トレンドは「高慣性モーメント」 曲がりにくさでドライバーを選ぶポイント
ドライバーのトレンドは「高慣性モーメント」
【ミヤG】
前回、2020年上半期の飛ばせるドライバーTOP3を発表したところ、読者から大きな反響がありました。そこで今回は、ドライバーの「曲がりにくさ」について考えてみたいと思います。2020年モデルのトレンドともいえるのが、ヘッドの「高慣性モーメント化」ですよね。海外メーカーのみならず、国内メーカーでもそこをアピールしているモデルが増えました。
【ツルさん】
高慣性モーメント設計のいちばんのメリットは、芯を外してヒットしたときのヘッドのブレにくさです。大ざっぱに言うと、打点がズレてもヘッドがボールに当たり負けしないから、ボールをまっすぐ飛ばしやすいんです。僕はいろんなドライバーを試打していますが、やはり高慣性モーメントをアピールしているモデルには直進性の高さを感じます。一発打っただけでは判断できないかも知れませんが、10球くらい打って曲がり幅の平均値を計測すれば、おそらく誰もが曲がり幅の少なさを実感できるはずです。
軽量で振りやすく、つかまりのいいモデルも
【ミヤG】
ちょっと前まで、僕は高慣性モーメントのドライバーが苦手だったんですよ。ダウンスイングでヘッドがモタついて、自分が思ったところにヘッドを戻せないような感覚があったからです。けれど、今はそうでもないんですよね。最新のドライバーは、振りやすさも考慮して開発されているんでしょうか?
【ツルさん】
ミヤGの場合は、この企画で高慣性モーメントの最新ドライバーをたくさん試打しているので、そういう現代的なドライバーの振り心地に慣れてしまったとも考えられます。とはいえ、昔と比べると最新の高慣性モーメントドライバーは確実に振りやすくなってきていますよ。とくに国内メーカーが作り出しているモデルがそうです。例を挙げると、プロギア「NEW egg 5500」、ヤマハ「RMX 220」、グローブライド「オノフ 赤 RD5900」などは、どれも軽量設計で振りやすく作られています。これまでの高慣性モーメントドライバーより、球のつかまりがいいのも特徴ですね。
【ミヤG】
これらのモデルは右にプッシュすることなく、僕も持ち球のドローが打ちやすかったです。アマチュアゴルファーの平均的なヘッドスピードでも振り切りやすく、なおかつ直線的に打っていける“新たな時代のやさしく飛ばせるドライバー”と言えそうです。
ヘッド性能を生かすにはシャフト選びが超重要
【ミヤG】
話は少し変わりますが、僕がこの「新製品レポート」を担当していて痛感したのがシャフトの重要性です。そもそもシャフトが自分のスイングに合っていないと、どうやっても芯に当たらないし、方向性も定まりません。
【ツルさん】
ミヤGの言うとおりですね。いくらヘッドが高慣性モーメント設計でオフセンターヒットに強くても、そもそも芯に当てにくいシャフトだと全然やさしくないです(笑)。そういう意味でも、シャフトのチョイスはとても大切。自分が気持ちよく振ったときに、フェースの中央で球をとらえやすいかどうかを最初にチェックしてほしいです。
【ミヤG】
カスタムシャフトを選択するゴルファーも多いですが、メーカーで標準採用されている純正シャフトのほうが意外と自分に合っている可能性もあると思います。最近の純正シャフトは、かなり性能がいいです。
【ツルさん】
純正がいいか、カスタムがいいかは、一概には言えないですよね。個々のゴルファーのスイングタイプによって相性のいいシャフトは変わってくるので、こればかりは当人が打ってみないと判断できません。たまにヘッドとシャフトの相性を気にする人もいるのですが、それよりも自分とシャフトとの相性を気にするべきです。どんなシャフトを装着しても、ヘッドは高性能なままで変わりません。ヘッド性能を生かすも殺すも、自分とシャフトの相性次第です。
【ミヤG】
高慣性モーメントのヘッドには、先端側の剛性が高いシャフトがいいと聞いたことがあります。それって、どうなんでしょうか?
【ツルさん】
それは本当の話だと思いますが、使い手であるゴルファーはあまり気にしなくていいと思いますよ。そういうヘッドには、ちゃんとメーカー側が先端剛性の高いシャフトを標準採用してくれています。もちろん、最新のカスタムシャフトもそういう設計で作られています。僕が試打していても、先端側が軟らかすぎるように感じるシャフトの最新ドライバーはなかったですね。
■ ミヤG プロフィール
1973年生まれ。ゴルフ歴20年。GDO編集部のシステム関連を担当。もともとはスライサーだったが、最近はドライバーもアイアンも強めのドローが持ち球。見た目がいい最新ギアが大好きで、現在はテーラーメイドのドライバーと、ミズノのフォージドアイアンを愛用中。ヘッドスピードは42~43m/sくらい。
■ ツルさん プロフィール
1974年生まれ。シングルの腕前を持ち、ギア関連の記事を多く手掛けるゴルフライター。メーカーの新製品発表会には必ず出向き、日々ゴルフの最新情報を収集している。生活すべてがゴルフ漬けだとか。ヘッドスピードは46m/sぐらい。持ち球は中・高弾道のドロー。