーンとステージに映し出されたのは、メジャー優勝を果たした舞台のゴルフコース。バーチャル空間の出現である。企画したデサントによると、日本では選手と間近に触れ合い、オンラインでは仮想現実による没入感を体感してもらうという、とっておきの仕掛け。巨大スケールのゴルフコースCGと実際のプレー映像を合成した大画面を前に、当時の状況を1打1打、本人に解説してもらうという、ファンにとっては贅沢な時間と空間だった。
全米プロの会場となったバルハラゴルフクラブが映し出されると「18番ホールを思い出したよ」とニヤリ。メジャー初優勝を決めたバーディパットは「周りは静かだったが、手が震えていた。全生活をかけて、やるしかないと思った」と吐露し、「多くのトーナメントで負けたこともあったが、そのたびにプレーを強化。いろいろな経験をして、より強くなっていると思う」と回顧した。
全英の舞台、ロイヤルトゥルーンは最終日のカギとなったシーンと最終18番の振り返り。「生まれ育ったのがサンディエゴ。スコットランドの雨風という、まったく環境の違うところで勝つことができた。メジャー2勝目は1勝目ほどナーバスにはならなかったが、2勝は誰にでもできるわけではない」とシャウフェレ。
「それにしてもユニークなイベント。試合でもこんなに近くにコースを見られるなら簡単なのに。バーチャルだからリラックスできるよ」と、初めて経験したバーチャル空間にご満悦だった。