ロングドライブが“ご褒美”になる快足ワゴン アウディ「A6アバントe-tron」/クルマはゴルフギアである #12
市販車だけでなくモータースポーツの仕事にも携わる類まれなクルマ好きの安東弘樹氏に、大人ゴルファーの“持ち物”としてのクルマ選びを提案いただく本連載。車体価格や維持費だけでなく、所有し使うことでオーナーが豊かになれるクルマが選出条件だ。今回は、アウディの「A6アバントe-tron」にフォーカス!(構成/編集部・中島俊介)
とにもかくにも素晴らしい走り
A6アバントe-tronはアウディのBEVステーションワゴンです。ゴルファーの皆さまにこのクルマを推したい理由は、とにもかくにも静かでスムーズな走りを味わわせてくれるという一言に尽きます。エンジン電気問わず多くの新車に試乗している私ですが、走りが抜群に良いと感じました。余計な振動やノイズが抑え込まれ、ゆったり流しても、交通をリードするような場面でも、痛痒を全く感じさせません。
A6はアウディのラインアップの中でも上級クラスに位置し、車体はやや大柄ですが、それが高速巡行に効いていると感じます。長いホイールベースはキビキビしたハンドリングよりも直進安定性を生み、バッテリーを床下に積む電気自動車ならではの低重心設計によってどんな速度域でも車体を路面に張り付けるような安定感があるのです。本国のアウトバーン(速度無制限区間もあるドイツの高速道路)で、無敵を誇ると言っても決して過言ではありません。
アウディには珍しい後輪駆動方式
アウディは「クワトロ」と呼ぶ四輪駆動システムを技術の核心としてきました。モデルによって方式は異なりますが、四輪駆動のもたらす安定感や悪路走破性を他社との差別化に用いてきたのです。エンジン車しかなかったころ、同社の上級モデルやハイパフォーマンスモデルのほとんどが四輪駆動を採用していました。しかしこのA6アバントe-tronは後輪駆動を採用しています。ツインモーターによる四輪駆動モデルもラインアップされていますが、A6を冠するモデルで二輪駆動が採用されたことは異例と言えます。
なぜ、クワトロの安定感を標榜してきたアウディが、高額なステーションワゴンに後輪駆動を採用したのか。明確な答えを持っているわけではないのですが、クワトロで得られる安定感やトラクション、アウディが上級モデルに求める走行感覚が、電気自動車であれば後輪駆動でも十分達成できたからではないかと私は思っています。前述した低重心設計のおかげで走行安定性が極めて高く、乗員に快適な移動空間を提供できる自負があるはずです。
資金に余裕があればA6アバントe-tronクワトロや、上位モデルS6アバントe-tronのほうがさらに高い安定性や加速性能を味わえることは間違いありません。しかし、後輪駆動モデルで十分過ぎると私は思います。アウディが電気自動車を作り始めて第二世代に当たるのですが、航続距離が大きく伸びたこともトピックです。カタログ値で約750kmなので、実用上500kmは走れるでしょう。ゴルフコースを往復するには十分だと思います。
ニッチな“ワゴン”というチョイス
また、このステーションワゴンが日本市場においてちょっとニッチなモデルであるところも面白いでしょう。アウディは伝統的にステーションワゴンを「アバント」(仏語で前に、先に、などの意)と呼び、先進的なデザインを与えた車型であるとアピールしてきました。しかしSUVの台頭によって数を減らし、今では極めてマニアックな選択肢であるとも言えます。仲間の多くがSUVに乗っているところ、ステーションワゴン「アバント」でセンスを見せる。そんなモノ選びがあってもいいと思います。
<SPECIFICATION>
A6アバントe-tronパフォーマンス
●全長×全幅×全高:4,930mm×1,925mm×1,530mm
●乗車定員:5名
●車両重量:2,230kg
●駆動方式:RWD
●航続距離:750km ※WLTC
●原動機:ECC
-最高出力:270kW/4,600-10,700rpm
-最大トルク:565Nm/0-4,500rpm
●総電:662V
●総電力量:100kWh
●車両本体価格:10,220,000円~
イラスト:酒井恵理
写真:尾形和美
取材協力:米原ゴルフ倶楽部
安東弘樹(あんどう ひろき) プロフィール
元TBSアナウンサーにして大のクルマ好き、いや“クルマ狂”。50台ほどのクルマを乗り継ぎ、TBS勤務時代から自動車ローンが途切れたことがないという。独自の視点から切り込む自動車関連のコラムを各種媒体で連載中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員で日本自動車ジャーナリスト協会会員。