ツアー初Vからの全英出場 平田憲聖がこだわる1Wのシャフトとその理由とは
■苦手コースを克服して自信に
「正直、開催コースの瀬戸内海のようにフラットで広いコースは苦手なんですよね」。大阪で生まれ育った平田にしてみれば、アップダウンがあり、林でセパレートされているコースの方が馴染み深い。少しでもショットを曲げたらOBになるという緊張感が集中力を生んでくれた。そういったコースなら目印になる目標を見つけやすいが、瀬戸内海GCはそれが困難だった。
「この辺にボールを落とそうとか漠然とした目標ではなく、“ココ”にボールを落とすんだ、というように明確なターゲットをつくりました」。狙ったところへボールを落とせるようになった決勝ラウンドだけで11アンダーをマークできたのも、いいライからグリーンを狙えたのが大きかった。
最終的に、17アンダーまでスコアを伸ばし、中島啓太をプレーオフで下してのツアー初優勝。苦手なコースで同学年の中島や蝉川だけでなく、金谷拓実らと争っての勝利は大きな自信になった。
■手元でしなりを感じないシャフトがいい
今のところ、海外ツアーへの興味はないという平田だが、初のメジャー挑戦となった全英オープン出場では、自分なりに何が通用して何が足りなかったのかを感じ取ることができた。ゴルフに対してストイックなだけに、メジャーで得たものを着実に国内ツアーへフィードバックするつもり。
全英オープンではティショットを左右だけでなく、風向きによって高低も打ち分けたが、その際にシャフトが果たす役割は大きい。平田の場合、シャフトに対するこだわりのひとつとして、手元のしなり具合がある。「手元でしなりを感じるのは好きじゃないですね」。VENTUS BLUEだと手元にしなりを感じるが、VENTUS TR BLUEにはそれを感じなかった。
フジクラによれば、ダウンスイングへの移行中にシャフトの中間部から手元にかけて大きな負荷がかかるが、それを防ぐために強固で軽量な独自開発の開繊クロス材を採用しているという。VENTUS BLUEよりも手元に硬さを感じられることが、VENTUS TR BLUEを選択した大きな理由でもある。
「VENTUS TR BLACKは自分としてはしなりを感じられないぐらい硬いので、ボールがつかまらないんですよ。VENTUS TR BLUEがちょうどいい硬さですね」。さらに、VENTUS TR BLUEの中でも60グラム台を選んだのは軽めのシャフトが好きだからだという。
■球筋やボールのつかまり具合を見て判断すべき
ツアープロによっては頻繁にシャフトを交換する選手もいるが、平田はシーズン中だけでなく、シーズンオフでもほとんど替えることはないだけに、ドライバーのシャフトは当分の間、VENTUS TR BLUE(6X)に落ち着きそうだ。長い時間をかけてヘッドに合うシャフトをテストしてきたのだから、それも自然な流れだろう。
VENTUS TRを試打した際、BLUEより軟らかく感じるREDもきちんと試している。長さだけでなく、いろんなタイプを試すことは大切であり、それはアベレージゴルファーにも言えることだと指摘する。
「最近の純正シャフトは良いものが多いですが、自分に合ったシャフトを探すことも大切です。球筋やボールのつかまり具合など納得のいくシャフトを使ってほしいですね」。試打会があれば、積極的に参加してもいいだろう。ワンランク上のゴルフを目指すなら、スイングを変えるよりも意外と近道かもしれない。
平田憲聖(ひらた・けんせい)
2000年11月26日生まれ。大阪府出身。大阪学院大3年時の2021年「日本学生」で優勝。同世代ではいち早く大学生プロに。同年ファイナルQT2位で22年ツアールーキーとしてプレーし、初シード獲得。23年「ミズノオープン」で待望の優勝を果たし、7月「全英オープン」でメジャー初出場。
協力・江坂ゴルフセンター(大阪府吹田市)