名器「PT」の再来?はたまたそれ以上か グラファイトデザイン 「ツアーAD GC」
グラファイトデザインのことしの新モデル「Tour AD GC」(9月6日発売)。石川遼、上田桃子らトッププレーヤーが続々と乗り換えたことで、発売前から話題になっている。そのカッパー&ホワイト色の気になるモデルを、アスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、飛距離、弾道、特徴をチェック。詳しい性能についてはギア知識の豊富なミタさんが解説した。
名器PTの進化版!高MOIヘッドに対応
【ミタさん】
今回は発売前から話題になっているシャフト「Tour AD GC」です。
【コウタロウ】
ことしは例年以上にトップ選手が使いはじめるのが早かったですね。
【シオさん】
石川遼は「GC」に替えてすぐに優勝しましたよね。
【ミタさん】
上田桃子もすぐに替えたので驚きました。
【コウタロウ】
どういうタイプのシャフトなんですか?
【ミタさん】
わかりやすく言えば、「PT」の進化版です。どこか1箇所が大きくしなるタイプではなくて、手元から先端まで滑らかに全体がしなる。「PT」は歴代のTour ADシリーズの中でもクセの無いシャフトとして名器と言われています。
【シオさん】
そう言えば、石川遼も上田桃子もずっと「PT」を使っていましたね。
【コウタロウ】
新しいテクノロジーが何かプラスされたのですか?
【ミタさん】
先端側に工夫があって、従来よりも太い芯金を入れています。先を太くした形状によって変形を抑えた設計にしています。
【コウタロウ】
最近は先端を硬くするシャフトが多くなりましたね。
【ミタさん】
慣性モーメントの大きいヘッドが増えたことによって、シャフトにもオフセンターヒットに強い設計を求められるようになりました。分かりやすく言えば、トウヒットしてフェースが開こうとする動きを抑えるようなシャフトです。そのために先端剛性を上げています。
【コウタロウ】
先端を硬くしつつ、クセのないシャフトにするのは難しくないですか?
【ミタさん】
「GC」は先端を硬くしつつ、手元部分のカーボン繊維の回転方向を揃えることで、手元と先端の剛性差を少なくする「ADシールズ」を採用しました。剛性差を抑えることでスムーズなしなり感に仕上げてします。
クセがなくて、1球目からナイスショット!
【コウタロウ】
実は今まで「Tour ADシリーズ」のシャフトをあまり使ったことがなかったんです。硬くて難しい印象があったんですよね。
【ミタさん】
では「GC」6Xはどうでしたか?
【コウタロウ】
思っていたより難しくなかった。もっとハードかと思っていましたが、球も上がるしそれほどロースピンにもなっていません。本当にクセがなくて“シャフトのど真ん中”という感じ。
【ミタさん】
Tour ADシリーズの歴代モデル分析チャートでも、「GC」と「PT」はほぼ真ん中。ザ・オーソドックスな中調子です。先端のしっかり感は感じましたか?
【コウタロウ】
最初に「G430 LST」で打ったときはそんなに感じませんでした。でも、「G430 MAX 10K」にしたら、たしかに先端が安定していましたし、ミスヒットしたときの飛距離ロスが少なかったです。
【ミタさん】
シオさんはどうでしたか?
【シオさん】
まずデザインが写真で見るより高級感があっていいですね。私は「G430 SFT」のヘッドに5Sを装着して打ちましたが、インパクトのタイミングを合わせやすい。1球目からナイスショットが打てました。
【ミタさん】
どんなスイングタイプにもマッチしやすいのが「GC」や「PT」の特徴です。フェードヒッターでもドローヒッターでも使いやすい。「G430 SFT」のようにつかまりの良い大型ヘッドとも相性がイイと思います。
【シオさん】
ミート率が良かったので、飛距離も出ましたね。
【ミタさん】
続いて「4S」を打ってみて、どうですか?
【シオさん】
思っていたより安定感がありますね。でも数球打つと、だんだん振れてきてしまってつかまりやすくなった。私のヘッドスピードだと「5S」か、ワンフレックス落とした「5R1」がとても良かったです。
【ミタさん】
2人とも1球目から完璧なナイスショットでしたね。
【コウタロウ】
良い意味で“フツーなのがイイ”っていう感じでした。
【ミタさん】
「GC」は歴代のTour ADシリーズの中でも最もオーソドックスなシャフト。クセがなくてシャフト全体がしなるので、幅広いタイプのゴルファーにマッチします。先端部分を強化したことによって、慣性モーメントが大きいヘッドとは特に相性がイイでしょう。決してハードなシャフトではありませんが、つかまりを求めるゴルファーはワンフレックス落としてみると良いかもしれません。
【コウタロウ】
6X、6S、5Xを打ちましたが、重量感と硬さによって、かなり振り感が変わるのでスペック選びも重要です。
■ 試打したシャフトのスペック
グラファイトデザイン ツアーAD GC
●モデル/フレックス/重量/トルク
GC4/S/49.0g/5.5
GC5/R1/55.0g/4.5、S/56.0g/4.5、X/59.0g/4.4
GC6/S/65.0g/3.1、X/67.0g/3.1
●調子:中
■ マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S
コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X
■ ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
■ コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
■ シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。