新製品レポート

「ゼクシオ13」「T350」と比べてどう? テーラーメイド「Qi アイアン」

2024/02/19 07:00
飛距離性能に加え、高い寛容性と使い易さを実現した「Qiアイアン」

高慣性モーメントで話題のテーラーメイド「Qi10」シリーズは、ウッドのみならずアイアンもラインアップ。「Qiアイアン」は従来のキャビティ構造と中空構造モデルのいいとこどりをした、いわゆる“飛び系”アイアンだ。ギア知識が豊富なミタさん、アスリートゴルファーのヨシダくん(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が実際に手に取り、マッチするプレーヤーを探った。

ステルス→Qiへ 飛距離と直進性アップを目指す

前作「ステルス アイアン」(左)と「Qi アイアン」(右)。フェースのサイズを大きくすることでスイートエリアが拡大

【ミタさん】
Qi アイアン」は2022年発売の「ステルス アイアン」の後継モデルです。「Qi10 MAX ドライバー」が実現した縦横の慣性モーメントの合計値10K(1万g・cm2)を示す「10」は、製品名に付かないのであしからず。とはいえ、やさしさを追求するコンセプトは変わらず、飛距離と直進性アップを目指しました。

ブレードが厚めになり、少し丸みを帯びた形状へ。ボールを包み込むようなやさしい見た目

【シオさん】
確かに飛び系アイアンらしい、やさしい見た目に仕上がっています。グースが利いていて、フェース長も十分にあり、トップラインも厚め。ヒールからトウにかけた立ち上がり方をはじめ、アドレスした時の景色は全体的にダンロップの最新モデル「ゼクシオ 13 アイアン」を構えたときに似ています。形状は前作ステルスとさほど変わりがないような?

【ミタさん】
ヘッド全体の色合いには変化があります。4番から9番までは(ステルス アイアンは5番から8番)ステルスと同じ「ステンレススチール450SS」を素材にしていますが、前作に比べてわずかに白っぽくシルバー色が鮮明になり、面構えが精悍になったように感じます。PWからSWは「431SS」というステンレススチールですが、違和感はありません(ステルスは9番からAWの素材は17-4SS、SWは431SS)。

「どこで打っても打感が変わらず、飛距離の変化も少ない」と語る、ヨシダくん

【ヨシダくん】
うーん…僕にはやっぱり“顔”が大きすぎて、普段使っているクラブ(ピン ブループリント アイアン)とは別物に見えます。もちろん、アドレスした時にフェース面がしっかり見えることで、球を簡単にとらえて飛ばせそうなイメージが湧きます。ソール幅も厚めですから、わずかなミスもヘッドが地面で滑ってカバーしてくれそうです。

「弾き飛ばす」打感

番手毎に重心位置を最適化するだけでなく「振動減衰システム」で、心地よい打感と打音に

【シオさん】
今回、メインで打つのは7番アイアン。ロフトは28度ですね。

【ミタさん】
各番手のロフト角はステルスとまったく同じです。ただし、Qiアイアンには18.5度の4番アイアンが登場しました。6番からPWの5本セット。4番、5番、AW、SWが単品販売です。

【シオさん】
実際に打つと、フェース全体でボールを受け止めて弾き飛ばすようなフィーリングですね。フェース下部でミスヒットしても飛距離が落ちることなく、キレイなドローボールが打てました。これはやさしそう。

【ヨシダくん】
「柔らかい」と「硬い」の中間と言ったところの打感でしょうか。個人的には、同じ飛び系でライバルになりそうなタイトリストのT350 アイアンゼクシオ 13 アイアンの方が、インパクトが手に伝わる感じがしました。

【ミタさん】
Qiアイアンは、テーラーメイドの別モデル、P790 アイアンP770 アイアンと同じように「FLTD CGデザイン(フライテッドCGデザイン)」を採用しています。番手ごとに最適な重心設計をすることで、それぞれに求められる役目を果たしてもらうのが目的。「右へのミスを防ぎ、飛んで曲がらない」を全体のテーマにしながら、ロフトが立った番手ほど低重心設計に。ステルスよりも、ロングアイアンのつかまりが良くなったように思います。

シオさんとヨシダくんの「Qi アイアン」試打データ(7番アイアン、ロフト角28度)

【ヨシダくん】
ボールをオートマチックに飛ばせる良さがあります。“100切り”を目指す人、100前後のゴルファーには大きな武器になってくれるのではないでしょうか。『とにかく曲げたくない、スコアを作りたい』という方にはうってつけと言えそうです。

ロングアイアンに魅力

飛距離とやさしさに高得点をつけたシオさん。安定した弾道を打っていた

【シオさん】
7番の総飛距離が180yd。その触れ込みには偽りはありません。直進性が高い分、ボールに勢いがあります。43.2度という落下角度は、飛び系アイアンでは悪くない数字です。より高い弾道を打てるシャフトに変更すればグリーン上でも止まる球が打てると思います。今回新たにラインアップされた4番アイアンは、同じ単品販売の5番同様、別モデルのアイアンセットと組み合わせてキャディバッグに入れるプレーヤーもいそうです。テーラーメイドはツアープロがコース状況によって使うことも想定しているかもしれませんね。

【ミタさん】
フェアウェイウッドやウッド型ユーティリティが苦手、アイアン型ユーティリティよりもさらにシャープさが欲しいゴルファーはこの手のロングアイアンは重宝する気がします、。P790アイアン、P770アイアンを使っている方が、Qiアイアンの長い番手をチョイスすることも考えてみては。

■ 試打したクラブのスペック

テーラーメイド Qiアイアン
●番手(ロフト角):7番(28度) ●シャフト:N.S.PRO 910 GH ●硬さ:S

テーラーメイド Qi アイアン

■ マイクラブ情報

シオさん:タイトリスト T300 アイアン(2021年)
●番手(ロフト角):7番(29度) ●シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー 105 ●硬さ:S

ヨシダくん:ピン ブループリント アイアン
●番手(ロフト角):7番(34度) ●シャフト:KBS Cテーパー 125 ●硬さ:S+

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ ヨシダくん プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

テーラーメイド
まっすぐ飛ぶのが、いいに決まってる。
発売日:2024/02/02 参考価格: 126,500円